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Thursday, October 30, 2014


第一次ロシア革命前からの芸術評論の集成2014/10/31
本書は、トロツキーによる各文学作品の評論集となっています。しかも時期的には、1905年の第一次ロシア革命前の評論から収録されています。ここでは、政論の方が面白いです。トロツキーは、アジアの二大巨人であるインドと中国が革命後に独立したら、世界の工場の中心はアジアに移り、欧州は単なる銀行と化し、日本も物の数ではないという正に今起きている新しい世界秩序を予見していた箇所が凄く印象に残りました。凄まじい洞察力です。

本書は最高の芸術論です。

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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革命の芸術はリアリズムであり、民主的な集団主義!2014/10/31
トロツキーは、ここで革命の芸術は革命なしには達成されないが、それは間違いなくリアリズムであり、プロレタリアート団結に照応した民主的な良い意味での集団主義である事を論証しており、科学的社会主義の芸術論の集大成が本書です。

マルクスも、そしてヘーゲルも実は芸術論では、どちらもリアリストであり、反形式主義で、モチーフとなるパトスがそのまま芸術の妥当なその主題の内在的論理を体現した民主的且つ、有機的な形態に転化するという疎外論の否定としての芸術運動を説いています。本書におけるトロツキーも正にそうです。疎外の克服のモデルとしての芸術、創作運動が革命の論理と合致するのです。ちなみに、教条的な社会主義リアリズムやプロレタリア芸術は官製の虚構であり、階級制の最後的な克服且つ歴史上の芸術の諸成果の総合としての人間の芸術の実現こそが真の革命芸術であると説いています。

本書は最高の芸術論です。

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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日本最高のエコノミスト植草さんの分析は100発100中!2014/10/29
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植草さんのアベノミクスに関する分析は今迄のところ全て的中しており、最も信頼性があります。1990年夏から13年半継続された『金利'為替'株価週報』が、2004年11月より新たに会員制レポートとして『金利'為替'株価特報』(月二回発行)に成りました。そして、過去にも一年分を収録した『UEKUSA REPORT』=『年次報告書』が市井文学から出版されています。本書はその年報版第三作です。このように、政治経済批判の書と、株式市場に於ける常勝テクニックの指南本のジャンル分けが徹底されていますが、前者の要素は後者にも勿論不可避的に反映されているので政治経済の批判に重点を置いて購読されている方にも勉強になります。以下が植草さんから読者へのメッセージです。

植草さん:TRIレポート読者には、まず年報版である本書を熟読賜り、特に『最強'常勝五箇条の極意』を完全に掌握して頂きたく思う。TRIレポートをご購読されない方も、この極意を掌握することは、必ずプラスになると確信している。そして本書が示した金融市場分析の各論点をよく吟味し、情勢判断の一助にして頂きたく思う。(PP.278-279)

これからは、もっと頻繁に会員制レポートも一般向け書籍の形態で出版されてゆくことを熱望致します。私は誰よりも日本にとって必要な最高の経済学者である植草さんを支持します!

本書は全日本国民必読の書です。

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 John Perkinsは対米隷属化の手口を明かす2014/10/28
John Perkins本人によると、他国の対米隷属化の方法は、IMFや世界銀行にローンを組ませることですが、さらにその貸与金は、当該国やその企業のものにならず、当該国で展開する米国の多国籍企業へ流入する構図とのことです。ここが、ポイントです。

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 単なる経済暗殺ではない! John Perkinsが明かす諸国の対米隷属化の手口とは?2014/10/28
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John Perkinsによれば、他国の経済を暗殺する方法は、IMFや世界銀行のローンを組ませることであるが、それに止まらず、彼本人に依ると、それらの国家の組んだローンの巨額の貸与金はなんと、その国の企業にはいかない。当該国で展開している米国の巨大多国籍企業へ流入しているとのことである。韓国も正にこの被害国である。

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20世紀の労働者革命の最高指導者、真のボリシェビキの一生を捉えた写真集!2014/10/27
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私は、トロツキーのソ連最後の演説である永続革命論者ヨッフェの告別式でのトロツキーの写真(1927年)を本書で初めて拝見できました。1924年のレーニン死去時迄は、史上初の赤軍創設者にして最高指導者の彼は、レーニン死去時の赤の広場でもトップの序列であることが写真からも分かります。スターリンが脇にも写っていません。あの裏切り者はどこなのか?写真が饒舌に物語っています。もちろん、写真だけでその後の権力闘争の推移が視覚的に理解できます。公正な構成になっていて好感が持てます。又内戦でも最前線で赤軍を指揮しているのはどれもトロツキーであり、レーニンは執務室内での写真ばかりです。文字を全て排して写真だけで歴史を読み取るのも必要な学習法です。There has been no better politician than Trotsky since 1928. Comrade Trotsky was and still is the greatest Bolshevik!! The pictures are insightful, precise, very good, historical and significant to the true revolutionary.

