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Sunday, September 27, 2015

芸大スタジオの全作品をフォロー!


五話に分けて、オムニバスを構成し、最大多数の生徒に劇場映画制作デビューの機会を与えたのには感激!2015/9/27

レビュー対象商品: リスナー [DVD] (DVD)
私は、芸大スタジオの全作品をフォローしています。今回は第9期生の正式な劇場公開映画デビューです。

個人的には、5話『ブエルボ アル スール』
キャスト:奥野 匡 リカルド・テイシエイラ 佐久間一行 大竹条治 西島功輔 小綿照雄 柳 憂怜
監督:今野恭成/脚本:久保寺晃一

がキャストの点で私は好きです!

また、今回以降はオリジナル企画で、韓国国立映画アカデミー(KAFA)との国際合作でもあり、包括的に芸大の映画教育理念が実現されていると思います。

芸大生達は、米国でも、中国でもこのような映画学生の、映画学生制作による、正式な劇場公開映画デビューが制度的に保証されている映画学校は存在していない点に格別留意すべきです!ここに、芸大の映画専攻の素晴らしさが凝縮されています!

本作も、全ての映画ファン及び芸大ファンの必須アイテムです!

Cited:

中西良太 / Ryota Nakanishi

故マリリンさんにこのジャッケットデザインの本作のヘラルド版パンフをプレゼント!


故マリリンさんにこのジャッケットデザインの本作のヘラルド版パンフをプレゼントしましたよ!2015/9/26
正にこの日本版ジャケットは地上最高のデザインとタイトルです!また英語タイトルは、主演のマリリンも把握しきれない程多様でした!

しかし、本作は制作途中でフーパー監督が降板させられたり、マリリンにとっても良い思い出ではなかったのも事実です。私は、彼女の三大傑作に数えます。''悪魔のいけにえ''も良いし、''ヘルタースケルター''も良いし、そして、本作です。

それでも、前作のモキュメンタリー調のパワーは、この全編スタジオ撮影にとって代わられても継続しています!フーパー監督らしさであるパワフルな演出は、前作と本作のみで堪能できます!マリリンも前作同様、美しく、彼女の切れっぷりもいいです!

収録内容ですが、米国の究極版にもない新規追加のフーパー監督の解説が最重要です!しかし、フーパーファンには本作のジャケットだけでも十分の価値があります!

映画制作にとって大切な一見の価値あるインディー映画です!CG屋さんなしで、原始的な映画制作の条件でここまで面白く力強い映画が作れる事自体がどれだけ凄い事か!

ちなみに、マリリンとの会話でも彼女も本作をEaten Aliveという英語タイトルで覚えていました。私も、この英語タイトルがベストだと思います!

最後になりますが、フーパー監督の最初期のパワーがみなぎっている傑作は、前作と本作だけです。さらに、以前某映画辞典でシリーズ化されているという話がありましたが、本作はシリーズ化はされていません。出演者本人達も知りませんでした。

単なるホラーとしてではなく、ここまでリアルに、パワフルに怖いが面白い映画が制作できるという生産力はやはり、米国ならではです!

本作は、全てのフーパーファン、ホラーファン必見の名作です!

Cited from:中西良太 / Ryota Nakanishi




Sunday, September 20, 2015

佐藤さんは、対米従属に反対しつつ、安易な反米主義にも反対!


佐藤さんは、対米従属に反対しつつ、安易な反米主義にも反対!2015/9/20
佐藤さんによる解説の価値が高いです。佐藤さんは、対米従属に反対しつつ、安易な反米主義にも反対しています。このスタンスこそが現下日本で有効です。

本書は、日本側からあの大戦を考察する上で有意義な観点を与えてくれました。

本書は、全ての佐藤ファンの必読書です。

Cited:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! 対米従属批判!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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日本の革命史から現在の世界情勢を読み解く好著:日本が一番革命に近づいた日とは?


