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Friday, August 1, 2014


極秘のK半島事態対処計画と安倍独裁政権の集団的自衛権行使の帰結とは?対米従属 Slavish Obedience to the U.S. 批判論者の中西良太さんのレビューより
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2014/8/1
本書では、まずは始めに安倍政権の日本の戦争犯罪(戦時の強制売春問題)への軍国主義的で、国際社会で通用しない独善的見識と、中韓との摩擦を憂う米国のオバマ政権の立場とのズレから分析がなされる。また、オバマ政権と軍産複合体との間にも見識の差異があり、どちらも米国の範疇に入るが、後者は積極的に安倍政権を支持して軍事ビジネスを推進している。基本的に、日本の集団的自衛権行使は、今アフリカ(ソマリア、南スーダンとアラビア半島付近が主戦場)で日米と中国の間で激化している現地の主導権争いで、例えばアデン湾の監視飛行が米軍により、海上自衛隊に丸投げ状態になっていることからも、同自衛権行使により、米軍代理としてさらに積極的軍国主義に邁進できることになっている点が本書で指摘されているのは、半田氏の見識の広さの賜物である。国内や周辺事態以上に、この海外の領域の現状(自衛隊による現在の主要な派遣先はソマリアでの海賊対処と南スーダンでのPKO)に於いてこそ、安倍政権による集団的自衛権行使の真の目的が浮き彫りになっている。正に、米軍代理の積極的武力行使である。

この安倍独裁政権の集団的自衛権行使の憲法解釈変更の問題は、半田氏により以下の如く立憲主義の破壊として概括されているでの、一般人にとってたったの一言で分かりやすい。

「法律の素人を集めて懇談会を立ち上げ、提出される報告書を基に内閣が憲法解釈を変えるという『立憲主義の破壊』」(序文9ページ)

安倍政権によるその他の集団的自衛権行使容認の為のいろいろな詭弁も反証されています。例えば、国防軍創設が北朝鮮の拉致問題を解決するという論法も、国防軍があり拉致被害者が500名近い韓国の事例が反証していますし、70年代にテロリストの要求を呑まざるを得なかったのは、各国が集団的自衛権を行使できなかったからではなく、対テロの特殊部隊(日本は1996年に七つの警察にSATを創設)をいまだもたなかったからであると反証できます。まさに穴だらけの安倍政権のいい分なのです。

本書で最も肝要且つ独自性豊かな考察箇所は日本に於ける憲法裁判所の不在を指摘した以下である。

「国家安全保障基本法が成立すれば、憲法九条は完全に空文化する。法案なので3分の2の国会議員の賛成や国民投票が必要な改憲規定と比べ、なんとお手軽なことか。日本には、法律が憲法違反か否かを審査するドイツやフランスのような憲法裁判所がないため、法律によって憲法解釈が変更され、『国のかたち』を変えるのである。 」(52ページ)

日本にも憲法裁判所を創設して、砂川判決で安保政策が憲法に優先し、米軍の超法規性を確立した様に判例法理で憲法を歪曲させないシステムは必須です。これが、本書で最重要の提言です。

他に予備知識としては、日本の諜報機関は、防衛省情報本部、外務省、内閣情報調査室、公安警察など幾つかの機関が実質的な諜報活動を担っているが、米国は17もの諜報機関があるという点も重要な知識である。また2008年に名古屋高裁が示した航空自衛隊のイラク戦争での米軍への空輸活動は違憲であると判決を下しているのを知っている人は少ない。

本書は全日本国民必読の書であり、自衛隊の逆シビリアンコントロール(自衛隊制服組が自衛隊を政治家に代わって支配すること)の問題意識から叙述されている本書は、集団的自衛権行使の問題理解に不可欠の書です。

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