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エネルギーと食料と金融を握るものが世界を支配している!2014/10/27
レビュー対象商品: スライヴ 完全版 [DVD] (DVD)
私は、前半でミステリーサークルとか、宇宙の起源論がCGで怪しげに展開されている部分はうさん臭い陰謀論やXファイル的なものとしてSF扱いされるので安易に映像制作者達はあるべきではないと痛感しました。しかし、話がエネルギーと食料と金融に依る支配構造の部分に入ると本作は、一変して諸国民必見の偉大な告発ドキュメンタリーとして立ち現れます。ロスチャイルド、モ'ガン及びロックフェラーが今も米連銀を支配しており、造幣権を握っており、米国の歴代大統領達との関係まで検証しています。日本の民主的な論客で、原発だけでなく、火力発電も反対する方達がいますが、説明不足であることが本作を鑑賞していて感じられました。ニコラ・テスラの様にクリーンでフリーなエネルギーを開発しようとした人たちは消されています。ロックフェラーの石油依存の火力や原発発電にも反対しクリーンエネルギーを明確に主張するべきで、単に反反原発だと誤解されていますよ。また、本作の司会の英語が見事な清涼なアメリカ英語で極めて気持ちがいいです。うまい!!

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孫崎さんによる『戦前史の正体』、『戦中史の正体』を期待!2014/10/26
今は、戦前を懐古主義的に見る自称右翼が多く、ここアマゾン日本版でもそのような歴史修正主義的な本がランキングの一位、二位を争っているのは末世的であり、かの佐藤優さんもネット書店のランキングは、日本のインテリ層における書籍の人気ランキングを意味しないと語っていた。その通りだと思う。

孫崎さんは、2012年に革命的な不朽の名著『戦後史の正体』で、日本論壇全体を対米独立闘争へと導いてくださった偉大な啓蒙者です。

私は、対談採録では論文による深淵さや体系的構築が困難な形式なので、氏による『戦前史の正体』、『戦中史の正体』などの大著を期待しています。

本書に関していいますと、戦前史における日米関係は、米国側の思惑が成就していく形で戦後へ連続的に発展していくのが分かります。それは、主に琉球と日本と米国の関係に於いてその発展の本質が明確に現れています。その鍵は、やはりペリーの黒船の来航と、ペリー書簡です。このペリー提督の手紙は、沖縄タイムスが1977年に出版した『仲原善忠全集第一巻』に完全収録されています。ペリーの一連の琉球占領とその拠点化に依るアジア進出という帝国主義的な謀略が、戦後に遂に実現するというのが戦前と戦後史を跨がる日米関係の全体的な流れを体現する史的発展です。なんと今の日本論壇で安倍一派が運用している真空論議と言われる論法は、ペリーが戦前史に於いて創造したものなのです。ペリーは、二度米国政府に琉球占領を打診し、1853年12月24日香港と1854年1月15日では、差異があり、前者では既に琉球を占領しているかの如く書き、米国政府の承認後本当に占領する企みだったが、次の手紙では、日本が米国に従属しない場合に抗議として占領するが、又もし今占領しなければロシア、フランス、英国のいずれかが占領してしまうという冷戦期にも応用された有名な真空論議が披露されています。ペリーから自民党政権への負の遺産の継承は見事になされていたのです。暗黒の戦前史(1853年から1945年の敗戦までをここでは指す)からさらなる漆黒の戦後史への発展過程で、米国は琉球支配という100年来の念願を達成したのです。ちなみに、ペリーは開国を迫り江戸に来航する前に琉球で、測量をしており、そのペリーによる琉球調査の資料はその後の沖縄戦で軍事的に利用されました。以上の諸事実が、日本の戦前から戦後史への転化過程の政治的本質を見事に象徴しています。日本への蹂躙は戦後だけではなかったのです。