日本の革命史から現在の世界情勢を読み解く好著:日本が一番革命に近づいた日とは?2015/9/20
日本の戦後は、対米隷属下で朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争やイラク戦争に加担してきた点を無視できません。殊に、1950年の10月、朝鮮戦争時に吉田首相が占領軍の秘密指令で北朝鮮の機雷除去に派遣した特別掃海隊の存在やこの秘密軍事行動での死者の存在も未だ国民には広範には知らされていません。

本書では、まず第一章で、イスラム国と日本の左派の内ゲバ文化、イスラム国とソ連との類比が成されます。そして、ウクライナでのロシアへの欧米の譲歩は、対イスラム国対策で二正面作戦を回避する戦略である一方、欧米はさらにイランの核開発に譲歩し、それがさらにサウジアラビア/パキスタン秘密協定で中東で核開発、核保有の連鎖が拡大し、最終的にイスラム国に核が渡る危険が分析されます。

第二章では、戦後日本における革命史が語られます。同時にソ連とイスラム国、コミンテルンとイスラム国の類比がされています。コミンテルンが、世界革命運動と国家の分離で、イスラム国はその統一体とされていますが、ソ連はあくまで国家ではなく、連邦です。

佐藤さんは、1919年のコミンテルン創設を世界革命の放棄としてレーニンを一国社会主義として規定しています。反共のスターリニスト的観点が披瀝され、大変興味深いです。これは、宮崎氏が新鮮と形容した箇所(92ページ)ですが、スターリニスト達は、レーニンを正に一国社会主義としてスターリン主義を合理化しました。また、コミンテルンはレーニンやトロツキーも関与している世界革命運動を企図した機関です。そして、ソ連邦の孤立と1924年に登場した一国社会主義論は別の観点であり、世界革命を企図するのは一国だけでは社会主義の最終的勝利は得られないからです。また、スターリニスト達が世界革命を放棄していなかったという観点は、彼らが帝国主義的政策の拠点としてコミンテルンやコミンフォルムや各国共産党を操作しており、それが崩壊当時迄継続していたということです。では、第4インターナショナルも、国際革命運動機関の創設=世界革命論の敗北=一国社会主義を前提にしていたからトロツキーもスターリン主義だと正に頓珍漢に言えてしまうでしょう。マルクスも、スターリン主義だという結論になってしまいますね。完全な反共史観です。

ここには、彼の官僚階級論と同様に、正統マルクス主義とは異質のものが思想的に混在しています。しかし、佐藤さんも日本の革命の方法論を分析しています。

佐藤さん:そのためには、合法的な形で自衛隊や警察の様な暴力装置は、自分たちの手の内に置いておく。それから大衆動員ででも、大規模集会ができるような体制にしておく。この両者をパッケージで掌握す。それがあって、初めての革命のはずです。(103ページ)

正にこれが有効な革命論です。さらに、佐藤さんは、日本の革命を考える上で、日本共産党史を学ぶべきだと説いています。

私は、ここで日本の革命に関しては、日本が最も革命に近づいた日である1947年の2.1ゼネストを挙げますが、徳田と伊井はその決行の前日にマッカーサーの指令であっさり放棄し、そのリーダー格の裏切りでその後の日本の労働/革命運動に深刻な打撃を与え、革命運動を葬りました。これに、占領軍が図った日本共産党打倒への工作である3事件が追い打ちをかけました。

革命と、大多数のカンパニア運動のデモは対極にあり、後者は世論に訴える為だけのお祭り騒ぎに過ぎません。大衆デモとはいえ、似て非なるものです。

宮崎氏はこう、日本の革命史を概括しています。

宮崎氏:要するに、日本の革命は1947年の2.1ゼネストが挫折した時点で終わっていた。その後に学生運動の季節が始まる訳ですが、それも内ゲバの時代を経て、徒花の様に咲いて散ってしまった。そんな戦後70年だったと思います。(156ページ)

第三章は、日本の資本主義革命であるバブル経済が曾ての中華街である神保町での地上げの例で語られます。また、ネオリベやアベノミクス(株の公的資金に依る吊り上げ工作による安倍政権支持率維持策)の話も簡潔で核心を突いています。佐藤さんは、日本が帝国主義的な膨張策を採らぬ限り戦争に巻き込まれないし、日本の社会は漸進的に貧困が蔓延していき、貧困は人を思考停止させるために教育の劣化も進行するが、人口が多いので一気に崩壊はしないと悲観的且つ、楽観的ですね。本書は、左派との対談ですが全体としては右派色ある印象です。佐藤さんが他で言われる様に、日本も新帝国主義国なのだから、戦争に巻き込まれる危険はありますね。

本書は、全佐藤ファン必読の書です!

Cited:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! 対米従属批判!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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Wednesday, September 16, 2015

陰謀論の妄言ではなく、インテリジェンスを!第三次世界大戦は中東から勃発する危険が最もある!しかし、極東も危険あり!


