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Wednesday, July 1, 2015


サトウ主義とマルクス主義の階級論の差異:官僚/公務員は階級か?官僚/公務員はプロレタリア層とブルジョア層に区分されるか?2015/6/29
レビュー対象商品: いま生きる階級論 (単行本)
投稿者 中西良太 / Ryota Nakanishi トップ500レビュアー 投稿日 2015/6/29
形式: 単行本

サトウ主義かマルクス主義か?

佐藤さんの階級論は、サトウイズムでありマルクスのものではありません。佐藤さんは、あくまで官僚を階級としています。ここが両者の決定的な違いです。もちろん、今日本で最もマルクスを理解しているのは佐藤さんです。

佐藤さん:当然社会は、基本的に官僚を嫌います。だから、反官僚というスローガンを掲げると、どの政党でも成功するのです。
資本家も、地主も、労働者も、どんな階級も官僚が嫌いです。この官僚を自立した階級とみるかどうかで、世の中の見方が変わってきます。ところが、社民党も、共産党も、また民主党の左派も、官僚を階級としてみるという視点をなかなか持ちづらいんですよ。なぜ?自分たちの支持層として、特に地方公務員は必要だからでしょう。(中略)役職に就いているか否かで、片方が労働者の味方、片方が資本家階級だとするのは、もう無理筋です。(本書、pp.231-232)

ところがマルクスは、国家と社会を分離していないし、官僚/公務員も資本主義的生産関係に組み込まれており、公的であれ、サービスその他商品を日々提供し、貨幣と交換している。国営企業が良い例ですし、ソ連では、皆法的に公務員でした。そして、マルクスは、官僚機構をブルジョア社会の補完物と位置づけていて、あくまで、社会の外とはしていない。サトウイズムは、敵味方二元論を階級論に混ぜて簡単に論じているが、そもそもブルジョアだからただちにブルジョアの味方ではないし、プロレタリアだからただちにプロレタリアの味方ではないのが現実である。そもそもマルクスはブルジョアである。レーニンもトロツキーもブルジョアである。階級論と単純な敵味方二元論は峻別してほしいです。しかも、年収と階級論は別です。年収が階級を規定するのではなく、生産様式が規定するというのが厳格な正統マルクス主義です。さもないと、サトウイズムはベルンシュタイン的修正主義と言わざるを得ないのが率直な所です。

さらに、当のマルクスは、官僚を一階級とはせずに、官僚制は上部構造(イデオロギー)であるが、経済的生産様式の反映であり、官僚/官吏/公務員の内訳は、プロレタリアートとブルジョアジーの生産関係において照応し、その権能に応じて両者に分類されることを説いています。この正統マルクス主義学派の階級論をレーニンやトロツキーらも踏襲しています。しかし、反共反ソの佐藤さんは基本的にこの点は官僚階級論を説いています。反革命、もしくは脱革命のマルクス論は、去勢されたマルクスちゃんです。

読者の方達は、この階級論の両者の決定的な差異に留意して読破されるべきだと思いました。もちろん、私はサトウ主義も、マルクス主義も理解しています。

本書は、もちろん全ての佐藤ファンの必読書です!面白いです!
Cited:
中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
(トップ500レビュアー)    
 

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