結局、戦前史においても、戦後史に於いても米帝国主義は沖縄/琉球を東アジア支配の拠点とし、日本を米国に従属させる意図、謀略を繰り返してきたことが読み取れます。そこで自主防衛の対米独立、沖縄解放以外に日本の暗黒の戦後史の脱却、いや戦前史の脱却をも達成する発展の方向性は皆無である事が結論づけられます。

それから、本書で孫崎さんは謀略説の問題点に就いて重要な命題をここで改めて提示されています。特定の謀略事件で体制側の流布する謀略説と反体制派の伝播する謀略説は混在し、諜報戦、情報戦を構成しており、メディアリテラシーが不可欠です。

孫崎さん:謀略説の問題は、変なものを混ぜる事です。実際に謀略があるから、それを解明されない為に、東日本大震災に関連した様な変な謀略説を流すのです。陰謀論的なものを言う時には、エビデンス(証拠/根拠)で語る事が重要です。自分の頭で想像したストーリーは、単なる妄想でしかありません。私が真珠湾攻撃について言っている事は、いくつかの歴史的事実、ドキュメントがあり、それに従って推定できることです。(本書、152ページ)

権力者共同謀議論(conspiracy theory)は、孫崎さんのおっしゃるように体制側メディアも意図的に垂れ流し、真の謀略説と混在させ、真相を隠蔽するという現実への批判的分析も秀逸です。ちなみに、孫崎さんは真珠湾攻撃は1941年の8月の対日石油禁輸で米国が、当時英国と内通し欧州への戦争介入、武器供給を開始していた中、日本を開戦へと意図的に誘導したという謀略説を唱えられておりますし、その説に私も同意します。

本書は、全日本国民必読の書であります。ありがとう、孫崎さん、一水会 ^_^

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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ついにでたフルフォードさん最強のとんでも本第一弾!2014/10/23
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フルフォードさんの本書は、氏の著書の中でも戦中、戦後史全体の視座の中で、氏の敵対勢力である、氏のいわれるサバタイ派マフィア(本書では新造語のナチオニストと同義)の面々(国務省、国防総省、共和党、ウォール街、NED、NDI、ブッシュ親子、スカル・アンド・ボーンズ、米軍など)をA級戦犯として痛快に断罪している凄まじいとんでも本です。なんと欧米戦勝国にA級戦犯のレッテルを貼り返したのですから痛快です。日本の論壇で他に誰がこれを今迄やりましたか? 以下の著者のお言葉にこの本の魂が読み取れます。

古歩道さん:ヒトラーが、許し難い大量虐殺を行った事は事実で、それは、人類の歴史上でもひどい行為だった。しかし、戦勝国英米からの見方だけでは、歴史の真実は見えて来ない。(中略)戦争に勝った側の言い分だけが歴史上に残されて、負けた方の言い分が無視されていることがおかしいと思う。負けた方の言い分もきちんと記録し、公開されるべきだと考える。(中略)日本の皆さんは、謝り続けるよりも、他に大量殺人を犯した人が、裁かれていないということを指摘する方がいいのだ。(本書、5-6ページ)

私は、先の講演会で発売前の本書を拝見しましたが、日本人としての古歩道さんの欧米批判本の中では、反東京裁判史観の自虐史観批判論者達も狂喜しそうなぐらい強烈なエッジの効いた内容になっています。しかし、タイトルが彼らを視野に入れているのは間違いないのですが、フルフォードさんはあくまで安倍一派とは一線を画しています。

フルフォードさんの、個人で曾ての戦勝国に対して、日本に押し付けられた汚名、レッテルを、逆に敵の世界史的犯罪を逐一批判する形で貼り返す論法(安倍一派などの敵との違いは、フルフォードさんは日本自体の戦争犯罪を否定はしない)は、正に日本人として日本の立場に立ったもので感動的です。古歩道さん、第二弾にも期待します!