 陰謀論の妄言ではなく、インテリジェンスを!第三次世界大戦は中東から勃発する危険が最もある!しかし、極東も危険あり!2015/9/15
本書では、第三次世界大戦は、イランとサウジアラビアの対立軸で核開発、核保有国の中東における連鎖拡大に、イスラム国やロシアやイスラエルが絡む事で勃発するというシナリオが描写されています。

しかし、私が殊に感銘を受けたのは、第三次日中戦争のトリガーインシデントは、実は暴走族気質の軍の末端分子による偶発的な騒動や泥酔隊員の軽はずみの暴発といった安易な形態を採る可能性が大きい点です。

重要なのは、反知性の陰謀論に陥るのではなく、諸事実に基づくインテリジェンスです。以下の箇所は、インテリジェンスの良き分析事例です。

山内氏:2010年に尖閣諸島で起こった、海上保安庁の巡視船に体当たりした中国船の漁船。あの船長も愛国者というよりもアル中まがいだったようですしね。(笑)

佐藤さん:明らかにそういう者でも英雄にせざるを得ない。それこそ酔った勢いで尖閣に上陸するとか、酔った勢いで日本の海上保安庁の人間を殺してしまうとか、こういうような偶発的な衝突から始まる両国の緊張というものは、恐ろしいと思うんです。

(215-216ページ)

今世界情勢で、第三次世界大戦が勃発する危険があるのは、中東、ウクライナ、そして極東です。本書の対談は、この全てを正確に事実に基づいて論証しています。

本書は、全ての佐藤ファンの必読書です!
くだらない陰謀論者共は放っておいて、佐藤さんの本を読みましょう!

Cited:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! 対米従属批判!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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日本史上最良のインテリジェンスの教科書!


日本史上最良のインテリジェンスの教科書2015/9/13
本書は、外務省の最良部分の官僚達も購読している佐藤さんの最新本です!

シギントとヒュミントなどインテリジェンスの技法を各国の事例を用いて簡明に総括している良書です!

チャイナスクールの方の推薦のお言葉を引用すれば十分です。

某外交官:論壇で活躍するようになってから、佐藤さんの最大の業績は、インテリジェンスという言葉を世の中に広めた事だと思う。特に手嶋龍一さんとの本がよかった。(中略)外務省でも、心ある人は佐藤さんの本をきちんと読んでいますよ。また、外務省にファンの多い手嶋龍一さんと一緒にインテリジェンスの本を出す事自体が、インテリジェンスです。(本書、272ページ)

ただし、本書と以前の既刊本の差異は、これまでは、佐藤さんたちはCIAの教科書を参照し、その翻訳、摘出をしていたのであるが、今回は、本格的な教科書の編纂という形となりました。

佐藤さんは、本書をこう総括しています。

佐藤さん:インテリジェンスの究極の目的は、戦争に敗北して国家を喪失しないことであるが、米国の場合、軍事力が突出して優位なので、正しいインテリジェンスを欠いても究極目的を達成する事ができる。又、米国は科学技術力が突出しているので、シギント能力は高いが、ヒューミント能力には限界がある。国際基準のインテリジェンスでも王道は、ヒューミントだ。幸い、手嶋氏と私は、米国、英国、ドイツ、ロシア、イスラエルなどのインテリジェンスの専門家と接触する機会が多かったので、テキストにはならないインテリジェンスの機微に就いても、ヒューミントを含む若干の知識と経験がある。これらの要素も本書に盛り込んだ。(273-4ページ)

曾てのもしくは現在の外務省関係者のみならず、読者は、本書の購読の前後では、世界が全く違って見えるはずです!

本書は、全佐藤ファン、手嶋ファンの必読です!

Cited:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! 対米従属批判!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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Monday, September 7, 2015

文句なしの最高のテレビ映画!


文句なしの最高のテレビ映画!2015/9/3
Amazonで購入(詳細)
レビュー対象商品: 激突! [Blu-ray] (Blu-ray)
私は、LA在住のデイビット・マンとトラック運転手二人のメインキャラだけで、これだけ面白い劇映画を創作できるという事がどれだけ多くの映画制作者達を勇気づけてきたか手に取る様に分かります。

私も劇場公開映画を編集する際に何百回と鑑賞した本作の技法、特にレストランでデイビット・マンが疑心暗鬼に陥るシーンの豊富なクローズアップとリアクションカットの組み合わせに魅入られました。

また、冒頭シーンで出てくる当時のLAのダウンタウンの町模様も現在のシャッター街と対照的です。

二人だけのメインキャラ、しかもプロタゴニスト(主人公)とアンタゴニスト(妨害者)という最小限の劇映画のドライビングデバイスだけで構成された劇映画創作の結晶、精華です!

特典は、もちろん監督のコメンタリーを希望ですが、DVDでなく、BDで鑑賞できるだけで購入しました!

