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Monday, August 15, 2016

【書評】 新路線 トロッキー著


新路線
新路線
トロッキー著
エディション: 単行本

5つ星のうち 5.0 全党的大衆の政策決定参加を否定する官僚主義によるフラクション発生のメカニズム解明!2016/8/14
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レビュー対象商品: 新路線 (単行本)
トロツキーは、本書でスターリニズムのみならず、社会的不均衡に基づく管理制度の普遍的現象である官僚主義のソビエトにおける発生を解明しています。

1、フラクション、グループ形成、組織内の分裂の現象は、排他的に一部の機構による全体の見解、方針、政策などの決定から他の組織内の大衆が排除されており、それに対し、自主的な組織内活動の代替物としてのフラクションを一時的、恒常的に形成し、それに対峙し、外部勢力とも結託する素地ができあがることである。ある組織の分裂の始まりである。

2、ソビエトの10月初期では、国家機構の労働者化のために、多くの主要工場労働者の最良部分が管理職として党内で増大し、相対的に主要工場細胞の弱体化希薄化をもたらしてしまう。ここに、事態の矛盾があり、官僚主義形成の原因となった。労働者の最良部分の管理分子としての機構への取り込みは正しいが、それは経済の成功、工場の活動の健全な脈動があり、現場にとどまるプロレタリアの不断の党への流入が保障されている場合に官僚主義を抑止できる。ソ連では、前者の肥大が進んだ結果スターリン体制の誕生となる。

3、党内の縄張り主義や身内意識は、フラクションの温床というか官僚主義の結果であり、それらを克服するのは党内民主主義=労働者民主主義による積極的交流しかない。

4、官僚主義は、官庁的悪習の総体ではなく、人間と事物に対する一定の管理制度としての社会現象であり、広範な大衆の非文化性の度合いに応じて複雑化する。ソ連では、国営工業と農業市場の強制的な結合をなす国家機構として、また常備軍の必要も官僚制をもたらした。

5、ソ連当時の反革命は、国営工業と農業市場との不調和、不適合の増大であり、農村における富農層の増大、富農層と私的資本の結合、農村と都市の勤労者の低い文化水準などであり、例えば、国営資本に対する私的資本の優位性の漸次的増大は、機構のブルジョア化をもたらし、私的資本と農民の結合が早い場合は、それだけ激しい反政府闘争となる。経済的諸関係により、反革命の形態、速度が決まる。

6、革命とは、単なる政治的獲得物や社会改革の後で終結するものではなく、不断にその可能性と資源をくみつくし、新しい社会主義社会の形成という限界しか知らないものである。政権獲得で終わるのが、革命ではない。

7、党の政治制度は、労働者民主主義と中央集権制という党建設の二側面が、最も正しく、情勢に即応する形で釣り合う点に真理がある。どちらかだけでは、真理ではないのである。

8、労働者民主主義と中央集権主義は、各人においては個人の独立と規律順守との必要な均衡、調和のとれた行動と強固な規律の必要性に対する理解として存在する。

つまり、組織の人間としては官僚主義はフラクションをもたらすのに断固反対し、真に組織的な人間というのは、正義の独立精神が内的な規律順守と結びついているような人格のことであり、この生きた組織的な有機性を実現できるようにこのような人格形成を全組織的に目指すことである。世代間の官僚主義的管理は、この可能性を破壊する。これは、党だけではなく、企業にも共通する。

本書は、トロツキーによる官僚主義の完璧な反駁であるが、彼は、理論だけではスターリン主義を打倒できなかった。トロツキーは、赤軍を用いてスターリンを打倒する以外に、当時手がもうなかったと言える。組織局を牛耳り、自派の人間を機構に送り込みつづけたスターリンを倒すには、もう武力しかなかったのであるが、彼は1923年でもそれをしなかった。


Source:中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! Keep going, comrades! 親米親中親露!米中露至上主義!民主主義に禁句はないし、国境も文化の垣根もない!民主主義を世界へ!在日外国人への差別を止めよう!反陰謀論悪徳業者!) 

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