本書は全日本国民必読の書です。

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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 護憲論議でリベラル派を分化する勿れ:9条よりも外国軍駐留(駐留も侵略に相当)禁止条項の加憲を!2014/10/23
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まず本書の最重要の命題をご紹介します。それは、真の改憲に必須の条項です。又、その際米軍基地、九条二項、そして国連の敵国条項(この敵国条項である国連憲章第53条と107条により、日本は国際法上の最下層にあり、国連憲章における適用除外処置を受ける立場)をワンセットにして、その同時的な解決をなせる状況を創出していくために包括的に考察しなければなりません。ただの改憲本などではなく、原発問題も含めた体系的な批判論である点に留意が必要です。これまでの双書での論議の集大成であることも間違いありません。なお、改憲はフィリピン方式で、占領体制脱却は統一後のドイツ方式を参考にするべきだと提言されています。そしてこれらが、基地と原発問題永続の構造を根絶する事になるのです。正にタイトルの通りの実践的な結論を導いています。

矢部さん:「この改正憲法の施行後、外国の軍事基地、軍隊、施設は、国内のいかなる場所に於いても許可されない。」この条文を一行、憲法に書き込む事ができれば、それでゲームセット。この長い長い戦後の対米従属の物語と、米軍の支配層が一体化した安保村の歴史も、終わりを迎えることになるのです。同時にアメリカ国民自身が被害者であるアメリカの基地帝国化も、縮小の方向へ向かうでしょう。だからゴールの姿は見えている。あとは逆算して、どうすればそこにたどり着けるか、考えればいいだけなのです。(277ページ)

インタビューに依ると矢部さんは、孫崎さんに習い禁忌を全く無視して自由に記述されたそうです。

矢部さん:「孫崎享さんをみならって、ノーガードです。全部書きました。」

本書の原点は、矢部さんによるとカメラマンの須田慎太郎さんと沖縄巡りをした『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること』という最初の本です。

本書の要諦は四つに総括できます。

1、東日本大震災を契機に日本が基地や原発問題を再考する様になった流れが今も続いており、沖縄に始まる日本の基地問題の研究は、原発問題へと不可分に繋がっているという研究上の発見。

矢部さん:「沖縄の米軍基地の問題は研究が蓄積されています。これをきっかけに、原発の問題にアプローチすると、謎が解けるのではないか。そう思ったのです。」

2、日本の暗黒社会の心臓部である日米合同委員会の決定は、日本国憲法に優先するという主権侵害の永続状態への批判。

矢部さん:「ここで決められたことが、日本国憲法を超えてしまうんです。在日米軍との委員会なので、外務省や防衛省の官僚が入っているのは分かるのですが、法務省、財務省、農林水産省などの官僚も入っています。米側の代表は、基本的に軍人です。」

3、砂川裁判における米国の司法介入が、米軍駐留違憲を断じた伊達判決を駐日大使のダグラス・マッカーサー2世が、藤山外相に命令し、跳躍上告という形で、安保は違憲審査の対象外とする最高裁判決で覆した事件による憲法停止状態の持続(これこそ真の戦後レジームの象徴)。

矢部さん:「日米地位協定の上に日米安保条約、サンフランシスコ講和条約があります。さらにその上に、国連憲章があります。国連憲章については、これまでほとんど考えられてきませんでした。そして、この仕組が最も露骨に表れるのが、原発の問題です。」

4、日米安保と日米原子力協定は、基地問題と原発問題をつなぐ。脱原発は、脱対米従属なしには達せられないことが詳細に分析されています。特に本書のパート1とパート2では、この二つの協定に関する詳論が展開されています。

矢部さん:「福井地裁により、大飯原発の運転差止判決が出ましたね。しかし、関西電力は何も動揺していません。それは、システムとして、判決が最高裁で覆るのだということを、みんな暗黙のうちに知っているからなんですね。日米原子力協定を見てみます。条文に『いかなる理由による(中略)協力の停止の後も、(中略)引き続き効力を有する』とあります。終了の後も効力を有する、本当に意味が分からない。徹底管理、ということです。」

以上の様な国際的に超巨大な帝国の構造(安保ムラも、原子力ムラも含む)に挑む国内の各中間団体は、基地問題と原発問題この二つだけででも団結できているのでしょうか?例えば、反原発連合は、「うちは原発一本でシングルイシューでいく」という誤りを是正するべきです。日米地位協定と日米原子力協定は、基地問題全体と原発問題全体だけでなく、日本の司法問題でもあり、人権/民生問題でもあり、他の社会問題の構造的矛盾にもなっているので、各中間団体は問題の形式的な領域を超越して、領域横断的に団結しなくては、この巨大な敵にはいつ迄も敵わないのは至極当然です。社会問題領域も単に形式的にシングルイシューでいくのではなく、今は体系知が必須なのです。前者は、実践においても抽象的で全体として一領域に過ぎず孤立したものです。