本作は、私が最も好きな映画です!アメリカ映画が一番ですね!

Cited:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! 対米従属批判!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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Thursday, September 3, 2015

2012年の修復版は、幻の日本公開版です!


2012年の修復版は、幻の日本公開版です!2015/9/2
Amazonで購入(詳細)
レビュー対象商品: Dracula (Blu-ray + DVD) [1958] (Blu-ray)
本製品は、DVDも収録されており、B区のブルーレイが再生できなくても、日本のDVDプレーヤーで再生できます。
しかも、2007年と2012年の修復版が含まれており、曾ての日本劇場公開版が後者です!

三つ大きな違いがあります。

1、クッシングとアーサーがアーサー邸で、ミナを見守る中に、ドラキュラがミナを襲う際のベッド上のショットがミナの右肩越しからのショット(米国版)ではなく、ミナの横たわるベッドのミナの両足側からの側面ショットです。

2、何と言ってもドラキュラが太陽光に顔が当たり溶解し、リーが顔を掻きむしるラバー仕込みの顔面ショットです。さらに、それを注視するクッシングの顔のアップが従来のLD=米国版より一つ多いです。

3、米国版では、3回、ルーシーに杭をヘルシングが打ちます。しかし、日本劇場版=2012年版では、2回です。

つまり、真の完全版は米国版=日本の従来の市販版と、2012年の修復版=日本公開版を両方見る事で鑑賞されたと言えます!

本作は、全てのホラー映画ファン及び映画芸術ファンの必見です!

Cited:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! 対米従属批判!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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高齢者の、高齢者による、高齢者のための映画!


高齢者の、高齢者による、高齢者のための映画!2015/9/2
私は、本作を今年度で最も重要な日本映画だと思います。その理由は、本作は高齢者映画というジャンルを確立した映画だからです。

本作は、藤竜也ら七人の高齢者の元ゴロツキ達が、安田顕ら新興ヤクザと対決して勝利する物語です。殊にリアルなのは、現在のヤクザがヤクザである事を公言しただけで逮捕だから、社会的にヤクザを否認するヤクザであるという点です。

私が好きなシーンは、零戦で米軍艦船に突入して、捕まる場面です。こういう政治的なアクション場面を描ける人は他にいないでしょう。とにかく、アクション、コメディが混合されており、終始楽しむ事ができる名作です!

本作は、全日本人の必見作です!

Cited:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! 対米従属批判!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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反知性主義と戦うインテリ達との対話集!


反知性主義と戦うインテリ達との対話集!2015/9/1
本書では、手嶋さんと佐藤さんの対話が最も印象に残りました。

例えば手嶋さんは、インテリジェンス(諜報)の基礎を単に極秘の情報を有しているということではなく、健全で常識を物差しにして、誰でも知りうる事を料理できるかであるという風に平易に定義をされています。この言に尽きると思いました。

さらに、佐藤さんは核兵器保有及び拡散の連鎖を招く、イラン、ロシア、中国の新枢軸論を展開して、それに警鐘をここでも鳴らしています。

なぜなら、それはパキスタン核保有から、サウジアラビア核保有そして、世界イスラム帝国化を図るイスラム国核保有の終末戦争を招く核の連鎖が生じうるからです。

佐藤さん:インテリジェンスの世界のプロは、サウジアラビアとパキスタンの間に秘密協定があると見ています。すなわちイランが核をもつ自体になれば、パキスタンの領内に置いてある核弾頭をサウジアラビアの領内に密かに移動する。アメリカ政府もそれを阻止することはできません。同時に「サウジが核を持つなら、我々も」と、アラブ首長国連邦やオマーンやカタールも核弾頭を買い付けるでしょう。そこ迄、予測する専門家はいるのです。「イスラムの核」が拡散する事態となれば、従来の核の均衡など成立しなくなります。
そんな状況でサウジアラビアの王朝が倒れたら、そこに「イスラム国」が入って来て、核を手に入れてしまう。

(39-40ページ)

今や中東や周辺アジアの核開発問題は、相互に孤立していず抑止力云々の問題ではなく、イスラム国の核保有のシナリオを描く形に全体としてなっている事が分かります。「イスラム国」は、構図でいくとスンニ派であり、反シーア派国家ですが、各国から傭兵的な集団個人が参加しており、コントラのように土着集団ではなく、未だに正体は謎です。この部分の追求も今はメディアで下火になってしまいましたが、大手メディアからは不明なので現地ルポ等に期待したいです。

本書は、全ての佐藤ファンの必読書です!

