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Monday, January 26, 2015


「ピケティは日本経済をどう見るか?」:ピケティ本人はアベノミクスは間違いと明言!2015/1/26
今ピケティ氏来日に際し、ピケティ氏をアベノミクス支持や財務省支持へ巧妙に悪用するプロパガンダ工作がネットでも発動されています。我々は、安倍一派や財務省にミスリードされぬ為に精確にピケティ氏の理論を理解しなくてはなりません。本誌はその素敵な一助になります!

ピケティ氏はなんと、本雑誌のインタビューで見事にそれを反証してくれています! 彼は、アベノミクスは間違いであると明言しました。

 本誌:日本はどちらかと言えば金融政策に頼りがちです。アベノミクスは資産バブルを誘発しています。

 ピケティ: (アベノミクスのやり方)間違いだ。われわれは税務政策に比べ、金融政策に対してあまりに高い期待を持っている。日本にとっては、欧州や米国と同じように、金融政策は魅力的だろう。何十億円もの紙幣を印刷するのは簡単だからだ。

 税制を変えるとなると、計算表を作る作業が膨大で、富裕層の反対も受けるし、事態はより複雑になる。だが、税務対策が最も透明性が高い。紙幣を印刷しても、何らかの利子率を下げたりすると、特定のセクターがバブル化したり、必ずしも富ませるべきでない人を富ませることになったりする危険がある。(本誌「ピケティは日本経済をどう見るか」, P.51)

以下がその他の本誌掲載のピケティとの対談録です。

質問:日本の将来の不平等について何が心配ですか?

ピケティ:日本のケースは、私が『21世紀の資本』の中で言っている事を例証しているようでとても興味深い。戦後の極めて高い経済成長と、現在の非常に低い成長率との差が際立つ。成長がゆっくりの国では、国民所得比で見た資本(富)の蓄積はより大きくなる。日本は欧州と同じ様に国民所得比で3倍から6~7倍へ拡大した。これは非常に高い水準だ。

質問:それだけ資本分配率が増え、労働分配率が減る可能性があるということですね。人口減少も富みの集中が進む要因だと主張しています。

ピケティ:例えば、夫婦に子供が10人いるなら、相続はそれほど重要ではない。10人に分配するから一人当たりは少なくなる。だから子供は自分で富を蓄積しなければならない。しかし人口減少社会では低成長率に依って国民所得比での富の蓄積がどんどん進む。しかも、子供が1人しかいない場合だと、2人の両親から財産を継ぐが、双方の親に富がなければ、どちらからも財産を継承できない。このように世襲によって受け継がれる不平等もとても大きくなる。これは業績主義の理想に対するリスクだ。

質問:日本は政府債務残高がGDP(国内総生産)の200%を超え、先進国で最悪の財政状況です。

ピケティ:確かに日本の国家のバランスシートは資産と負債がほぼ同量になるまで悪化した。ただ、日本は公的資本(純資産)の減少分よりも、民間資本(純資産)の増加分がずっと大きい。これはどちらかと言えば、よいニュースだ。日本は欧州と同じで、政府は貧しいが、民間資本によって国全体の資本はかつてないほど豊かになっている。
 国民所得に比べて民間資本がこれほど大きい国で解決策は何になるだろうか。私は日本も欧州と同様に、資本への課税を増やすことを提言する。国民の大半にとって労働所得は停滞している。一方で不動産、資産の高度な資本化が進んでいる。労働所得に対して減税、資本に対して増税するのは自然な解決策だろう。これはバブルを防ぐことにも役立つ。イギリスと同じ轍を踏んではいけない。'' 

質問:反対に、すべきでないことは? '' 

ピケティ:たとえば公的債務の危機は過去にもあった。イギリスは19世紀に、今の日本と同様、GDPの200%の水準になったことがある。19世紀のイギリスは、歳出削減によって予算を黒字化させて公的債務を減らすという、オーソドックスなやり方でこの危機を乗り越えた。'' だが問題は、非常に時間がかかったということだ。解決には1世紀を要した。その間、イギリスは毎年GDPの1~2%の黒字を蓄積していき、自国の金利生活者にカネを返し続けた。結果、イギリスは教育への投資を減らしてしまった。これは、今の日本や欧州が「同じ轍を踏まないように」と考えさせる重要な教訓だと思う。(本誌「ピケティは日本経済をどう見るか」, P.51)

ピケティ氏は、ここでもネオリベ政策であるアベノリスクに力強い反対を表明して下さっています!ピケティ氏はネオリベではなく、思想に於いても全く対局にある社会民主主義者であり、財務省版消費大増税のイデオローグにはなりえません。

素敵なインタビュー記事に感謝致します!早速購読し感激して読み込んでいます!

本書は全日本国民必読です!

Cited from 

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
(トップ500レビュアー)   

Sunday, January 25, 2015


ピケティ氏はアベノミクスの誤りを明確に指摘!2015/1/26
今ピケティ氏来日に際し、ピケティ氏をアベノミクス支持や財務省支持へ悪用するプロパガンダが発動されています。

しかし、ピケティ氏は本雑誌のインタビューで見事にそれを反証してくれています! 

 東洋経済新聞:日本はどちらかと言えば金融政策に頼りがちです。アベノミクスは資産バブルを誘発しています。

 ピケティ (アベノミクスのやり方)間違いだ。われわれは税務政策に比べ、金融政策に対してあまりに高い期待を持っている。日本にとっては、欧州や米国と同じように、金融政策は魅力的だろう。何十億円もの紙幣を印刷するのは簡単だからだ。

 税制を変えるとなると、計算表を作る作業が膨大で、富裕層の反対も受けるし、事態はより複雑になる。だが、税務対策が最も透明性が高い。紙幣を印刷しても、何らかの利子率を下げたりすると、特定のセクターがバブル化したり、必ずしも富ませるべきでない人を富ませることになったりする危険がある。(本誌参照)

ピケティ氏は、ここでもネオリベ政策であるアベノリスクに力強い反対を表明して下さっています!

素敵なインタビュー記事に感謝致します!早速購読し感激して読み込んでいます!

本書は全日本国民必読です!

Cited From:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
(トップ500レビュアー)

ピケティの日本経済論所収:21世紀の新・資本論はアベノミクスを肯定せず2015/1/23
ピケティは、ユーロ圏の公的債務の共有制だけでなく、グローバルな法人税の累進課税を主張しています。

ピケティ:単独では、投機家や詐欺師にいいようにしてやられてしまうだろう。これでは、ヨーロッパの優れた社会モデルを守るよい方法とはいえない。ユーロ圏の公的債務の共同管理が急務だと言うのはこのためである。その目的は、各国の国債が絶えず市場の力にさらされて利回りがのべつ乱高下するのを防ぐことにある。又、多くの多国籍企業が税逃れをしている法人税に就いても、ヨーロッパ全体での対応が必要だ。この二点を、そしてこの二点のみを、連邦制の下で管理し、監督する事が望まれる。(本書、P.317-8)

本書は、フランス社会党の理論的支柱である社会民主主義者ピケティ氏によるリベラシオン紙上における2004年9月から2014年6月までの論考を集成した大著です。ピケティ論議での典型的な誤りは、ネット書店でもピケティは全て個人単位での課税のみを主張しているかのように流言を流布する人達がいますが、ピケティ本人の諸論考によれば、相続税、資産税は当然個人単位であり、法人税の累進課税(効率的に徴収できる)、欧州共同法人税、共同債も主張していることが、本書からはっきりします。以下がピケティ本人の見解の中で最も肝要な提言です。

ピケティ:各国の税制が辿ってきた長い道のりを振り返ると、ある一つの傾向が浮かび上がる。まず、単純な課税ベース(関税等貿易に対する間接税)から始めるということだ。より複雑で干渉的な税(所得税、法人税など)を導入し、効率的に徴収するためには、国家が行政能力と政治的正統性を確立する必要があり、これは一朝一夕にはいかないものである。企業の利益に対する共通新税を導入しさせすれば国際課税の新たな歴史が始まる、などという幻想を抱いてはいけない。まずは、足下のヨーロッパで法人税の擦り合わせを行わなければならないが、此れでさえ実現は容易ではない。(中略)あまりスマートではないが、より現実的な解決は、おそらく国際貿易への課税である。世界の貿易総額は年10兆ドルを上回っており、0.1%の課税で同じく100億ドルの税収を見込める。しかもこの税なら、すべての国が賛同しなくてもすぐに適用を開始できるというメリットがある。(本書、P.35)

ピケティは、ユーロ圏の公的債務の共有制だけでなく、グローバルな法人税の累進課税を主張しています。

ピケティ:単独では、投機家や詐欺師にいいようにしてやられてしまうだろう。これでは、ヨーロッパの優れた社会モデルを守るよい方法とはいえない。ユーロ圏の公的債務の共同管理が急務だと言うのはこのためである。その目的は、各国の国債が絶えず市場の力にさらされて利回りがのべつ乱高下するのを防ぐことにある。又、多くの多国籍企業が税逃れをしている法人税に就いても、ヨーロッパ全体での対応が必要だ。この二点を、そしてこの二点のみを、連邦制の下で管理し、監督する事が望まれる。(本書、P.317-8)

このように、ピケティはネトウヨ達がネット書店工作でミスリードさせようと思っている様に、個人単位だけの課税をするなど何処でも言っていないし、世界同時課税でなくては不可能などという非難にもとっくに過去の論考で反論しています。

他に極めて重要なのが財務省の詭弁を打ち破ったピケティの以下の分析です。

ピケティ:日本政府はたしかにGDPの200%を上回る債務を抱えてはいるが、同時にGDPのおよそ100%相当の非金融資産(国有地、公共用資産)と、やはりGDP100%相当の金融資産(国営・公営企業の持ち分、郵便貯金など公的金融機関の資産等)を持っている。従って、資産と負債はほぼ釣り合っている。(本書、P.253)