又、9条護憲は対米自立とは矛盾しないのは、今でもそれが個別的自衛権をも、集団的自衛権もそれ自体として否定していないという事であり、外国軍駐留(駐留も侵略に相当)禁止条項の加憲とも齟齬はなく、逆に戦後米軍の軍事行動への積極参加にも桎梏となってきたので、護憲=対米隷属という安倍の様な見方をする人たちもいますが、あくまで最低限、対米独立後に、日本は9条改正に着手するべきで今それに着手するのは孫崎さんや植草さんもご指摘の様に危険です。既刊の全ての双書でも9条否定論は何処にも展開されていません。そういう偽対米自立勢力にミスリードされない様に気をつけて下さい。筆者は、パート3で左派は押しつけ憲法論を否定すると断じているが、孫崎さんも、鳩山さんなどのリベラル派も押しつけの事実はどこでも否定されていないし、憲法が欽定か、民定か、押しつけか否かなどの議論は、今では一般において論争にはならぬまでに共通認識が形成されており、それで左派、リベラルを非難する混乱がここではみられ、逆に一般から隔絶した学界内の不毛な論議を知る参考になります。左派を批判している筆者自身もこう書いています。

矢部さん:人間宣言も日本国憲法も、書いたのは個人ではない。大枠を決めてこれでいけといったのがGHQ、その枠の中で自主性を発揮し、アレンジしたのが日本側。これでもう無益な論争に終止符を打つ事にしてはどうでしょうか? (190ページ)

日本のリベラル勢力は、護憲云々でさらに分化されてはいけない時です。

本書は全日本国民必読の書です。

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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Saturday, October 25, 2014


ついにでたフルフォードさん最強のとんでも本第一弾!2014/10/23
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フルフォードさんの本書は、氏の著書の中でも戦中、戦後史全体の視座の中で、氏の敵対勢力である、氏のいわれるサバタイ派マフィア(本書では新造語のナチオニストと同義)の面々(国務省、国防総省、共和党、ウォール街、NED、NDI、ブッシュ親子、スカル・アンド・ボーンズ、米軍など)をA級戦犯として痛快に断罪している凄まじいとんでも本です。なんと欧米戦勝国にA級戦犯のレッテルを貼り返したのですから痛快です。日本の論壇で他に誰がこれを今迄やりましたか? 以下の著者のお言葉にこの本の魂が読み取れます。

古歩道さん:ヒトラーが、許し難い大量虐殺を行った事は事実で、それは、人類の歴史上でもひどい行為だった。しかし、戦勝国英米からの見方だけでは、歴史の真実は見えて来ない。(中略)戦争に勝った側の言い分だけが歴史上に残されて、負けた方の言い分が無視されていることがおかしいと思う。負けた方の言い分もきちんと記録し、公開されるべきだと考える。(中略)日本の皆さんは、謝り続けるよりも、他に大量殺人を犯した人が、裁かれていないということを指摘する方がいいのだ。(本書、5-6ページ)

私は、先の講演会で発売前の本書を拝見しましたが、日本人としての古歩道さんの欧米批判本の中では、反東京裁判史観の自虐史観批判論者達も狂喜しそうなぐらい強烈なエッジの効いた内容になっています。しかし、タイトルが彼らを視野に入れているのは間違いないのですが、フルフォードさんはあくまで安倍一派とは一線を画しています。

フルフォードさんの、個人で曾ての戦勝国に対して、日本に押し付けられた汚名、レッテルを、逆に敵の世界史的犯罪を逐一批判する形で貼り返す論法(安倍一派などの敵との違いは、フルフォードさんは日本自体の戦争犯罪を否定はしない)は、正に日本人として日本の立場に立ったもので感動的です。古歩道さん、第二弾にも期待します!

本書は全日本国民必読の書です。

出典元:
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日本が在日米軍基地と原発を「止められない」理由とは?2014/10/23
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まず本書の最重要の命題をご紹介します。それは、真の改憲に必須の条項です。又、その際米軍基地、九条二項、そして国連の敵国条項をワンセットにして、その同時的な解決をなせる状況を創出していくために包括的に考察しなければなりません。ただの改憲本などではなく、原発問題も含めた体系的な批判論である点に留意がいります。

矢部さん:「この改正憲法の施行後、外国の軍事基地、軍隊、施設は、国内のいかなる場所に於いても許可されない。」この条文を一行、憲法に書き込む事ができれば、それでゲームセット。この長い長い戦後の対米従属の物語と、米軍の支配層が一体化した安保村の歴史も、終わりを迎えることになるのです。(277ページ)

