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Friday, May 13, 2016

The Political Backwardness of Japanese Ideologues


安倍晋三が〈日本〉を壊す──この国のかたちとは:山口二郎対談集
安倍晋三が〈日本〉を壊す──この国のかたちとは:山口二郎対談集
内田 樹著
エディション: 単行本(ソフトカバー)
価格: ¥ 1,620

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5つ星のうち 5.0 安倍さんは我々の醜い姿の鏡だ!日本の政治エリートの責任を免罪する対米従属論の正体!最良の論客佐藤優さんの対談が最も秀逸!2016/5/13
数ある論考の中でも、日本の主要な陰謀論となっている対米従属論の問題に関して、佐藤さんによる対米従属論の再考が見事です!

これは、今も昔もCIA一本だった陰謀論者孫XXや自称スターリニスト白XXたちの一面的な米帝断罪論は小児病左派の反知性主義であり、それが保守にも蔓延している問題に関してです。従属か自立かは、陰謀論者たちが主張するほど機械論的に単純な二元論の問題ではないのです。佐藤さんこそ正しい!

簡単に言うと、米帝が全て悪くて、日本が悪い部分を認めたがらないということです。これは、問題です。

佐藤さん:

アメリカに対して、日本が自主性を喪失しているという話は、1961年の日本共産党綱領の流れで、基本的には戦前の講座派の枠組みです。

あの当時の論争でもあったように、社会党左派や新左翼が言っていた、日本帝国主義は十分に自立している、日本帝国主義が自らの利益という観点において、アメリカ帝国主義と提携しているんだという見方の方が、現実に近いと思います。

だから、アメリカへの自主性を保つというなら、アメリカに従属している方が自分達の統治体制にとってプラスだと考えている政治エリートや経済エリートが主流を占めているからだと思うんですね。

その意味では、例えば経団連だって、株式から考えるならほとんどが外資系企業です。

日本経団連と書いてあったって、日本の利益を守ることなど考えていない。

だから自主性を発揮しろと言ったところで、革命でも起こさない限り、自主性は発揮できない。

どの国においても中国が資本主義的世界で一番強くなったら、中国に従属する。

だから、従属か自立かという二項対立を立てること自体が、私は擬似問題だと思っています。

こういう考えは、3、40年前は比較的議論ができたはずですが、逆にやっぱり共産党が強いのか、対米従属論は、

保守の側でも、リベラルの側でも、年を増すごとに強まっている。

でも、これは日本の資本家や政治エリートの責任を免罪する言説以外の何物でもない。

アメリカという強い者が来たら我々は断れない?

それは違いますよ。

いくらでも断れる。

断らないのは、断らないことに利益があるから。

(本書、pp.266-7)

対米従属論が陰謀論であり、反知性主義の傾向であり、日本の資本家階級の免罪にしかならない思潮であるというのは事実です!

さすが、外務省経験者の中でも最高の知性である佐藤さんの分析です!

本書は、このような秀逸極まりない政治的論考に富んでおり、陰謀論者たち、真剣な政治運動を食い物にする評論家ビジネスとは一線を画する良書です!

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