ピケティ氏は、評者が熟読する限り欧州共同債の導入で、共通通貨でも債務がEU内で不均衡であるのを是正するよう提言したり、反ネオリベで、中央銀行による造幣で金融危機を乗り越える手段にも反対せず(ただ彼は米連銀や日銀が実は民間銀行であることを知らない)、労働者の購買力低下期に於ける負担税率(付加価値税等)の引き上げにも反対しています。

法人税と資産税の累進課税論や、資本収益率が経済成長率を上回っているという基本的見地も既に過去の論考で散見されます。

さらに、選挙について彼は、調査会社の生データとデータの補正法の公開義務を制度化することで不正な情報操作を打破することを提唱しています。これこそ日本に必須な選挙改革のアイディアです。

又、日本のピケティ本の悪質な便乗者達が称している様な、税率の一元的適用にピケティ本人は諸処の論考で反対しています。以下に所収の最重要論考である論文「日本:民間は金持ちで政府は借金まみれ」を転用します。

本書で私が最重要な論考だと思ったのは、以下の箇所です。

第51節の「日本:民間は金持ちで政府は借金まみれ」で、ピケティは日本の財務省のTPRによる財政危機論を論破して、日本の法人税、資産税の強化を提唱しています。日本政府の資産は、実は政府負債と十分均衡するのです。決して彼は消費税増税を支持していませんので、日本のサルコジというべき弱肉強食の、人質見殺し政権であるネオリベ安倍一派は、読者の無知につけ込んでピケティ本の人気を悪用できません。

ピケティ:ヨーロッパから見ると、日本の現状は摩訶不思議で理解不能である。政府債務残高がGDPの二倍、つまりGDP二年分にも達するというのに、日本では誰も心配していない様に見えるのは、どうしたことか。どんな事情で、あるいはどんな政治的決断に依って、借金がこれほど莫大になったのか。我々は、日本の政府債務をGDP比や絶対額で毎日の様に目にして驚いているのだが、これらは日本人にとって何の意味ももたないのか、それとも数字が発表されるたびに、みんな大急ぎで目を逸らしてしまうのだろうか。政府債務に就いて考える際に一番いいのは、国民経済計算を参照する事である。ほとんどの国がストック面のデータ(国民貸借対照表)を公表している。すなわち、家計、企業、産出と所得というフロー面だけでなく、政府部門が保有する資産(固定資産及び金融資産)と相互及び対外的な負債である。

ただし、この統計は、完璧ではない。例えば、グローバル・ベースで言うと、正味金融資産は世界全体でマイナスになっている。これは論理的にはあり得ないー地球の資産を火星が所有しているなら、話はべつだが。マイナスになるのはまずもって、確実に、金融資産のかなりの部分がタックス・ヘイブン(租税回避地)にあり、それを所有している非居住者がしかるべく申告していないからである。 経済学者のガブリエル・ズックマンがこのほど発表したように、ユーロ圏の金融資産では、公式統計とは逆に大幅なプラスのはずだという。ヨーロッパの金持ちには財産の一部を隠す理由が大いにあり、EUは、それを防ぐ為にすべきことやできる事を怠っている。だが、統計が不完全だからといってがっかりする必要はない。むしろ国民経済計算を徹底的に調べることによって、改善に貢献できる。経済学においては、最低限の所から始めるという原則を受け入れなければならない。それによってこの学問は興味深いものになるし、大きな進歩も可能になる。

調査や分析を怠れば、必ず最富裕層を利する事になる。それも、築き上げた財産よりも、棚ぼた式に手に入れた財産の持ち主を利することになりやすい。人間は、後者の方を何としても守ろうとするものだからである。

日本の話に戻ろう。政府債務を論じる時にまず注目するべきは、個人資産は常に一国の負債(政府部門+民間部門)を大幅に上回ることだ。日本も、ヨーロッパもアメリカも、家計部門の固定資産と金融資産の合計(負債差し引き後)は、おおむねGDPの500から600%になる。富裕国では、大雑把に言って国民一人当たりの所得が3万ユーロだとすれば、平均的な資産は一人当たり18万ユーロになる。つまり年収6年分である。

次に、日本政府はたしかにGDPの200%を上回る債務を抱えてはいるが、同時にGDPのおよそ100%相当の非金融資産(国有地、公共用資産)と、やはりGDP100%相当の金融資産(国営・公営企業の持ち分、郵便貯金など公的金融機関の資産等)を持っている。従って、資産と負債はほぼ釣り合っている。

ところが日本の政府部門の資産ポジションは、此処数年ややマイナスになっている。これはきわめて異常な事だ。しかも政府は、所有しているものを全て売るということはできないのである。比較の為に、フランスとドイツの政府部門を見てみよう。どちらも、グローバル金融資産危機の後でさえ、大幅にプラスになっている。例えば、フランスの場合、政府債務残高はGDPの100%に達しているが、政府の保有資産(非金融資産+金融資産)は同150%である。

この日本特有の状況は、同国(政府部門+民間部門)の保有する対外純資産が巨額に達していることを考えると、一段と衝撃的である。過去20年の間に、日本は国民所得1年分に相当する対外純資産を積み上げてきた。民間部門が金持ちで政府部門は借金まみれという不均衡は、東日本大震災の前から顕著だった。

この不均衡を解消するためには、民間部門(GDPに占める割合は30%程度)に重く課税する以外にない。

(本書、PP.251-254)

ピケティは、ここでは法人税や資産税による民間富裕層からの富の再分配の必要性を説いています。さらに、ピケティは植草さんの政治経済学理論とも多くの接点(社会民主主義、フリードマンのマネタリズム経済学へ理解とそのネオリベラリズムへの反対など)がある事が、本書を熟読して感受できました。

ピケティも植草さんも財務省の詭弁を論破し、日本政府が消費増税に利用する債務危機論が、政府資産と債務の均衡状態を無視した事を指摘し、 調査や分析を怠れば、必ず最富裕層を利する事になることに警鐘を鳴らしています。

つまり、ピケティは財務省とは違い、購買力を無視し一元的に中小企業や低所得層にも課税を強化することに反対しています。財務省版の消費税増税論とピケティの法人税、資産税、所得税の累進課税と弱者の購買力増強支持の課税論とは、全く似て非なる主張です。この両者は、明確に理論的に対立軸にあります。

本書は全日本国民必読の書です。Thank you for your great effort to fight against neoliberalism, Mr. Piketty! Welcome to Japan!

Cited From:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
(トップ500レビュアー)    
''TPP is a sacred trust of the 'multi-national companies', the authority for which is derived from the 'multi-national companies', the powers of which are exercised by the representatives of 'multi-national companies', and the benefits of which are enjoyed by the 'multi-national companies'.''