ベストセラーとなった孫崎享氏の『戦後史の正体』をはじめ、「戦後再発見双書」シリーズをプロデュースした編集者の矢部宏治氏の新刊が本書です。インタビューに依ると矢部さんは、孫崎さんに習い禁忌を全く無視して自由に記述されたそうです。

矢部さん:「孫崎享さんをみならって、ノーガードです。全部書きました。」

本書の原点は、矢部さんによるとカメラマンの須田慎太郎さんと沖縄巡りをした『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること』という最初の本です。

本書の要諦は四つに総括できます。

1、東日本大震災を契機に日本が基地や原発問題を再考する様になった流れが今も続いており、沖縄に始まる日本の基地問題の研究は、原発問題へと不可分に繋がっているという研究上の発見。

矢部さん:「沖縄の米軍基地の問題は研究が蓄積されています。これをきっかけに、原発の問題にアプローチすると、謎が解けるのではないか。そう思ったのです。」

2、日本の暗黒社会の心臓部である日米合同委員会の決定は、日本国憲法に優先するという主権侵害の永続状態への批判。

矢部さん:「ここで決められたことが、日本国憲法を超えてしまうんです。在日米軍との委員会なので、外務省や防衛省の官僚が入っているのは分かるのですが、法務省、財務省、農林水産省などの官僚も入っています。米側の代表は、基本的に軍人です。」

3、砂川裁判における米国の司法介入が、米軍駐留違憲を断じた伊達判決を駐日大使のダグラス・マッカーサー2世が、藤山外相に命令し、跳躍上告という形で、安保は違憲審査の対象外とする最高裁判決で覆した事件。

矢部さん:「日米地位協定の上に日米安保条約、サンフランシスコ講和条約があります。さらにその上に、国連憲章があります。国連憲章については、これまでほとんど考えられてきませんでした。そして、この仕組が最も露骨に表れるのが、原発の問題です。」

4、日米安保と日米原子力協定は、基地問題と原発問題をつなぐ。脱原発は、脱対米従属なしには達せられないことが詳細に分析されています。

矢部さん:「福井地裁により、大飯原発の運転差止判決が出ましたね。しかし、関西電力は何も動揺していません。それは、システムとして、判決が最高裁で覆るのだということを、みんな暗黙のうちに知っているからなんですね。日米原子力協定を見てみます。条文に『いかなる理由による(中略)協力の停止の後も、(中略)引き続き効力を有する』とあります。終了の後も効力を有する、本当に意味が分からない。徹底管理、ということです。」

例えば、反原発連合は、「うちは原発一本でシングルイシューでいく」という誤りを是正するべきである。日米地位協定と日米原子力協定は、基地問題全体と原発問題全体だけでなく、日本の司法問題でもあり、人権/民生問題でもあり、他の社会問題の構造的矛盾にもなっているので、各中間団体は問題の形式的な領域を超越して、領域横断的に団結しなくては、この巨大な敵にはいつ迄も敵わないのは至極当然です。社会問題領域も単に形式的にシングルイシューでいくのではなく、今は体系知が必須なのです。前者は、実践においても抽象的で全体として一領域に過ぎず孤立したものです。

本書は全日本国民必読の書です。

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セガールは公私共にアクションスターだった!2014/10/22
セガールは、俳優に成る前からその本職はルイジアナ州の保安官だった。映画はあくまでサイドジャブだった。本シリーズを全て鑑賞して分かるのは、彼は現実でも、髪型も容姿も映画そのままであり、コミュニティーにおいてもスターだった。

また、彼に逮捕されるのはアフリカ系が多いし、警察署内の出動シーンは極少で、ほとんど現場に直行して、彼の洞察がフラッシュカットで演出されており、これはスタイル化している。彼のファンで、彼に逮捕される容疑者達を見るのは複雑な思いがする。しかし、彼の行動や身のこなしは映画での彼そのままなので、彼こそが本物のアクション俳優だと感心した。

セガールが一番!