Cited:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! 対米従属批判!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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Tuesday, September 1, 2015

20世紀の日本社会主義反省の為の必読書:「民主主義というもののもっとも重要な要素は、権力を批判する自由である。」


20世紀の日本社会主義反省の為の必読書:「民主主義というもののもっとも重要な要素は、権力を批判する自由である。」2015/8/31
Amazonで購入(詳細)
本書は、20世紀の社会主義、殊にトロツキー、レーニンの思想を正確に理解する助力となる良質の入門書です。

特に上級者でも見落としがちな価値ある諸論考を巧みに集成しています。

例えば、誤解の多い計画経済に関しても、消費者の質的要求に応える生産を目指す量より質の競争を組織する社会主義的競争と定義される概念は、今日でこそ資本主義下で要求されるものです。

質の競争を通じた量的拡大こそ真の経済的成長です。

大事なのは、無謬の国営企業や国有化自体が目的ではなくし、計画経済は市場を前提とし、市場でそれをテストし、その計画経済の運営及び計画策定は、官僚独占ではなく、消費者と生産者を参画させるのが本来の理念であったことが論証されています。つまり、ソ連初期では全国営企業化でも、集団化でもなく、それらは一部(20%)に限定されることが説かれています。

又、トロツキーが、官僚制の問題の核心を突いている箇所も的確に引用されています。それによれば、所謂腐敗とは、官僚制なり、管理層が下部からの批判を一切逃れられる状態から生まれ、またそのような非民主的な状態自体が腐敗堕落なのです。その一つの策が、労働者による自主管理能力の涵養であり、協同組合や個人企業は初期のソ連で排除されていません。労働者と資本家もその中間に多くの層があり、単純な二元論で彼らが政策決定していなかった点も秀逸です。

本書では、幾つかの最重要箇所があります。一つは、官僚階級論の否定です。

筆者:支配階級は階級支配が必要とする様々な業務を特定の集団に委ねる。すなわち税を徴収し、軍隊を組織し、秩序を維持する仕事は支配階級自らが行うことなく、支配階級の意志を忠実に履行する人々の手に委ねられたのである。官僚制は、階級支配の手段であり、道具である。(中略)官僚制は公然たる階級支配のクッションであり、カモフラージュである。官僚制が支配階級から相対的に自立するかの外観が生ずる。官僚制は自らの哲学(存在理由)を掲げ、支配階級も此れを支持する。「おおやけのために」が、そのすべてである。(本書、24-25ページ)

官僚制は、労働者による生産、流通、分配の自主管理 で克服されるが、革命の初期段階では労働者が行政官吏の任免及び監視を行い、いつでも解任でき、熟練労働者以上の賃金を取らせない抑制策が有効とされています。これは、今正に有効なネオリベ対策及び格差是正策としての曾てのレーニンの論理です。
さらに、トロツキーの官僚論が克明に再現される。

筆者:第一に、官僚は労働者階級から区別される一個の階級ではない。労働者階級から生まれ、その上に立つ様になった一個の階層に過ぎない。

(39ページ)

官僚階級論は、マルクスやエンゲルスやレーニンやトロツキーの見解とも相違し、社会主義思想ではない。これを曇らすのが、官僚層及び労働者階級内の格差です。この格差が、安定要因になっています。

筆者:最上層の官僚と最下層官僚との距離は、最下層官僚と一般労働者との距離より遥かに大きいと、トロツキーは述べた。しかも、下層官僚は常に一般労働者から徴募され、短時日のうちに中級.上級官僚へと上昇していく。(中略)あたかも賃労働のメカニズムと超過利潤の労働貴族への配分がプロレタリア革命を困難とするように、それは労働者の階級的自覚(自己統治への意欲)を曇らせ、従順なものとする。(44ページ)

超過利潤の配分にあやかる労働貴族を、ブルジョアと勘違いする程その格差は甚大ですが、あくまで生産関係において労働者です。ここを分からないマルクス主義の解説者が多いです。此れを理解すれば、マルクスの文献もより精度が高い読みが可能になります。

ちなみに、私はゴルバチョフを尊敬していますし、殊に彼のグラスノスチに関する以下のテーゼが好きです。

「民主主義というもののもっとも重要な要素は、権力を批判する自由である。」

(255ページ)

本書は、ゴルバチョフというよりも、トロツキーやレーニンの本来のソ連の最初期の理念政策を分析し、ペレストロイカに望みを託した良心の書です。

Cited:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! 対米従属批判!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
(トップ1000レビュアー)