TPPの秘密情報大公開!安倍政権は日米並行協議でTPP締結前にそれを前倒しで実現中!2013/12/3
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本書では、対米従属勢力によってまき散らされているTPPに関する多くの非公開の謎と嘘が、元農林水産大臣の著者により網羅的に暴露されている。(付録はリークされたTPP協定29章の内の13章である)
基本的にTPPの内容と弊害、及び御用メディアのTPP擁護論はNAFTA北米自由貿易協定と米韓FTAの有様と正に同様であり、しかも安倍政権はTPP協議と同時に日米並行協議でTPPの内容を前倒しで目下実現中なのである。
特筆すべきは、ISD条項は、米韓FTA締結後も米国内では連邦法により、政府が合意しても目下全州の反対でそれらの州政府に適用されていないし、リーク情報では国務省は、冷戦期から新自由主義を採るシカゴ学派信奉者に牛耳られた、米支配下の世界銀行を秘密の仲裁機関とするISD条項の訴訟において、一方的に不公正な判決を指示していることが分かる。例えば2012年にNAFTAで、米企業に告訴されたメキシコ政府側の主張を一方的に棄却させ敗訴させる指令を多国籍企業の仲裁人弁護士に下していたことが判明している。つまり、世銀におけるISD条項による訴訟は一般的に米国不敗の体制が国務省の秘密統制によって形成されているし、その上に連邦法で各州反対のために彼らには同条項は未だ適用されえないのである。ここに史上最大の不平等条約(協定)たるその帝国主義的本質がある。
本書で立証されているTPPの弊害は文字通りビジネス及びビジネス化可能な人間社会の全領域に及ぶ。TPPは、自国他国を問わぬ公共事業の聖域なき民営化(私営事業化)、聖域なき商品化に限らず、ISD条項を鞭にするその訴訟の仲裁国、支配国たる米国への属国化、内部市場化の無制限の貫徹であり、我々の想像を超えていわゆる日本の地方市町村の自治体の諸事業も多国籍企業による私営事業化とISD訴訟の脅威にさらされるのである。ナオミ・クラインの言葉を借りれば、TPPにおける新自由主義(通称グローバリズム)の採るいわゆる「ショック療法」の「ショック」とはISD訴訟への恐怖である。
TPPとは、(主として米国の)多国籍企業の、多国籍企業による、多国籍企業のための不平等条約である。その受益者は、多国籍企業、大企業であり、中小零細企業、農民と労働者ではないのである。
本書の要諦を幾つか部分だけ紹介したい。
1) TPPの秘密保持4年を、安倍政権は秘密保護法でさらに補強した。
2) 維新の会は戦略特区を大阪に設けて、それをやがて拡大し公立学校の全面的な民営化を目指している。
3) 特区を設けて米国のような金銭解雇を日本型雇用制下で可能にしていく。
4) 混合診療はすでに日本で部分的に導入されている。病院の株式会社化と混合診療の全面解禁が実施される。
5) 日米並行協議はTPP協議と別であり、むしろ日米並行協議でその内容が前倒しで実現されてきている。たとえTPP交渉挫折しても、日米並行協議でその内容が実現される。
6) 農業対経済の二元論は御用メディアが日韓で使っている。米韓FTA締結後、韓国の畜産業は一年で七割が壊滅した。農業と関連産業の壊滅と地方自治体の破綻の危機が深刻である。
7) NAFTA後のメキシコの農民は2000万人廃業し、これが米国への移民や違法就労の原因となり、残った貧困農家は米国のGM多国籍企業の子会社の奴隷的農業労働者に没落した。
8) 米国民の80%は既にTPP反対である。
9) TPA法案は2007年に失効し、米大統領は外交交渉権を有せず、TPPは締結不能になる公算はある。
10) 日本側の自動車大手は、輸出増となると称した関税の全廃を放棄し、米国の自動車関税を据え置きとした形で妥協した。しかも、主要生産拠点は彼らにとって日本でなく米国にあり、あくまで連中の意図は自国日本の輸出力増大ではさらさらなく、あくまで米国から第三国への輸出攻勢であり、日本のGDPにはもちろんプラスにはならない事は承知の上である。
11) 日米並行協議から、派遣労働の拡大強化、派遣事業の全面解禁が実現したために、全体として労働者の給与はさらに零落する。
12) 米国はTPP加盟国の環境と労働基準を統一すると明言しているが、時代に適合せずひずみだらけの日本型雇用システム下で、この新自由主義を導入する形の複合的弊害は、ジョブ型社会の米国にも見られない超格差社会を生んでいく。日本の非正規は米国の職務給のいかなる労働形態よりも低賃金であり、比較にならない程劣悪な労働条件である。また再就職の為の支援金を払えば誰でも解雇できるという規定は、ジョブ型正社員の概念とは別である点も留意しなければならない。
13) 2015年の郵政株売却で、郵便貯金は多国籍企業の投資資金として運用され、恐慌時に日本国民の預金が紙くずになる。
14) 日本の生命保険会社は既に多くが米国の民間保険会社の傘下になり、TPP推進、混合診療の導入を狙っている。
15) 郵政と同様に農協も保険業が分離された上に民営化される。
16) 米国は日本の軽自動車規格の廃止と軽自動車税増税、整備工場全廃、ディーラー制度廃止などを要求し、米国車輸出攻勢を画策している。
17) キャンベル事務次官補の筆頭代理ズムライトは、筆者に米韓FTA以上のものを日本にTPPで求めると明言しているが、これには日米並行協議も含まれる。
18) TPPで、地方公共事業の土建関連も大手ゼネコン、多国籍企業が入札し、雇用は東南アジアなどの廉価の労働力を商用ビジネスなどの名目で来日させ従事させ、地方の中小土建業者はこれまでの独占的な地方土木事業を奪われ壊滅する。NAFTAで、米国では既に中小建設会社は消えた。
19) 漁業補助金や国の助成は既にブルネイ合意で禁止が確定した。
20) 日本政府算出のGDP増加や失業率のTPP締結後の推測値は幼稚な算数によるものだった!1ドル108円で10年変わらないと簡単に断定したり、現在の失業率が10年変わらないと決めつけた上での単純計算だった。
21) 米国の世界支配の二大外交戦略は軍事と食料戦略である。
22) 財務省調査では、消費税を6%以上も生活必需品や食料にかけている先進国は他にない。カナダもイギリスも生活必需品や食料などには消費税をかけていない。
23) 日本ではもともと大企業の社会保険料負担は米国などよりも極端に低く、日本の法人税はそのために高くはないと言う事。米国の多国籍企業もタクスヘブンに本社を移し、まさに多国籍企業のための世界を構築するための新自由主義、TPPなのである。

以上は本書で指摘されているTPPの弊害のほんの一部である。TPPは、新自由主義による主として米国の多国籍企業(大企業)の、多国籍企業による、多国籍企業のための不平等極まる自由貿易協定であり、その受益者は米国とその傀儡的な国内の多国籍企業(大企業)であり、連中の無制限な他国のあらゆる地域、市町村、公共事業の細分化された私営事業化と人間活動の全領域における聖域なきビジネス化の国際的な貫徹が達成されようとしている。その全ては、国際間で中小零細企業、農民と労働者全体の一方的な犠牲と巨額の被害の上に連中の巨万の富が最大限化される構図である。

''TPP is a sacred trust of the 'multi-national companies', the authority for which is derived from the 'multi-national companies', the powers of which are exercised by the representatives of 'multi-national companies', and the benefits of which are enjoyed by the 'multi-national companies'.''

本書の著者山田正彦さんには、一日本国民として未だに国民に知らされていないTPPの幾多の真実を勇気をもって公開してくださったことに本当に感謝致します!

本書は全日本国民必読の書です。

Cited From:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
(トップ500レビュアー)    

ピケティの日本経済論所収:21世紀の新・資本論はアベノミクスを肯定せず2015/1/23
ピケティは、ユーロ圏の公的債務の共有制だけでなく、グローバルな法人税の累進課税を主張しています。

ピケティ:単独では、投機家や詐欺師にいいようにしてやられてしまうだろう。これでは、ヨーロッパの優れた社会モデルを守るよい方法とはいえない。ユーロ圏の公的債務の共同管理が急務だと言うのはこのためである。その目的は、各国の国債が絶えず市場の力にさらされて利回りがのべつ乱高下するのを防ぐことにある。又、多くの多国籍企業が税逃れをしている法人税に就いても、ヨーロッパ全体での対応が必要だ。この二点を、そしてこの二点のみを、連邦制の下で管理し、監督する事が望まれる。(本書、P.317-8)

本書は、フランス社会党の理論的支柱である社会民主主義者ピケティ氏によるリベラシオン紙上における2004年9月から2014年6月までの論考を集成した大著です。ピケティ論議での典型的な誤りは、ネット書店でもピケティは全て個人単位での課税のみを主張しているかのように流言を流布する人達がいますが、ピケティ本人の諸論考によれば、相続税、資産税は当然個人単位であり、法人税の累進課税(効率的に徴収できる)、欧州共同法人税、共同債も主張していることが、本書からはっきりします。以下がピケティ本人の見解の中で最も肝要な提言です。

ピケティ:各国の税制が辿ってきた長い道のりを振り返ると、ある一つの傾向が浮かび上がる。まず、単純な課税ベース(関税等貿易に対する間接税)から始めるということだ。より複雑で干渉的な税(所得税、法人税など)を導入し、効率的に徴収するためには、国家が行政能力と政治的正統性を確立する必要があり、これは一朝一夕にはいかないものである。企業の利益に対する共通新税を導入しさせすれば国際課税の新たな歴史が始まる、などという幻想を抱いてはいけない。まずは、足下のヨーロッパで法人税の擦り合わせを行わなければならないが、此れでさえ実現は容易ではない。(中略)あまりスマートではないが、より現実的な解決は、おそらく国際貿易への課税である。世界の貿易総額は年10兆ドルを上回っており、0.1%の課税で同じく100億ドルの税収を見込める。しかもこの税なら、すべての国が賛同しなくてもすぐに適用を開始できるというメリットがある。(本書、P.35)

ピケティは、ユーロ圏の公的債務の共有制だけでなく、グローバルな法人税の累進課税を主張しています。

ピケティ:単独では、投機家や詐欺師にいいようにしてやられてしまうだろう。これでは、ヨーロッパの優れた社会モデルを守るよい方法とはいえない。ユーロ圏の公的債務の共同管理が急務だと言うのはこのためである。その目的は、各国の国債が絶えず市場の力にさらされて利回りがのべつ乱高下するのを防ぐことにある。又、多くの多国籍企業が税逃れをしている法人税に就いても、ヨーロッパ全体での対応が必要だ。この二点を、そしてこの二点のみを、連邦制の下で管理し、監督する事が望まれる。(本書、P.317-8)

このように、ピケティはネトウヨ達がネット書店工作でミスリードさせようと思っている様に、個人単位だけの課税をするなど何処でも言っていないし、世界同時課税でなくては不可能などという非難にもとっくに過去の論考で反論しています。

他に極めて重要なのが財務省の詭弁を打ち破ったピケティの以下の分析です。

ピケティ:日本政府はたしかにGDPの200%を上回る債務を抱えてはいるが、同時にGDPのおよそ100%相当の非金融資産(国有地、公共用資産)と、やはりGDP100%相当の金融資産(国営・公営企業の持ち分、郵便貯金など公的金融機関の資産等)を持っている。従って、資産と負債はほぼ釣り合っている。(本書、P.253)

ピケティ氏は、評者が熟読する限り欧州共同債の導入で、共通通貨でも債務がEU内で不均衡であるのを是正するよう提言したり、反ネオリベで、中央銀行による造幣で金融危機を乗り越える手段にも反対せず(ただ彼は米連銀や日銀が実は民間銀行であることを知らない)、労働者の購買力低下期に於ける負担税率(付加価値税等)の引き上げにも反対しています。

法人税と資産税の累進課税論や、資本収益率が経済成長率を上回っているという基本的見地も既に過去の論考で散見されます。

さらに、選挙について彼は、調査会社の生データとデータの補正法の公開義務を制度化することで不正な情報操作を打破することを提唱しています。これこそ日本に必須な選挙改革のアイディアです。

又、日本のピケティ本の悪質な便乗者達が称している様な、税率の一元的適用にピケティ本人は諸処の論考で反対しています。以下に所収の最重要論考である論文「日本:民間は金持ちで政府は借金まみれ」を転用します。

本書で私が最重要な論考だと思ったのは、以下の箇所です。

第51節の「日本:民間は金持ちで政府は借金まみれ」で、ピケティは日本の財務省のTPRによる財政危機論を論破して、日本の法人税、資産税の強化を提唱しています。日本政府の資産は、実は政府負債と十分均衡するのです。決して彼は消費税増税を支持していませんので、日本のサルコジというべき弱肉強食の、人質見殺し政権であるネオリベ安倍一派は、読者の無知につけ込んでピケティ本の人気を悪用できません。

