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Sunday, July 13, 2014


外務省が実質的な日本の諜報機関であることが論証されている2014/7/14  対米従属 Slavish Obedience to the U.S. 批判論者の中西良太さんのレビューより
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本書は、ビジネスに諜報機関の諜報員の技法を応用することを念頭に執筆されている。また、同時に日本では外務省や警視庁公安部が諜報機関の機能を担っていることが佐藤さんの描写から分かる。

本書では様々な断片的な諜報機関の国内外における諸事情が扱われており、ここで紹介される技法/作法は、CIAのカールソンの著書にある諜報員のスパイ活動の主要な形態であるヒュミント(対人諜報)の技法/作法と一致している。例えば、協力者にこちらの関心事項を悟られずに、情報を得る事という原則。

所見の事実として、例えば、日本の諜報機関の工作活動は、それらの住所から検索しても東京がほとんどであるが、佐藤さんは「東京はインテリジェンス専門家に『成功が約束された地』だと呼ばれている。それだからこそ、十数カ国の諜報機関が、駐在員を常駐させているのだ。」(20ページ)とご説明されている通り、ぴたりと符合する。

本書で紹介される技法で、誰もが感心するのはイスラエルの諜報機関であるモサドから佐藤さんが教わった技法として、動物行動学が、ヒュミントに有効で、尚かつ広範な社交の場に極めて有効に応用できるが、それは、「人間も嫌いな人とは一緒に食事をしたくないという心理がある。それを逆に利用して、一緒に食事をする事で、『あなたにとって私は危険な人物ではない』ということを深層心理に徐々に刷り込んでいくのが食事工作の基本だ。」(23ページ)という箇所に概括され、本書で繰り返し解説がなされていく。

また、史実としてスターリンが、モスクワ中心街のグルジア料理店の中二階の個室で、赤ワインを利用して自分の粛清被害者たちを悼む宴会を開催し、側近の参加者達を恐怖で支配するのに上述の技法を用いていたことが分析されている箇所も初見の史実として参考になった。

さらに、飯倉別館という外務省の秘密の醜悪なワイン接待の諜報工作のための法外なレセプション会場が、飯倉公館と外交資料館の裏に存在している点も国民は無視できない事実である。国民は、腐敗の源泉である、外務省の飯倉別館のワイン地下貯蔵庫に監視と批判のメスを入れるべきである。佐藤さんも、それが税金のバラマキ、無駄遣いに他ならない事をご指摘している。

佐藤さんは、各国諜報機関がコリントを行っており、CIAもSVRも今は互いに協力諜報をしており、安易な米露新冷戦論を反駁している箇所も印象深い。

日本のマスゴミの特徴とそれへの対処法としては、「ここだけの話だけど」といい、他者の会話を横流しする輩を信じないことという佐藤さんの警告は正鵠を射ている。そういうには、至る所で敵味方の別なく横流しして私利を貪る屑だからである。

また、日本の宿敵CIAに関しても、構造的な知識を本書から断片的に得られる。例えば、彼らは、実際は大使と同等以上の権力を有したliaison officerを駐日米大使館にも、参事官や一等書記官という大使や公使以下の肩書きで置き、対立組織間の調停、つなぎ役を演じる時はその強大な権力を行使することが類推できる。つまり、砂川事件にしてもこのような人物も暗躍していたことは確実である。

それから、佐藤さん自身がイスラエル、モサド寄りで、アルカイダをCIAの傭兵集団であると見ていない点なども彼のイデオロギー的立場として輪郭が本書でもはっきりしている。理性に懐疑的な反合理主義の保守右翼であるとご自身が述べられている。しかし、彼はキリスト教的民主主義者、プチブル層を代表する中道左派とみるのが妥当である。

佐藤さんについては、彼が日本で本格的な諜報機関を外務省の内部に作られたが、小泉政権下で潰されたという愛国的な行動の軌跡を読者は忘れるべきではない。また、北方領土交渉(クラスノヤルスク合意で2000年までの平和条約締結を果たすはずだった)では、エリツィン政権時代の外務省は解決目前、しかも四島帰属をエリツィンに大統領権限で承認させる一歩手前の所まで到達していた点も評価されるべきである。これも小泉政権のために解決不能となったのである。

本書は全日本国民必読の書です。

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