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嫌韓を乗り越えて、朝鮮半島の平和的統一を支える日本に!2014/10/22
私は、この東アジア共同体研究所のパンフレット第二弾の出版も待望していました。

韓国や北朝鮮や日本や中国では今異常なナショナリズムが煽られ互いに反目させられている危機的状況を打破しようという思いの籠った本書は嫌韓本が蔓延している中でとても貴重だと思い購読しました。

本書は日本全国民必読の書です。

出典元:

中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)

トロツキー失脚から晩年までを湛然に描写分析した労作!2014/10/21
Amazonで購入(詳細)
本書は、私のお気に入りのトロツキー研究本です。著者は官僚であり、反暴力=反共派、反独裁=反共派ですが、そのような手段が目的を食いつぶしたという論理のイデオロギー的な偏見はさておき、本書で大切なのは、スターリンがロシア秘密警察の送り込んだ二人のスパイの内、捕まらなかったもう一人のスパイで、フルシチョフもスターリンがロシアの秘密警察であるとの文書を知り得てからも、ソ連が30年もロシア秘密警察のスパイに指導されていたことを恥部とし、非公開を貫いたというNKVD工作員の逸話が残っています。そして、同工作員は、トロツキーに彼の秘書がスパイであり、メキシコでの暗殺計画があることを正確に伝えていた。トロツキーは、暗殺の魔の手が身辺に及んでいる事も、暗殺計画が進行している事も知り得ていたという立証が見事です。ここまで、記述されている国内のトロツキー本は皆無です。

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中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)


今は大手メディアから抹殺されている禁断のドキュメンタリーの数々の抜粋2014/10/19
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本書は、米国製の自国の帝国主義政策を批判した数々の抹殺されたドキュメンタリーの抜粋からなっていて、Barbara TrentのPanama Deception(1989)以外は、DVDでの鑑賞すら困難です。全ての内容の抜粋が文字に起こされており自分たちが置かれている社会情勢の正確な理解の為に勉強になります。ここにある問題は、例えば日本中に米軍基地を有している私たちにも共通しているものばかりです。資本主義的な金儲けと個人主義的幸福の空間しか目にない人には、誰にとってもより重要な社会的な政治的活動の世界が立ち現れることはないのですが、社会問題の被害影響を日々被っていることに気づかずに過ごす事に成るのは無自覚で俗物的な前者です。前者に埋没しない人々の物語が本書に納められています。前者は名誉と富みと自分のもののみを重んじ、後者は社会問題の解決自体を望むだけです。

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中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)

Tuesday, October 21, 2014


特にスターリンやヒトラーの人物論では最良の書2014/10/19
私は、まずトロツキーが大軍需産業をバックにしたヒトラーが、ドイツの敗戦プチブルと労働者の民族主義的な怨恨を魅き付ける才能があった点を客観的に指摘しているのが印象に残った。次にスターリンに就いては復讐心と彼の戦略家としての才能を認めている点が印象に残る。そして、両者の対比としては、全者が体制を自力で確立したのに対して、スターリンは官僚体制の産物であり、その逆ではないということである。大衆煽動では、前者の方が優れていた。しかし、トロツキーはあくまで、仮令ヒトラーがスターリンと組んでも消滅敗退する運命にあると確信していたし、トロツキーはあくまでスターリン治下でもソ連を支持し続けた。ソ連に裏切られても、あくまでソ連の改革と死守を呼号し続けた誠実なトロツキーの信念の深さが、本書から感じられる。

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中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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トロツキー失脚から晩年までを湛然に描写分析した労作!2014/10/21
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本書は、私のお気に入りのトロツキー研究本です。著者は官僚であり、反暴力=反共派、反独裁=反共派ですが、そのような手段が目的を食いつぶしたという論理のイデオロギー的な偏見はさておき、本書で大切なのは、スターリンがロシア秘密警察の送り込んだ二人のスパイの内、捕まらなかったもう一人のスパイで、フルシチョフもスターリンがロシアの秘密警察であるとの文書を知り得てからも、ソ連が30年もロシア秘密警察のスパイに指導されていたことを恥部とし、非公開を貫いたというNKVD工作員の逸話が残っています。そして、同工作員は、トロツキーに彼の秘書がスパイであり、メキシコでの暗殺計画があることを正確に伝えていた。トロツキーは、暗殺の魔の手が身辺に及んでいる事も、暗殺計画が進行している事も知り得ていたという立証が見事です。ここまで、記述されている国内のトロツキー本は皆無です。