ピケティ:ヨーロッパから見ると、日本の現状は摩訶不思議で理解不能である。政府債務残高がGDPの二倍、つまりGDP二年分にも達するというのに、日本では誰も心配していない様に見えるのは、どうしたことか。どんな事情で、あるいはどんな政治的決断に依って、借金がこれほど莫大になったのか。我々は、日本の政府債務をGDP比や絶対額で毎日の様に目にして驚いているのだが、これらは日本人にとって何の意味ももたないのか、それとも数字が発表されるたびに、みんな大急ぎで目を逸らしてしまうのだろうか。政府債務に就いて考える際に一番いいのは、国民経済計算を参照する事である。ほとんどの国がストック面のデータ(国民貸借対照表)を公表している。すなわち、家計、企業、産出と所得というフロー面だけでなく、政府部門が保有する資産(固定資産及び金融資産)と相互及び対外的な負債である。

ただし、この統計は、完璧ではない。例えば、グローバル・ベースで言うと、正味金融資産は世界全体でマイナスになっている。これは論理的にはあり得ないー地球の資産を火星が所有しているなら、話はべつだが。マイナスになるのはまずもって、確実に、金融資産のかなりの部分がタックス・ヘイブン(租税回避地)にあり、それを所有している非居住者がしかるべく申告していないからである。 経済学者のガブリエル・ズックマンがこのほど発表したように、ユーロ圏の金融資産では、公式統計とは逆に大幅なプラスのはずだという。ヨーロッパの金持ちには財産の一部を隠す理由が大いにあり、EUは、それを防ぐ為にすべきことやできる事を怠っている。だが、統計が不完全だからといってがっかりする必要はない。むしろ国民経済計算を徹底的に調べることによって、改善に貢献できる。経済学においては、最低限の所から始めるという原則を受け入れなければならない。それによってこの学問は興味深いものになるし、大きな進歩も可能になる。

調査や分析を怠れば、必ず最富裕層を利する事になる。それも、築き上げた財産よりも、棚ぼた式に手に入れた財産の持ち主を利することになりやすい。人間は、後者の方を何としても守ろうとするものだからである。

日本の話に戻ろう。政府債務を論じる時にまず注目するべきは、個人資産は常に一国の負債(政府部門+民間部門)を大幅に上回ることだ。日本も、ヨーロッパもアメリカも、家計部門の固定資産と金融資産の合計(負債差し引き後)は、おおむねGDPの500から600%になる。富裕国では、大雑把に言って国民一人当たりの所得が3万ユーロだとすれば、平均的な資産は一人当たり18万ユーロになる。つまり年収6年分である。

次に、日本政府はたしかにGDPの200%を上回る債務を抱えてはいるが、同時にGDPのおよそ100%相当の非金融資産(国有地、公共用資産)と、やはりGDP100%相当の金融資産(国営・公営企業の持ち分、郵便貯金など公的金融機関の資産等)を持っている。従って、資産と負債はほぼ釣り合っている。

ところが日本の政府部門の資産ポジションは、此処数年ややマイナスになっている。これはきわめて異常な事だ。しかも政府は、所有しているものを全て売るということはできないのである。比較の為に、フランスとドイツの政府部門を見てみよう。どちらも、グローバル金融資産危機の後でさえ、大幅にプラスになっている。例えば、フランスの場合、政府債務残高はGDPの100%に達しているが、政府の保有資産(非金融資産+金融資産)は同150%である。

この日本特有の状況は、同国(政府部門+民間部門)の保有する対外純資産が巨額に達していることを考えると、一段と衝撃的である。過去20年の間に、日本は国民所得1年分に相当する対外純資産を積み上げてきた。民間部門が金持ちで政府部門は借金まみれという不均衡は、東日本大震災の前から顕著だった。

この不均衡を解消するためには、民間部門(GDPに占める割合は30%程度)に重く課税する以外にない。

(本書、PP.251-254)

ピケティは、ここでは法人税や資産税による民間富裕層からの富の再分配の必要性を説いています。さらに、ピケティは植草さんの政治経済学理論とも多くの接点(社会民主主義、フリードマンのマネタリズム経済学へ理解とそのネオリベラリズムへの反対など)がある事が、本書を熟読して感受できました。

ピケティも植草さんも財務省の詭弁を論破し、日本政府が消費増税に利用する債務危機論が、政府資産と債務の均衡状態を無視した事を指摘し、 調査や分析を怠れば、必ず最富裕層を利する事になることに警鐘を鳴らしています。

本書は全日本国民必読の書です。Thank you for your great effort to fight against neoliberalism, Mr. Piketty! Welcome to Japan!

Cited From:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
(トップ500レビュアー)  

学校の講義でも、企業のプレゼンでも必須です!2015/1/24
私は、米国のUCLAで受講しているときにも、教室は基本的にパソコンは学生持ち込み制で、プレゼンにはPC対応のプロジェクターしかなかったので、アダプター付きでHDMI to VGA変換コンバーターを使用していました。

本製品は、HDクオリティーで出力でき、発熱も抑制されており、MacにもPCにも対応できます。最も、UCLAでさえ、プロジェクター自体がSD仕様のままでしたので、本製品のようにHD出力対応は格別に有り難いです。

現在では、HD仕様は標準規格なので、会議室や講義室では、パソコン共々本製品は正に必須です。

このように低価格、高品質で、標準的且つ汎用性を有したコンバーターを提供しているUGREEN GROUP LIMITEDさんに、一利用者として感謝致します。

本製品は、プロジェクターでプレゼンをする全ての消費者必須のツールです!

Cited From:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
(トップ500レビュアー) 

ピケティの日本経済論所収:21世紀の新・資本論はアベノミクスを肯定せず2015/1/23
ピケティは、ユーロ圏の公的債務の共有制だけでなく、グローバルな法人税の累進課税を主張しています。

ピケティ:単独では、投機家や詐欺師にいいようにしてやられてしまうだろう。これでは、ヨーロッパの優れた社会モデルを守るよい方法とはいえない。ユーロ圏の公的債務の共同管理が急務だと言うのはこのためである。その目的は、各国の国債が絶えず市場の力にさらされて利回りがのべつ乱高下するのを防ぐことにある。又、多くの多国籍企業が税逃れをしている法人税に就いても、ヨーロッパ全体での対応が必要だ。この二点を、そしてこの二点のみを、連邦制の下で管理し、監督する事が望まれる。(本書、P.317-8)

本書は、フランス社会党の理論的支柱である社会民主主義者ピケティ氏によるリベラシオン紙上における2004年9月から2014年6月までの論考を集成した大著です。ピケティ論議での典型的な誤りは、ネット書店でもピケティは全て個人単位での課税のみを主張しているかのように流言を流布する人達がいますが、ピケティ本人の諸論考によれば、相続税、資産税は当然個人単位であり、法人税の累進課税(効率的に徴収できる)、欧州共同法人税、共同債も主張していることが、本書からはっきりします。以下がピケティ本人の見解の中で最も肝要な提言です。

ピケティ:各国の税制が辿ってきた長い道のりを振り返ると、ある一つの傾向が浮かび上がる。まず、単純な課税ベース(関税等貿易に対する間接税)から始めるということだ。より複雑で干渉的な税(所得税、法人税など)を導入し、効率的に徴収するためには、国家が行政能力と政治的正統性を確立する必要があり、これは一朝一夕にはいかないものである。企業の利益に対する共通新税を導入しさせすれば国際課税の新たな歴史が始まる、などという幻想を抱いてはいけない。まずは、足下のヨーロッパで法人税の擦り合わせを行わなければならないが、此れでさえ実現は容易ではない。(中略)あまりスマートではないが、より現実的な解決は、おそらく国際貿易への課税である。世界の貿易総額は年10兆ドルを上回っており、0.1%の課税で同じく100億ドルの税収を見込める。しかもこの税なら、すべての国が賛同しなくてもすぐに適用を開始できるというメリットがある。(本書、P.35)

ピケティは、ユーロ圏の公的債務の共有制だけでなく、グローバルな法人税の累進課税を主張しています。

ピケティ:単独では、投機家や詐欺師にいいようにしてやられてしまうだろう。これでは、ヨーロッパの優れた社会モデルを守るよい方法とはいえない。ユーロ圏の公的債務の共同管理が急務だと言うのはこのためである。その目的は、各国の国債が絶えず市場の力にさらされて利回りがのべつ乱高下するのを防ぐことにある。又、多くの多国籍企業が税逃れをしている法人税に就いても、ヨーロッパ全体での対応が必要だ。この二点を、そしてこの二点のみを、連邦制の下で管理し、監督する事が望まれる。(本書、P.317-8)

このように、ピケティはネトウヨ達がネット書店工作でミスリードさせようと思っている様に、個人単位だけの課税をするなど何処でも言っていないし、世界同時課税でなくては不可能などという非難にもとっくに過去の論考で反論しています。

他に極めて重要なのが財務省の詭弁を打ち破ったピケティの以下の分析です。

ピケティ:日本政府はたしかにGDPの200%を上回る債務を抱えてはいるが、同時にGDPのおよそ100%相当の非金融資産(国有地、公共用資産)と、やはりGDP100%相当の金融資産(国営・公営企業の持ち分、郵便貯金など公的金融機関の資産等)を持っている。従って、資産と負債はほぼ釣り合っている。(本書、P.253)

ピケティ氏は、評者が熟読する限り欧州共同債の導入で、共通通貨でも債務がEU内で不均衡であるのを是正するよう提言したり、反ネオリベで、中央銀行による造幣で金融危機を乗り越える手段にも反対せず(ただ彼は米連銀や日銀が実は民間銀行であることを知らない)、労働者の購買力低下期に於ける負担税率(付加価値税等)の引き上げにも反対しています。

法人税と資産税の累進課税論や、資本収益率が経済成長率を上回っているという基本的見地も既に過去の論考で散見されます。

さらに、選挙について彼は、調査会社の生データとデータの補正法の公開義務を制度化することで不正な情報操作を打破することを提唱しています。これこそ日本に必須な選挙改革のアイディアです。

