The Third World War is Coming Soon

			使える地政学 日本の大問題を読み解く (朝日新書) 佐藤優著 エディション： 新書 価格： ￥ 821
5つ星のうち 5.0 日本最高の作家である佐藤さんによる日本を取り巻く地政学的諸問題の論考：反知性主義的な政権は、支持するもの、反対するもの、無関心なものが共有あるいはシェアする空気の中でこそ、成り立つ！, 2016/5/13 レビュー対象商品: 使える地政学 日本の大問題を読み解く (朝日新書) (新書) 本書で佐藤さんは、東アジア、中東、欧州、果ては沖縄などの日本に直接関連する地政学的諸問題を分析しています。例えば、CIAはウイグルを第二のイスラム国化し、中国に彼らのアフガン戦争をソ連のように味わせようとしており、日本も尖閣戦争というオプションで同様の役割を担わされる恐れがあります。 私は、ことに日中関係での分析が印象に残りました。一言で言うといかに両国で理性が減退し、感情、荒れ狂うナショナリズムの衝突（誰が仕掛けているのか？）が反知性主義的空気を醸成しているかが分かります。 佐藤さん： 日本人が中国人に対して、よくない印象を持つ理由は、「歴史問題などで日本を批判するから」、「資源やエネルギー、開発などの行動が自己中心的に見えるから」、「国際的なルールと異なる行動をするから」、「尖閣諸島をめぐり対立が続いているから」の順に多い。 中国人が日本に対してよくない印象を持つ理由は「侵略の歴史をきちんと謝罪し反省していないから」、「日本が魚釣島を国有化し対立を引き起こしたから」が突出して多い。 両国とも自らのナショナリズムを刺激する分野で、相手国に対する不快感を高めていることがわかる。 先に、反知性主義的な政権は、支持するもの、反対するもの、無関心なものが共有あるいはシェアするそういう空気の中でこそ、成り立っていると言えるだろうと述べた。 田母神氏のブログにコメントをつける人の心情、共同世論調査で明らかになった心情からは、尖閣諸島、中国に関して醸成された そういう空気の内実が見えてくるのではないだろうか？ （本書、pp.118-119） なるほど、ここで反知性主義に関しても新たな定立事項があり、なんとナショナリズムを刺激する感情的な空気をその賛成反対者だけでなく、傍観的にシェアしている連中により、反知性主義政権、すなわち国家、市民社会のあらゆる弱体化が生じているということです。 この点は、本書の核心的な思想であり、導きの糸となる命題です。 本書は、すべての佐藤ファンの必読書です！