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Wednesday, June 18, 2014


アベコベノリスクの研究書の中でも最良の一冊2014/6/11
Amazon.co.jpで購入(詳細)  対米従属批判論者 中西良太さんのレビューより
本書は、苫米地さんがアベノミクス批判本の類に没しないことを念頭に、徹底的にその正体を解明したアベノミクス研究の必読書である。総じて言うならば、アベノミクスとはそのスローガンの示す方向性は正しく聞こえがいいが、第一の矢である金融緩和は、苫米地さんのご指摘により何と日銀の準備預金制度下での各市銀の日銀での口座預金というマネタリーベースが増えただけで、マスゴミが短絡的に流布しているように今市中に金が十分流通しているわけではなく、あくまで日本の企業及び雇用の99.7%をなす中小企業は信用保証協会による保証なしに銀行に借金できず、マネーストックは増えていないデフレ状態であり、自民党による土建国家として土木建築へのばらまきは、全体に景気効果が波及し得ないことが理解できる。ここには、中小零細への銀行の貸し渋りや大企業の設備投資の停滞と内部留保の蓄積、貨幣量の増大と貨幣流通の高回転率(景気)の混同、経理部に過ぎない財務省による財務と財政の混同、GDPは単に生産量の総計ではなく、一国内での生産された付加価値の総計であること、マネーストックとマネタリーベースの混同などの経済学の概念上の誤認が社会的に深刻であることが苫米地さんにより丁寧に解説されている。結局、インフレ設定しても、国民のマネーストックの増大に逆行した政策を連発しているので、消費税増税、法人税減税、雇用流動化などでデフレ状態を深刻化しているのである。これが、まさにアベコベなのであり、さらにTPPで、外資に日本の市場と産業を売り渡すことは日本人のマネーストックを増大させ、消費行為を大規模に誘発し、真の景気回復を図る正道から逸脱していることが納得できる。さらに、トヨタに代表される資産額の最高記録更新なる神話も実は輸出や内需ともに減退傾向の国内生産や販売によらず、円安期の海外のドル建てによる生産と販売と金融によるものである。つまり、第一の矢である金融緩和は全くの失敗である。苫米地さんは、国民のマネーストックを実質的に増大させるための所得税免税や政府紙幣の発行と増刷及びATMを造幣局化することなどを提言されている。

第二の矢である財政出動にしても、実態は土建屋へのバラマキであることが解説される。土建業界では、他業界と異なり、信用保証会社が二社(東日本/西日本建設業保証株式会社)に限定されており寡占状態である。さらに、公共事業のバラマキ金は、まず4割が前払いで元請け業者に現金で入り、それ以降の下請け業者たちは約束手形と一部現金で代金が支払われていく。税金による公共事業費のために、さらに税金で信用保証を購入する利権のからくりが垣間見える。ここに、税金の無駄遣い、シロアリ、約束手形の手数料で儲ける利権、金融機関が暗躍する。土建国家の利権の構図が、本書で解明されているのは見逃せない。苫米地さんは、公共事業の支払い方法を一律現金支給の国際基準にすることを提言されている。

第三の矢である成長戦略も、規制撤廃と産業成長が短絡的に混同されていることが指摘される。規制撤廃は、正確には民営化、官僚による天下り先の確保と拡大を意味するだけである。彼らのいう規制撤廃は、シロアリ増殖による彼ら個人の裏金作りの一環に過ぎないのである。

本書では安倍政権がアベコベノリスクの陰で本当にやりたいことが正しく指摘されている。例えば、内閣人事局の創設は、苫米地さん曰く:「国会で過半数を取れなくても、比較第一党であれば、十分に大きな権力を行使できるようにするための、官僚コントロール機関の創設」なのです。(本書、P.150)

そして、原発再稼働も米国の指令要望であることが判明している。2013年の12月にバイデン副大統領が安倍との怪談で原発再稼働の要望を出し、圧力をかけていたのである。安倍はまさに愛国を叫びながら日本を売却中の対米隷属のパペット総理である。

苫米地さんが最後にアベコベノリスク解消のための、脱安倍、安倍以後の諸施策を提言されている。1、信用保証協会の基準引き下げによるマネーストックの実体的な増大。2、米帝国主義による日本経済の桎梏であるBIS規制の撤廃。3、所得税減税または免税。4、日銀への準備預金制度廃止とATMの造幣局化。5、金融機関本意の非現金主義の否定。6、政府紙幣、政府通貨発行により、国債発行の廃止。7、規制緩和という名の天下り禁止。

労働政策に関しても、苫米地さんの提言はまさに日本の真の愛国的なインテリ層に共通している民主主義な政治ラインからのものである。「高齢者福祉はもちろんですが、ここも『雇用対策』と同じで、働ける健康な高齢者が働き続けられる仕組みを作る必要があります。」(本書、P.185)

本書は全日本国民必読の書です。

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