又、日本のピケティ本の悪質な便乗者達が称している様な、税率の一元的適用にピケティ本人は諸処の論考で反対しています。以下に所収の最重要論考である論文「日本:民間は金持ちで政府は借金まみれ」を転用します。

本書で私が最重要な論考だと思ったのは、以下の箇所です。

第51節の「日本:民間は金持ちで政府は借金まみれ」で、ピケティは日本の財務省のTPRによる財政危機論を論破して、日本の法人税、資産税の強化を提唱しています。日本政府の資産は、実は政府負債と十分均衡するのです。決して彼は消費税増税を支持していませんので、日本のサルコジというべき弱肉強食の、人質見殺し政権であるネオリベ安倍一派は、読者の無知につけ込んでピケティ本の人気を悪用できません。

ピケティ:ヨーロッパから見ると、日本の現状は摩訶不思議で理解不能である。政府債務残高がGDPの二倍、つまりGDP二年分にも達するというのに、日本では誰も心配していない様に見えるのは、どうしたことか。どんな事情で、あるいはどんな政治的決断に依って、借金がこれほど莫大になったのか。我々は、日本の政府債務をGDP比や絶対額で毎日の様に目にして驚いているのだが、これらは日本人にとって何の意味ももたないのか、それとも数字が発表されるたびに、みんな大急ぎで目を逸らしてしまうのだろうか。政府債務に就いて考える際に一番いいのは、国民経済計算を参照する事である。ほとんどの国がストック面のデータ(国民貸借対照表)を公表している。すなわち、家計、企業、産出と所得というフロー面だけでなく、政府部門が保有する資産(固定資産及び金融資産)と相互及び対外的な負債である。

ただし、この統計は、完璧ではない。例えば、グローバル・ベースで言うと、正味金融資産は世界全体でマイナスになっている。これは論理的にはあり得ないー地球の資産を火星が所有しているなら、話はべつだが。マイナスになるのはまずもって、確実に、金融資産のかなりの部分がタックス・ヘイブン(租税回避地)にあり、それを所有している非居住者がしかるべく申告していないからである。 経済学者のガブリエル・ズックマンがこのほど発表したように、ユーロ圏の金融資産では、公式統計とは逆に大幅なプラスのはずだという。ヨーロッパの金持ちには財産の一部を隠す理由が大いにあり、EUは、それを防ぐ為にすべきことやできる事を怠っている。だが、統計が不完全だからといってがっかりする必要はない。むしろ国民経済計算を徹底的に調べることによって、改善に貢献できる。経済学においては、最低限の所から始めるという原則を受け入れなければならない。それによってこの学問は興味深いものになるし、大きな進歩も可能になる。

調査や分析を怠れば、必ず最富裕層を利する事になる。それも、築き上げた財産よりも、棚ぼた式に手に入れた財産の持ち主を利することになりやすい。人間は、後者の方を何としても守ろうとするものだからである。

日本の話に戻ろう。政府債務を論じる時にまず注目するべきは、個人資産は常に一国の負債(政府部門+民間部門)を大幅に上回ることだ。日本も、ヨーロッパもアメリカも、家計部門の固定資産と金融資産の合計(負債差し引き後)は、おおむねGDPの500から600%になる。富裕国では、大雑把に言って国民一人当たりの所得が3万ユーロだとすれば、平均的な資産は一人当たり18万ユーロになる。つまり年収6年分である。

次に、日本政府はたしかにGDPの200%を上回る債務を抱えてはいるが、同時にGDPのおよそ100%相当の非金融資産(国有地、公共用資産)と、やはりGDP100%相当の金融資産(国営・公営企業の持ち分、郵便貯金など公的金融機関の資産等)を持っている。従って、資産と負債はほぼ釣り合っている。

ところが日本の政府部門の資産ポジションは、此処数年ややマイナスになっている。これはきわめて異常な事だ。しかも政府は、所有しているものを全て売るということはできないのである。比較の為に、フランスとドイツの政府部門を見てみよう。どちらも、グローバル金融資産危機の後でさえ、大幅にプラスになっている。例えば、フランスの場合、政府債務残高はGDPの100%に達しているが、政府の保有資産(非金融資産+金融資産)は同150%である。

この日本特有の状況は、同国(政府部門+民間部門)の保有する対外純資産が巨額に達していることを考えると、一段と衝撃的である。過去20年の間に、日本は国民所得1年分に相当する対外純資産を積み上げてきた。民間部門が金持ちで政府部門は借金まみれという不均衡は、東日本大震災の前から顕著だった。

この不均衡を解消するためには、民間部門(GDPに占める割合は30%程度)に重く課税する以外にない。

(本書、PP.251-254)

ピケティは、ここでは法人税や資産税による民間富裕層からの富の再分配の必要性を説いています。さらに、ピケティは植草さんの政治経済学理論とも多くの接点(社会民主主義、フリードマンのマネタリズム経済学へ理解とそのネオリベラリズムへの反対など)がある事が、本書を熟読して感受できました。

ピケティも植草さんも財務省の詭弁を論破し、日本政府が消費増税に利用する債務危機論が、政府資産と債務の均衡状態を無視した事を指摘し、 調査や分析を怠れば、必ず最富裕層を利する事になることに警鐘を鳴らしています。

本書は全日本国民必読の書です。Thank you for your great effort to fight against neoliberalism, Mr. Piketty! Welcome to Japan!

Cited From:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
(トップ500レビュアー) 

Friday, January 23, 2015


ピケティの日本経済論所収:21世紀の新・資本論はアベノミクスを肯定せず2015/1/23
本書は、フランス社会党の理論的支柱である社会民主主義者ピケティ氏によるリベラリオン紙上における2004年9月から2011年末までの論考を集成した大著です。ピケティ論議での典型的な誤りは、ネット書店でもピケティは全て個人単位での課税のみを主張しているかのように流言を流布する人達がいますが、ピケティ本人の諸論考によれば、相続税、資産税は当然個人単位であり、法人税の累進課税(効率的に徴収できる)も主張していることが、本書からはっきりします。以下がピケティ本人の見解の中で最も肝要な提言です。

ピケティ:各国の税制が辿ってきた長い道のりを振り返ると、ある一つの傾向が浮かび上がる。まず、単純な課税ベース(関税等貿易に対する間接税)から始めるということだ。より複雑で干渉的な税(所得税、法人税など)を導入し、効率的に徴収するためには、国家が行政能力と政治的正統性を確立する必要があり、これは一朝一夕にはいかないものである。企業の利益に対する共通新税を導入しさせすれば国際課税の新たな歴史が始まる、などという幻想を抱いてはいけない。まずは、足下のヨーロッパで法人税の擦り合わせを行わなければならないが、此れでさえ実現は容易ではない。(中略)あまりスマートではないが、より現実的な解決は、おそらく国際貿易への課税である。世界の貿易総額は年10兆ドルを上回っており、0.1%の課税で同じく100億ドルの税収を見込める。しかもこの税なら、すべての国が賛同しなくてもすぐに適用を開始できるというメリットがある。(本書、P.35)

このように、ピケティはネトウヨ達がネット書店工作でミスリードさせようと思っている様に、個人単位だけの課税をするなど何処でも言っていないし、世界同時課税でなくては不可能などという非難にもとっくに過去の論考で反論しています。

他に極めて重要なのが財務省の詭弁を打ち破ったピケティの以下の分析です。

ピケティ:日本政府はたしかにGDPの200%を上回る債務を抱えてはいるが、同時にGDPのおよそ100%相当の非金融資産(国有地、公共用資産)と、やはりGDP100%相当の金融資産(国営・公営企業の持ち分、郵便貯金など公的金融機関の資産等)を持っている。従って、資産と負債はほぼ釣り合っている。(本書、P.253)

ピケティ氏は、評者が熟読する限り欧州共同債の導入で、共通通貨でも債務がEU内で不均衡であるのを是正するよう提言したり、反ネオリベで、中央銀行による造幣で金融危機を乗り越える手段にも反対せず(ただ彼は米連銀や日銀が実は民間銀行であることを知らない)、労働者の購買力低下期に於ける負担税率(付加価値税等)の引き上げにも反対しています。

法人税と資産税の累進課税論や、資本収益率が経済成長率を上回っているという基本的見地も既に過去の論考で散見されます。

さらに、選挙について彼は、調査会社の生データとデータの補正法の公開義務を制度化することで不正な情報操作を打破することを提唱しています。これこそ日本に必須な選挙改革のアイディアです。

又、日本のピケティ本の悪質な便乗者達が称している様な、税率の一元的適用にピケティ本人は諸処の論考で反対しています。以下に所収の最需要論考である論文「日本:民間は金持ちで政府は借金まみれ」を転用します。

本書で私が最重要な論考だと思ったのは、以下の箇所です。

第51節の「日本:民間は金持ちで政府は借金まみれ」で、ピケティは日本の財務省のTPRによる財政危機論を論破して、日本の法人税、資産税の強化を提唱しています。日本政府の資産は、実は政府負債と十分均衡するのです。決して彼は消費税増税を支持していませんので、日本のサルコジというべき弱肉強食の、人質見殺し政権であるネオリベ安倍一派は、読者の無知につけ込んでピケティ本の人気を悪用できません。

ピケティ:ヨーロッパから見ると、日本の現状は摩訶不思議で理解不能である。政府債務残高がGDPの二倍、つまりGDP二年分にも達するというのに、日本では誰も心配していない様に見えるのは、どうしたことか。どんな事情で、あるいはどんな政治的決断に依って、借金がこれほど莫大になったのか。我々は、日本の政府債務をGDP比や絶対額で毎日の様に目にして驚いているのだが、これらは日本人にとって何の意味ももたないのか、それとも数字が発表されるたびに、みんな大急ぎで目を逸らしてしまうのだろうか。政府債務に就いて考える際に一番いいのは、国民経済計算を参照する事である。ほとんどの国がストック面のデータ(国民貸借対照表)を公表している。すなわち、家計、企業、産出と所得というフロー面だけでなく、政府部門が保有する資産(固定資産及び金融資産)と相互及び対外的な負債である。

