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日本における資本主義の発展:宇野経済学の方法論に依る21世紀の資本主義論の決定版!,
レビュー対象商品: 資本主義の極意―明治維新から世界恐慌へ (NHK出版新書 479) (新書)
本書は、佐藤さんが日本のユニークなマルクス経済学の研究者宇野弘蔵(1897-1977年)の方法論に従って、明治維新以降の日本史を論述の材料にして、日本における資本主義の内在的論理(本質)を読解した良書です。
佐藤さんのマルクスとその体系的理論に対する基本的な立場は、宇野弘蔵と同様です。影響度では、マルクスよりも宇野弘蔵の方が大きいという方が理論的には正確です。 Q:宇野経済学とはどういうものか?マルクスをどうみるか? 佐藤さん:宇野は、マルクスには、二つの魂があると考える。一つ目は、観察者として、資本主義の内在的論理を解明しようとする魂だ。それは、マルクスの主著『資本論』に端的に現れている。 ただし、マルクスには、共産主義社会を実現しようとする二つ目の魂がある。『資本論』にも革命家としてのマルクスのイデオロギーが混在するが故に、論理が崩れている部分がある。そのような部分については、イデオロギーよりも論理を重視して、宇野は『資本論』を原理論として純化した。 そして、労働力の商品化がなされると、恐慌を繰り返し、資本主義は「あたかも永続するような」システムとなるのである。最も現実に存在する資本主義は純粋なものではない。 国家の経済政策に依って影響を受けるため、資本主義は、重商主義、自由主義、帝国主義という段階を経る。従って、原理論、段階論、現状分析という三段階論で重層的に資本主義を分析する科学(体系知)としての経済学を確立する必要があると宇野は説いた。 (本書、p.243) 宇野の方法が弁証法ではない。また佐藤さんが説くマルクスの論理破綻は、1930年代に既にソビエト官僚主義に対して散見された官僚階級論を採用していない点です。これらの見解は、そもそも宇野も佐藤さんもマルクス主義ではないからです。 Q:では、二つ目のマルクスの魂を継承して、我々は革命により資本主義を克服するべきか? 佐藤さん:資本主義は、英国のエンクロージャー(囲い込み)運動という外部からの契機に依って生まれたので、与件が変化すれば、資本主義を超克することは可能である。 マルクス主義者の間違いは、システムの転換が内部から可能であると考えたことだ。資本主義は、キリスト教の千年王国が説く様に外部からのきっかけによって崩れると私は考えている。 それだから、人間を疎外するシステムである資本主義に振り回されないように細心の注意を払いつつ、いつか千年王国が到来することを私たちは「急ぎつつ、待つ」という態度をとらなくてはならない。(本書、p.244) まず、佐藤さんはマルクス主義でもないし、革命的手段による現状克服の立場もとっていないことを表明しています。待機主義、逃避主義、日和見主義の積極性による他力本願的な形での外部からのキリスト教的な力に依る何らかの衝撃で資本主義が崩壊することを予見しています。 本書は、全ての佐藤ファンの必読書です。
原典:中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! 対米従属批判!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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