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Monday, June 9, 2014


 解雇自由化陰謀論への反駁:年齢給制度下で狙い撃ちにされる中高年勤労者層の日本的労働問題の解決策としてのジョブ型正社員2014/5/20
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本書では、若者の概念は、前著よりも若い中高年をも包括した形になっており、中年フリーター達、いわゆる中年の非正規労働者たちも包摂したものとして濱口さんの分析が展開されている。ここでの、主軸は、日露戦争後に誕生し、戦後確立した、曾ての日本の植民地として雇用システムでも影響を引きずる韓国や台湾以外に類のない日本型雇用システム(年齢差別による入社、退社の仕組み:年功序列=年齢給+年齢、勤続年数で誰でも社内身分としての管理職なるものへ昇進、経営サイドの利害代表者を混合した企業別従業員組合、ブラック企業現象を生み出す時間、空間、業務の無制限の服従義務、ジョブ消滅後も配置転換で雇用維持、養育費や教育費等社会福祉は企業依存型、職能給という年齢給の偽装による職務給の否定、総合職と一般職という男尊女卑のコース別雇用など枚挙に暇がない人権蹂躙の後進的雇用システム)が、現在では、定年55歳から60歳で、それまでの(法律的に役員でもないのに日本では社員という)’’正社員’’の身分待遇をストップし、65歳までの’’嘱託’’という劣悪な非正規雇用形態での継続雇用で、年金受給年齢まで生活維持可能かが大多数の日本人の生存権、社会権に関わる重大な問題である。(本書では、言及はないが、公務員のいわゆる嘱託業務なる仕事も今では、月給14万から18万円に過ぎないバイト=パート=非正規の一般公募がされており、本来の当該職場の高齢退職者に限定されていない。この方面の労働市場もホワイトカラー労働の非正規への日本的ブルー化が深刻)

本書を読み解く際の、導きの糸となる最重要点は、日本型雇用=日本型経営においては、中高年労働者は、職能給=年齢給によると中高年であるほど熟練であるからそれだけ高給取りなのは当然として喧伝されるが、その反面、不況時に真っ先にリストラ対象となるのはまさにそのような中高年からという構造的矛盾が日本型雇用システムの不可避の選択となっている点である。つまり、経営側のご都合主義の論理は見事に破綻していることが、濱口さんにより鋭く指摘されている。

濱口さんは、この中高年労働者たちが、企業内の束縛を受けない真の産業別労働組合を産業ごと全国規模で結成し、外部労働市場の整備と連動した職務給のジョブ型正社員で、現状では40代辺りまで、年功賃金を維持し、その後は職務給に移行し、年金受給年齢まで生活保護に頼る必要のなく、養育費と教育費などの社会福祉を企業依存型から脱却する憂いなき労働環境を整備することが急務であると提言されている。たとえ安倍政権であれ、何党政権であれ、アメリカと同等の年齢差別の厳罰化法制を私は是非切望するし、我々一人一人がその社会生活上に遭遇する不可避の日本の労働問題と断固闘争していく上で、その戦略的な状況判断の正確さと正しい努力の方向性を指し示してくださっているのが他ならぬ濱口さんである。濱口さんは、日本型雇用システムという人権蹂躙のいびつな前近代的労働搾取の仕組みにおける日本の広範な労働者階級の立場に立っておられる。それに対して、連合は経団連の利害の代表者であり、労働者階級の利害に甚だしく敵対している。ジョブ型正社員の制度導入を阻害することと、際限のない非正規労働の拡大に反対するすることは全く別であり、日本型雇用システムに関して無知であり、年齢給の旨味のみに拘泥し、労働者階級全体の真の公益を喪失する形になっている。ジョブ型正社員の政策は、資本家連中に非正規拡大のイデオロギーとして悪用される危険性は本書でも濱口さんもご指摘されているし、解雇自由化陰謀論は無分別であり、不当である。

最後に濱口さんのジョブ型正社員に関するお言葉を引用する。

’’60歳を超えたらとたんに個人の従事する職務に応じた職務給にするというのは難しいでしょう。少なくとも中高年期以降の賃金制度については、中長期的には生活給的な年功賃金制度から、個々の労働者の従事する職務に応じた職務給に移行していかざるを得ないように思われます。つまり、継続雇用の矛盾を解消し、60歳の前後で一貫した働き方を実現するためには、中高年期からジョブ型正社員のトラックに移行しておくことが不可欠の条件となるのです。’’(PP.209-11)

日本型雇用システム=日本型経営システムという勤労者搾取の反動的な構造を脱却し、入社教育の場となり不能となっている学校教育の改革を含めたジョブ型民主主義社会への移行を私は、切望する。

本書は日本のすべての勤労者の方達の必読書です。

対米従属批判論者の中西良太さんのアマゾンレビューより

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