ただし、この統計は、完璧ではない。例えば、グローバル・ベースで言うと、正味金融資産は世界全体でマイナスになっている。これは論理的にはあり得ないー地球の資産を火星が所有しているなら、話はべつだが。マイナスになるのはまずもって、確実に、金融資産のかなりの部分がタックス・ヘイブン(租税回避地)にあり、それを所有している非居住者がしかるべく申告していないからである。 経済学者のガブリエル・ズックマンがこのほど発表したように、ユーロ圏の金融資産では、公式統計とは逆に大幅なプラスのはずだという。ヨーロッパの金持ちには財産の一部を隠す理由が大いにあり、EUは、それを防ぐ為にすべきことやできる事を怠っている。だが、統計が不完全だからといってがっかりする必要はない。むしろ国民経済計算を徹底的に調べることによって、改善に貢献できる。経済学においては、最低限の所から始めるという原則を受け入れなければならない。それによってこの学問は興味深いものになるし、大きな進歩も可能になる。

調査や分析を怠れば、必ず最富裕層を利する事になる。それも、築き上げた財産よりも、棚ぼた式に手に入れた財産の持ち主を利することになりやすい。人間は、後者の方を何としても守ろうとするものだからである。

日本の話に戻ろう。政府債務を論じる時にまず注目するべきは、個人資産は常に一国の負債(政府部門+民間部門)を大幅に上回ることだ。日本も、ヨーロッパもアメリカも、家計部門の固定資産と金融資産の合計(負債差し引き後)は、おおむねGDPの500から600%になる。富裕国では、大雑把に言って国民一人当たりの所得が3万ユーロだとすれば、平均的な資産は一人当たり18万ユーロになる。つまり年収6年分である。

次に、日本政府はたしかにGDPの200%を上回る債務を抱えてはいるが、同時にGDPのおよそ100%相当の非金融資産(国有地、公共用資産)と、やはりGDP100%相当の金融資産(国営・公営企業の持ち分、郵便貯金など公的金融機関の資産等)を持っている。従って、資産と負債はほぼ釣り合っている。

ところが日本の政府部門の資産ポジションは、此処数年ややマイナスになっている。これはきわめて異常な事だ。しかも政府は、所有しているものを全て売るということはできないのである。比較の為に、フランスとドイツの政府部門を見てみよう。どちらも、グローバル金融資産危機の後でさえ、大幅にプラスになっている。例えば、フランスの場合、政府債務残高はGDPの100%に達しているが、政府の保有資産(非金融資産+金融資産)は同150%である。

この日本特有の状況は、同国(政府部門+民間部門)の保有する対外純資産が巨額に達していることを考えると、一段と衝撃的である。過去20年の間に、日本は国民所得1年分に相当する対外純資産を積み上げてきた。民間部門が金持ちで政府部門は借金まみれという不均衡は、東日本大震災の前から顕著だった。

この不均衡を解消するためには、民間部門(GDPに占める割合は30%程度)に重く課税する以外にない。

(本書、PP.251-254)

ピケティは、ここでは法人税や資産税による民間富裕層からの富の再分配の必要性を説いています。さらに、ピケティは植草さんの政治経済学理論とも多くの接点(社会民主主義、フリードマンのマネタリズム経済学へ理解とそのネオリベラリズムへの反対など)がある事が、本書を熟読して感受できました。

ピケティも植草さんも財務省の詭弁を論破し、日本政府が消費増税に利用する債務危機論が、政府資産と債務の均衡状態を無視した事を指摘し、 調査や分析を怠れば、必ず最富裕層を利する事になることに警鐘を鳴らしています。

本書は全日本国民必読の書です。

Quoted from 中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
(トップ500レビュアー) 

ピケティの日本経済論所収:21世紀の新・資本論はアベノミクスを肯定せず2015/1/23
本書は、フランス社会党の理論的支柱であるピケティ氏によるリベラリオン紙上における2004年9月から2011年末までの論考を集成した大著です。ピケティ論議での典型的な誤りは、ピケティは全て個人単位での課税を主張しているかのように流言を流布する人がいますが、ピケティ本人は、資産税は当然個人単位でも、法人税の累進課税(効率的に徴収できる)も主張していることが、本書からはっきりしました。以下がピケティ本人の見解の中で最も肝要な提言です。

ピケティ:各国の税制が辿ってきた長い道のりを振り返ると、ある一つの傾向が浮かび上がる。まず、単純な課税ベース(関税等貿易に対する間接税)から始めるということだ。より複雑で干渉的な税(所得税、法人税など)を導入し、効率的に徴収するためには、国家が行政能力と政治的正統性を確立する必要があり、これは一朝一夕にはいかないものである。企業の利益に対する共通新税を導入しさせすれば国際課税の新たな歴史が始まる、などという幻想を抱いてはいけない。まずは、足下のヨーロッパで法人税の擦り合わせを行わなければならないが、此れでさえ実現は容易ではない。(中略)あまりスマートではないが、より現実的な解決は、おそらく国際貿易への課税である。世界の貿易総額は年10兆ドルを上まっており、0.1%の課税で同じく100億ドルの税収を見込める。しかもこの税なら、すべての国が賛同しなくてもすぐに適用を開始できるというメリットがある。(本書、P.35)

このように、ピケティは個人単位だけの課税をするなど何処でも言っていないし、世界同時課税でなくては不可能などという非難にもとっくに反論しています。

他に極め重要なのが財務省の詭弁を打ち破ったピケティの以下の分析です。

ピケティ:日本政府はたしかにGDPの200%を上回る債務を抱えてはいるが、同時にGDPのおよそ100%相当の非金融資産(国有地、公共用資産)と、やはりGDP100%相当の金融資産(国営・公営企業の持ち分、郵便貯金など公的金融機関の資産等)を持っている。従って、資産と負債はほぼ釣り合っている。(本書、P.253)

ピケティ氏は、評者が熟読する限り欧州共同債の導入で、共通通貨でも債務がEU内で不均衡であるのを是正するよう提言したり、反ネオリベで、中央銀行による造幣で金融危機を乗り越える手段にも反対せず(ただ彼は米連銀や日銀が実は民間銀行であることを知らない)、労働者の購買力低下期に於ける負担税率(付加価値税等)の引き上げにも反対しています。法人税と資産税の累進課税論や、資本収益率が経済成長率を上回っているという基本的見地も既に過去の論考で散見されます。さらに、選挙について彼は、調査会社の生データとデータの補正法の公開義務を制度化することで不正な情報操作を打破することを提唱しています。又、ピケティ本の悪質な便乗者達が称している様な、税率の一元的適用にピケティ本人は諸処の論考で反対しています。以下に所収の最需要論考である論文「日本:民間は金持ちで政府は借金まみれ」を転用します。

本書で私が最重要な論考だと思ったのは、以下の箇所です。

第51節の「日本:民間は金持ちで政府は借金まみれ」で、ピケティは日本の財務省のTPRによる財政危機論を論破して、日本の法人税、資産税の強化を提唱しています。日本政府の資産は、実は政府負債と十分均衡するのです。決して彼は消費税増税を支持していませんので、日本のサルコジというべき弱肉強食の、人質見殺し政権であるネオリベ安倍一派は、読者の無知につけ込んでピケティ本の人気を悪用できません。

ピケティ:ヨーロッパから見ると、日本の現状は摩訶不思議で理解不能である。政府債務残高がGDPの二倍、つまりGDP二年分にも達するというのに、日本では誰も心配していない様に見えるのは、どうしたことか。どんな事情で、あるいはどんな政治的決断に依って、借金がこれほど莫大になったのか。我々は、日本の政府債務をGDP比や絶対額で毎日の様に目にして驚いているのだが、これらは日本人にとって何の意味ももたないのか、それとも数字が発表されるたびに、みんな大急ぎで目を逸らしてしまうのだろうか。政府債務に就いて考える際に一番いいのは、国民経済計算を参照する事である。ほとんどの国がストック面のデータ(国民貸借対照表)を公表している。すなわち、家計、企業、産出と所得というフロー面だけでなく、政府部門が保有する資産(固定資産及び金融資産)と相互及び対外的な負債である。

ただし、この統計は、完璧ではない。例えば、グローバル・ベースで言うと、正味金融資産は世界全体でマイナスになっている。これは論理的にはあり得ないー地球の資産を火星が所有しているなら、話はべつだが。マイナスになるのはまずもって、確実に、金融資産のかなりの部分がタックス・ヘイブン(租税回避地)にあり、それを所有している非居住者がしかるべく申告していないからである。 経済学者のガブリエル・ズックマンがこのほど発表したように、ユーロ圏の金融資産では、公式統計とは逆に大幅なプラスのはずだという。ヨーロッパの金持ちには財産の一部を隠す理由が大いにあり、EUは、それを防ぐ為にすべきことやできる事を怠っている。だが、統計が不完全だからといってがっかりする必要はない。むしろ国民経済計算を徹底的に調べることによって、改善に貢献できる。経済学においては、最低限の所から始めるという原則を受け入れなければならない。それによってこの学問は興味深いものになるし、大きな進歩も可能になる。

調査や分析を怠れば、必ず最富裕層を利する事になる。それも、築き上げた財産よりも、棚ぼた式に手に入れた財産の持ち主を利することになりやすい。人間は、後者の方を何としても守ろうとするものだからである。

日本の話に戻ろう。政府債務を論じる時にまず注目するべきは、個人資産は常に一国の負債(政府部門+民間部門)を大幅に上回ることだ。日本も、ヨーロッパもアメリカも、家計部門の固定資産と金融資産の合計(負債差し引き後)は、おおむねGDPの500から600%になる。富裕国では、大雑把に言って国民一人当たりの所得が3万ユーロだとすれば、平均的な資産は一人当たり18万ユーロになる。つまり年収6年分である。

