Sunday, July 10, 2016

【書評】ゴルバチョフに会いに行く (亀山 郁夫著)


ゴルバチョフに会いに行く
ゴルバチョフに会いに行く
亀山 郁夫著
エディション: 単行本
価格: ¥ 1,944

5つ星のうち 5.0 ソ連大統領ゴルバチョフの世紀の謎に迫った良書!ソ連の非常時に、ゴルバチョフは清廉すぎた!2016/7/9
まず、本書ではゴルバチョフがソ連の8月クーデターに遭遇し、連邦制=連邦大統領制を維持しつつ、エリツィンのベロべーシの森での国家連合型の独立国家共同体の三國(ロシア、ウクライナ、ベラルーシ)の独裁的な決定の間で、新連邦条約締結に向けた闘争に従事した際の謎にアプローチしている。

インタビューでは、ゴルバチョフにはその謎(ゴルバチョフは8月クーデターを黙認し、事態の推移を日和見的に静観していたのか?)について質問を直でぶつけられていない。革新的なインタビューでは、ドタキャンや憤慨を恐れずに、直で言質をとるべきであるという教訓を得られる。

私個人は、崇敬するソビエト連邦大統領にその質問を今度直接投げかける所存である。

著者は、まず共産主義や社会主義をスターリン主義と混同しているために、ゴルビーの社会主義=民主主義との間で読者は読みにくさがある。

単に反共ではなく、ゴルビーのスターリニズムとソ連の十月革命の峻別は理解する側に不可欠である。今も、ゴルビーはこの点は変わっていない。

ゴルバチョフは、クーデター時に主謀者たちがもしエリツィンを先に逮捕していたら、あるいは先に新連邦条約調印してから避暑地フォロースへ向かっていたら、そのまま彼らと凱旋し、新連邦制実現へ望みをつなげた可能性が高く。彼の周辺の官僚たちはエリツィン排除をそれ以前から進言していた。守旧派には、単に急進改革派は資本主義で、ソ連崩壊を画策しているのが明白だった。

ゴルバチョフは、結局逮捕を恐れポーランドへの亡命計画も立てて陰謀を企てたエリツィンらを排除しなかった。

彼は、政治的な非常手段に最も革命の危機が訪れている時に訴えずに、最悪の政敵を野放しにした。 この点が、新連邦条約破綻、8月クーデター発生、ベロべーシの森の陰謀の事態を黙認する形になった。ここだけは、のちのネオリベ地獄、世界へのネオリベの加速的蔓延=グローバル化の未来を防ぐためにゴルバチョフは行動し、守旧派を懐柔しつつエリツィンらを逮捕するべきだった。

守旧派にはソビエトの名称を残し、新連邦制への説得ができるよちがあったが、どちらの危険な傾向を黙認し、非常措置を取らなかったために、エリツィンらが漁夫の利を得てロシアの英雄のように写ってしまった。

ゴルバチョフは善良すぎたし、守旧派を懐柔しつつ、まずはエリツィンら過激な反ソ派を排除するべきだった。そうすれば、新連邦条約成立で、改革されたソビエト連邦が21世紀も存在し、世界のネオリベの蔓延に歯止めがかかっていただろう。

国民投票では60%以上が91年初頭で連邦制継続に賛成だったのだから、ゴルバチョフはその民意に基づいて、批判を恐れずに非常手段を採用するべきだったことが分かる。彼は、守旧派のクーデターも、エリツィンらによる反ソ策謀も黙認して非常手段を打たなかった過ちがある。事態に流されてしまったのである。自壊と解体の両方の概念がソ連崩壊に妥当する。

ゴルバチョフは、ソ連を崩壊させようとはしていなかったが、ソ連崩壊に責任が彼にもあるのは事実である。ペレストロイカも挫折したのも事実である。ゴルバチョフが、ソ連を故意に崩壊させたというのは極論であるが、彼には崩壊劇を食い止めなかった責任がある。彼だけに責任があるというのが偏見なのである。私は、ゴルバチョフを人格的に尊敬します。

亀山さんに、感謝いたします。本書は、ソ連崩壊を再考する上で、知的欲求を喚起するものです!

Source:中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! Keep going, comrades! 親米親中親露!米中露至上主義!民主主義に禁句はないし、国境も文化の垣根もない!民主主義を世界へ!在日外国人への差別を止めよう!反陰謀論悪徳業者!) 

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