次に、日本政府はたしかにGDPの200%を上回る債務を抱えてはいるが、同時にGDPのおよそ100%相当の非金融資産(国有地、公共用資産)と、やはりGDP100%相当の金融資産(国営・公営企業の持ち分、郵便貯金など公的金融機関の資産等)を持っている。従って、資産と負債はほぼ釣り合っている。

ところが日本の政府部門の資産ポジションは、此処数年ややマイナスになっている。これはきわめて異常な事だ。しかも政府は、所有しているものを全て売るということはできないのである。比較の為に、フランスとドイツの政府部門を見てみよう。どちらも、グローバル金融資産危機の後でさえ、大幅にプラスになっている。例えば、フランスの場合、政府債務残高はGDPの100%に達しているが、政府の保有資産(非金融資産+金融資産)は同150%である。

この日本特有の状況は、同国(政府部門+民間部門)の保有する対外純資産が巨額に達していることを考えると、一段と衝撃的である。過去20年の間に、日本は国民所得1年分に相当する対外純資産を積み上げてきた。民間部門が金持ちで政府部門は借金まみれという不均衡は、東日本大震災の前から顕著だった。

この不均衡を解消するためには、民間部門(GDPに占める割合は30%程度)に重く課税する以外にない。

(本書、PP.251-254)

ピケティは、ここでは法人税や資産税による民間富裕層からの富の再分配の必要性を説いています。さらに、ピケティは植草さんの政治経済学理論とも多くの接点(社会民主主義)がある事が、本書を熟読して感受できました。ピケティも植草さんも財務省の詭弁を論破し、日本政府が消費増税に利用する債務危機論が、政府資産と債務の均衡状態を無視した事を指摘し、 調査や分析を怠れば、必ず最富裕層を利する事になることに警鐘を鳴らしています。

本書は全日本国民必読の書です。

出典:
中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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安倍も恐れる対米従属批判で著名の中西良太さんのレビューより
イスラム国の正体の不透明性に迫った中東情勢全体の体系的分析2015/1/23
本書は、まず安易なイスラム国陰謀論などには陥っていません。

著者の国枝さんは、イスラム国の正体の曖昧さを浮き彫りにする形で、その正体に迫っており、オズの魔法使いの様にベールを簡単に捲れる相手ではありません。結論から言うと、イスラム国の構成員の全貌を正体として国枝さんが定義するところでも、イスラム国は欧米どころか、アジアからも広範な戦闘員が参加しており、直接的には正体不明である、しかし如何にそれが正体不明となるかのプロセス自体を全て、実証的に浮き彫りにして正体が逆に顕在化するというのが結論です。イスラム国とはそれが、中東情勢全体でどのような政治的役割をしているかを浮き彫りにしてしまえば、具体的な構成員はともかく、その正体は把握できます。その高度な論証を展開するのが本書であリ、タイトルは誇大ではありません。ヘーゲル的に、物自体は不可知でも、物自体の現象全体を捉えれば、我々は物自体を把握したことになるというように、ここではイスラム国に関する様々な現象を体系的に捉えて、イスラム国という本質を捉える試みが成されています。

答えとしては、アラブの春から現在までの中東情勢の中において、イスラム国がシリアを完全制覇すれば、シリア政権以外にイランを支持する国家が中東からいなくなります。イスラム国は、この方向で動いており、尚かつアサド政権崩壊が現実となっても、先のアラブの春に始まる「革命」が証明している様に、直ちにそれが事態の改善をもたらす訳ではないこともまた明らかです。エジプトも、リビアも結果は事態の悪化でした。国枝さんは、この一連の中東の政治劇の展開全体の脈絡とイスラム国を分離していません。イスラム国の輪郭は、この過程を読み込めば明白になります。また、イスラム国が純粋に土着の武装集団ではないという点は、イスラム国の正体を把握する上で、決して見落としてはいけない細部です。イスラム国、アルカイダ、コントラの間に歴史的な類比は成り立ちます。

国枝さん:アルカイーダ系の過激派でありながら、アルカイーダと絶縁してまでして国家を宣言し、カリフを頂く「イスラム国」。残酷に人質や捕虜の首を切る一方で、欧米諸国等から若者達が戦闘員として続々と参加するこの過激派グループについて、近頃いろいろ言われますが、実はほとんど分かっていません。イスラム国の実態が不明なのは、初めから明確な理念の下にきちっとした組織があって発展してきたというよりも、斜面を転げ落ちる雪だるまのように、その場対応式に腫れ上がり発展してできた組織という側面があるからでしょう。インターネットの巧みな利用実態にも、そんな一面が伺えます。(本書、P.223) 

本書は、直接捉える事ができないイスラム国の正体を、中東情勢全体の脈絡から実証的に浮き彫りにした最良の書です。

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中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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 安倍も恐れる対米従属批判で著名の中西良太さんのレビューより
防犯の必需品がこれ!2015/1/22
私は、近所の零細企業の人たちは夜間の防犯に、この八灯式のソーラー充電式LEDライトを導入しているのを見ています。
とにかく、夜間中、駐車場なり、物置き場に設置して道を照らし出す程高い照度を実現しています。驚くべきは、明るさだけでなく、かなり広域をカバーするフラット光なので、人が近づけばその一部始終が蠢く影で目立ちます。皆始めは、これがソーラー充電式LEDライトだとは知らなかった程良い作りです。防犯カメラや番犬の変わりに、本製品を導入するのは正解です。その持続性もほぼ夜間中なので、その効果は十分です。

本製品は、全日本国民必須の防犯ライトです。

出典:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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安倍も恐れる対米従属批判で著名の中西良太さんのレビューより
カラフルで、クリーンなソーラー充電式LEDライト2015/1/22
本製品は、家庭の照明として最も安価で、クリーンなソーラー充電式であり、LEDライトはもちろんデイライトであり、とにかく色温度が高く、しかも照度も抜群です。此処で、見落としがちなのは、LEDライトは汎用性が高く、単なる庭園、玄関先の照明に止まらず、机上にも、撮影にも応用できてしまう点です。本製品は、その実用性が他者よりも期待できます。

更に、本製品は対人センサー付きで、配線も不要であり、カラー・デザインも高級感を醸し出しています。

本製品はこのように汎用性の高さがその売りになっています。クリーンなソーラー充電式LEDライトの多様化が益々進む事を希求致します。

本製品は全日本国民必須のソーラー充電式LEDライトです。

出典:
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Wednesday, January 21, 2015


官僚階級論の批判的再考:マルクスは資本主義社会を論じたが、レーニンはさらに官僚機構も論じている2015/1/21
作者コメント:私の崇敬する革命家レーニンの命日を記念して500本目のレビューをします。

本書は、マルクスが国家、官僚機構自体を詳述せずにあくまで資本主義社会とその外部構造としての国家官僚機構を分けて論じているのに対して、レーニンは国家をも詳述している。現在でも有効な処方箋が幾つかある。それは、聖域なき官僚の公選制度実施であり、官僚の給与を労働者階級の最低賃金水準を超えない水準に固定することである。

官僚機構をレーニンもトロツキーも階級とは認定していない。しかし、あくまでブルジョア社会においては彼らはあくまでブルジョアに奉仕する機構であり、国家とは暴力装置であるという点は一貫している。

また、上部構造と生産様式という土台という概念は階級を直ちに意味せずに、資本家も下部構造に生産関係とともに位置するし、公共事業における公的サービスも下部構造の生産関係による。官僚機構は制度としては上部構造でも、官僚自体は生産関係から見るとブルジョア層とプロレタリア層にやはり分化している。官僚機構はブルジョアジーに依るブルジョアジーに奉仕する国家機構であり、ブルジョアジーとは全く別ものではない。それ自体はプロレタリアートの搾取の上に成り立っている資本階級の補完勢力である。しかし、その内実がさらにブルジョア層とプロレタリア層に分化しているというのが現実である。この論点を立証したのがソ連崩壊時の民営化において、各公営企業の官僚である管理層がそのまま資本家へと転化したこと、その潜在的な資本主義的生産関係が顕在化したという質的変化において証明されている。資本主義社会では、官僚はその権能に応じて生産関係に於けるブルジョア層に照応し、民営化を契機として資本階級として顕在化するのである。つまり、官僚の一元的階級論を佐藤さんは唱えているが、当のレーニンも、マルクスも、トロツキーも唱えていない。

この国家論は、革命の方法論の精緻な理解の為にどうしても誤解なく知っておくべきです。本書以上の革命の方法論は未だにありません。

Resource:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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Tuesday, January 20, 2015


安倍晋三や櫻井が恐れる対米従属批判論者の名レビュアー中西良太さんのレビューより
受験に失敗した主人公と家族を描いた巨匠の大作2015/1/20
レビュー対象商品: ただいま浪人 (単行本)
本書は、主としてキリスト教的題材を扱い続けてきた遠藤さんの作品群の中にあって、直接的に宗教を描写したものではありません。

しかし、本作は最も遠藤さんの宗教観がよく滲み出ている秀作です。

これは、遠藤ファン必読の書です。

出典:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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対米従属批判論者の名レビュアー中西良太さんのレビューより
レーニンとは違い帝国主義国間の均衡論を唱えた平和主義論2015/1/19
ホブソンは、自由党員で、自由主義ブルジョアジーで、リベラル派であり、反帝国主義、反軍国主義を掲げている平和主義者です。

彼の反帝国主義の戦略はユニークであり、今の日本のリベラル派にも影響を与えています。彼の説は新帝国主義の現代において、帝国主義国間の勢力均衡を唱えています。それは、ブロック経済圏をアングロサクソン連合、汎ゲルマン連合、汎スラブ連合、汎ラテン連合などの広域化した帝国主義国家連合を建設して、世界規模で勢力均衡を計るというアイディアです。実は、TPPも、ASEANも、東アジア共同体も主導する主体に依る差異はあれ、このような帝国主義的な均衡論による戦略であることは事実です。

ホブソンの恒久平和論はこのように、国際帝国主義連合の勢力均衡の上に成り立っています。目下進行しているのは正にこの方向性です。

本書は、新帝国主義時代の必読書です。

出典:
中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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Monday, January 19, 2015


ホブソンは帝国主義国間の勢力均衡の上に成立する恒久平和論を提唱2015/1/19
本書は、目下進行中の新帝国主義国間の勢力均衡を目指した、地域連合/自由貿易協定名義のブロック経済圏の形成過程において、理論的な支柱となっている戦略書です。

ホブソンは、帝国主義戦争回避の為に、世界各地域で広域のブロック経済圏を作り、帝国主義勢力間の均衡を維持し平和を保持するというブルジョア思想を提示しています。

本書は、正に現在の国際情勢と趨勢を理解する上で必読です。

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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神学的思考から真の信仰とは何かを学ぶ2015/1/18
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佐藤さんは、結論から言うとキリスト教の本質を救済宗教であることと断言しています。

佐藤さん:…イエス・キリストが救世主であることを受け入れることによって、我々一人一人が救われたと確信できる事がキリスト教の本質… (P.3)

本書で、私は非キリスト教徒として初めて真の信仰の在処を理解できました。ここでは、幾つかのキーワードがあります。まずは、救済宗教としてのキリスト教、類比の思考、関係の類比、創造の秩序の神学です。これらを把握することで、本書の根本思想が明確になります。そして、それは佐藤さんの作家としての守備範囲である、日本外交、ロシア、民族問題、インテリジェンス、国内政局、沖縄問題、哲学、思想、勉強法などの全ジャンル(類型)を貫く思考法であり且つ、根本思想です。方法とは、本質の問題と言われる所以です。

私は、有神論を尊重しますが、信仰とは何かを理解するのに、ここでは形而上学と信仰、それに対して神学的思考は実は峻別されるべきものだと気づきました。また、神学的思考、信仰/宗教とは神に対してどう人間が答えるかという主観的、主体的問題の観点はもう形而上学の領域なので、カント哲学の段階よりも退歩する訳にはいきませんので、幾つかの最重要部のみについて記述します。

一つは、キリスト教の原罪論は、人間的な民主制度どころか、そもそも人間的な一切の創造物に原罪があるという根源性の問題があり、根源において民主制度すら否定しているということです。ここに、バルトの危惧したキリスト教のナチ化、ドイツ化にみる同宗教の土着化問題があります。これを支えるのが、創造の秩序の神学です。被造物の類比による、神の秩序/意志を読み解く、現実肯定的な思想は、人間の創造物の一切を神の創造と見なす危険思想を生みました。佐藤さんは、この点を危惧し、類比の思考の薦めとは対照的に、以下の如く、プロテスタント神学の思考及び使命を再定義されています。

佐藤さん:プロテスタント神学の使命は、創造の秩序をいかに打破していくか、「存在の類比」をいかに否定するかということにあります。(P.41)

そこで、佐藤さんは存在の類比よりも、イエスと彼の周辺人物達との関係及びイエスと神との関係から類比の思考を現実に展開すること推奨しています。

歴史を読み解くにも、類比の思考は関係の類比を採用している点に留意が要ります。

最後に信仰についてですが、信仰は人間の愛を類比の思考に依って、その完全形/理想型を想像し、それが神の愛であると類比する不可能性の可能性という主体的な試みであることが最もよく理解できます。佐藤さんが本書でも展開されている思想は、以下のマクグラスの類比の思考に関する記述に、信仰の在り方も表出されています。宗教的思考に関する完璧な説明文です。

マクグラス:「神は愛である」と言うとき、我々は我々自身の愛する能力のことを言っているのであり、この愛が神において完全である場合を試し、想像するのである。(P.38)

これが、最も簡潔に本書の方法論と思想的な神髄を高度に概括しています。ここに、救済宗教としてのキリスト教の本質、類比の思考、関係の類比、信仰、主体的/主観的な神に対する答え方などのキーワードの全てが網羅されています。これは勿論科学とは対照的ですが、人間の思考、想像力の在り方の一種です。不可能性の可能性への挑戦、試みでもあります。これを排斥しても、人間の思考は貧困になるだけである事が最も説得的に理解でき、キリスト教、宗教的思考への偏見は雲散霧消します。

本書は、キリスト信者、非キリスト信者のみならず、全佐藤ファン必読の書です。

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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イスラム教を冒涜する勿れ!2015/1/17
本書は、イスラムと日本の歴史的関係を解き明かしている。さらに、その歴史から、宗派、信仰の概要に至るまで丁寧懇切に周到に論及されている。日本人の、日本人に依る、日本人のためのイスラム入門書が本書である。

本書を熟読すれば、現下の時局問題である宗教紛争やイスラム国出現の背景も明確且つ明晰な理解を得られる。

これこそ日本人のためのイスラム入門書である。

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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Friday, January 16, 2015


中西良太 (映画監督)


中西良太(なかにしりょうた、1981年 - )は日本映画監督、編集技師。静岡県出身。
なかにしりょうた
中西良太
本名Ryota Nakanishi
別名義日本の旗 日本静岡県
生年月日1981年
職業映画監督編集技師
ジャンル映画
活動期間2005年 -
活動内容2013年東京芸術大学映像研究科映画専攻修士課程学位(M.F.A.)取得・卒業。
公式サイトフェイスブック
主な作品
日本映画
らくごえいが
外国映画
『テイルズ・フロム・モーニングビュー・セメタリー』
『ザ・スリー』
ライク・サムワン・イン・ラブ
『魔神仔/Moxina』
青空

人物・来歴

2012年7月1日、アメリカ合衆国最大のホラー映画祭米国フライトナイト映画祭(en:Fright Night Film Fest)にて監督作品『魔神仔/Moxina』がアジア人の映画学生として、しかも一般部門(非学生部門)の史上初の米国本土におけるホラー映画賞(ロジャー・コーマン賞)を受賞した。[1]
2013年東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻修士課程学位を、学位論文『三幕構成の物語構造研究:「オズの魔法使い」、「市民ケーン」、「カサブランカ_(映画)」、「チャイナタウン_(映画)」』で取得し、卒業した。[2]
2014年2月2日から28日まで、映画編集を担当した『らくごえいが』が衛星劇場で日本全国テレビ初放映される[3]

主要作品

映画

著書

単著

共著

  • 侯孝賢(ホウ·シャオシェン)監督マスター·クラス』(中国大陸版、中国語、卓伯棠主編、中華民国映画学生代表討論、映画理論、広西師範大学出版社出版、ISBN:978-7-5633-8401-3、2009年)[17][18]
  • 侯孝賢(ホウ·シャオシェン)監督マスター·クラス』(香港版、中国語、卓伯棠主編、中華民国映画学生代表討論、映画理論、香港天地図書出版、ISBN:978-9882-211-988-8、2008年)[19][20]

関連出版物

  • 立体映画「青空」製作の全記録』(中国語、映画理論、国立台北芸術大学出版、ISBN:978-­986-­03-­1144-­0、2011年)[21][22]

脚注

  1. ^ Ryota Nakanishi (I) - Biography” (英語). IMDb.2013年9月12日閲覧。
  2. ^ Ryota Nakanishi (I) - Biography” (英語). IMDb.2013年7月10日閲覧。
  3. ^ らくごえいが放送スケジュール”. www.skyperfectv.co.jp. 2014年2月7日閲覧。
  4. ^ Louisville Fright Night Film Fest” (英語). IMDb.2013年7月10日閲覧。
  5. ^ Moxina Release Infomation” (英語). IMDb. 2013年9月9日閲覧。
  6. ^ 3D立體電影短片青空” (中国語). 第四回両岸三地電影学校電影節. 2013年8月23日閲覧。
  7. ^ S3D立體電影短片青空製作全紀錄” (中国語). 博客來書籍館. 2013年7月10日閲覧。
  8. ^ 「第22回日本映画プロフェッショナル大賞」の授賞式”. eiga.com. 2013年8月22日閲覧。
  9. a b c Ryota Nakanishi (I)” (英語). IMDb. 2013年7月10日閲覧。
  10. ^ 日本のドラマ映画 の ベストセラー”. Amazon.jp.2013年8月22日閲覧。
  11. ^ Amazon.co.jp日本のドラマ映画のベストセラー第一位を記録”. facebook.com. 2013年9月27日閲覧。
  12. ^ 「らくごえいが」がロサンゼルスハリウッドの日本映画祭で上映された”. laeigafest. 2013年8月28日閲覧。
  13. ^ らくごえいが放送スケジュール”. www.skyperfectv.co.jp. 2014年2月7日閲覧。
  14. ^ The Three Independent Horror Investors” (英語). The Three Film. 2013年9月3日閲覧。
  15. ^ Ryota Nakanishi (I) - otherworks” (英語). IMDb.2013年8月24日閲覧。
  16. ^ Ryota Nakanishi (I) - otherworks” (英語). IMDb.2013年8月24日閲覧。
  17. ^ Ryota Nakanishi (I) - otherworks” (英語). IMDb.2013年9月24日閲覧。
  18. ^ 侯孝贤电影讲座” (中国語). 広西師範大学出版社.2013年9月25日閲覧。
  19. ^ Ryota Nakanishi (I) - otherworks” (英語). IMDb.2013年9月24日閲覧。
  20. ^ 侯孝賢電影講座” (中国語). 天地圖書有限公司.2013年9月25日閲覧。
  21. ^ Ryota Nakanishi (I) - otherworks” (英語). IMDb.2013年9月24日閲覧。
  22. ^ S3D立體電影短片青空製作全紀錄” (中国語). 博客來books.com.tw. 2013年9月25日閲覧。

外部リンク