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中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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今は大手メディアから抹殺されている禁断のドキュメンタリーの数々の抜粋2014/10/19
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本書は、米国製の自国の帝国主義政策を批判した数々の抹殺されたドキュメンタリーの抜粋からなっていて、Barbara TrentのPanama Deception(1989)以外は、DVDでの鑑賞すら困難です。全ての内容の抜粋が文字に起こされており自分たちが置かれている社会情勢の正確な理解の為に勉強になります。ここにある問題は、例えば日本中に米軍基地を有している私たちにも共通しているものばかりです。資本主義的な金儲けと個人主義的幸福の空間しか目にない人には、誰にとってもより重要な社会的な政治的活動の世界が立ち現れることはないのですが、社会問題の被害影響を日々被っていることに気づかずに過ごす事に成るのは無自覚で俗物的な前者です。前者に埋没しない人々の物語が本書に納められています。前者は名誉と富みと自分のもののみを重んじ、後者は社会問題の解決自体を望むだけです。

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後進資本主義国では、一国社会主義は無理!2014/10/18
本書では、全体として後進資本主義国での孤立的な社会主義の不可能性が立証されている。ここに、永続革命論と一国社会主義反対論自体の自己矛盾が生じる。労働者と農民階級による代理の市民革命がロシア革命の本質で、彼に依るとそれに止まらずに社会主義革命に突き進むべきというのがその主張であるが、それは先進資本主義国での革命の勝利と世界経済による経済的統合と革命の全面化を経て初めて革命が成就される訳である。ロシア革命のその後の悲劇は、後者が伴わなかったことである。その齟齬に、スターリン主義が生じてきたし、トロツキーの歴史的な敗北があった。彼は、歴史的発展に即してこのことを叙述しているのが秀逸である。ちなみに余談であるが、トロツキーは官僚/公務員を階級と見なさず、労働を収奪し、資本に奉仕する資本階級の一部に位置づけている。それもプロレタリアと重なる層もあるが。官僚が、国有財産を民営化し、自身が大資本家になる崩壊過程を分析したのはトロツキーであり、それが1991年ソ連崩壊で証明された。正に、一国社会主義の過ちを言い当てた名著である。

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これこそ劇映画!ハリウッド級の韓国映画! 2014/10/17
私は、丁度全斗煥に依る光州事件を研究していて本作を鑑賞した。音楽は、ジョン・ウィリアムズやハンス・ジマーの模倣が見受けられるが、ペーシングもハリウッド的で見ていて飽きがこない。さて、肝心の全斗煥に依る光州事件に就いては、ほぼ全編民衆側から描かれており、彼がワシントンの許可指令で大規模デモを鎮圧した事実は描かれていない。しかし、台湾の228事件の描写に比べると遥かに直接的である。米国の関与に関しては、軍部に置ける米国国旗の存在で暗示される程度に抑制されている点も韓国のメディアの自由度を示している指標である。それでも、映画的な映画であり、私は本作が気に入った。素晴らしい!黒澤監督の編集論を知っているらしく、人が訪ねてくると、そのまま二人で食事をしながら談笑しているシーンに飛んでもおかしくないという有名な編集論をこの監督は意図的に実践している。カット・ポイントが映画的で、思考や感情の変化とアングルやサイズの変化が効果的に的確に切り替えられているのは精巧である。段違いに凄い!!

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米軍のゲリラ戦に影響を与えたゲバラの名著!2014/10/15
ゲバラは、本書の公刊で手の内を敵に明かしてしまった感がある。ゲリラ戦での最重要命題は、現地農民の支持を得る事。これなしには、ゲリラは山に籠っても1967年のボリビアの悲劇の再演となってしまう。従ってゲバラは、ゲリラ戦に於いて住民へのテロルを禁止している。しかし、彼はこの大原則を順守するために部隊内では革命の規律を厳格に適用した。例えば、農民への略奪行為や女性への暴行は極刑に処されている。
あのボリビアの悲劇に就いて言えば、ゲバラ達は結局全滅していないし、一部のキューバ兵達はチリ経由で帰国できていたので完全なる敗北ではなかった。ゲリラ対正規軍の構図に関しては、一般の誤認は、ゲリラ部隊というものがそれ自体をあくまで目的にしている訳ではなく、ゲリラ部隊の目的は自身の正規軍化であるという真理を認識していない事である。以上の命題が全体であって、秘密主義や、ヒットアンドラン、負け戦はしない、武器は敵から調達するなどは従属的なテーゼである。

本書は、武装闘争の理論であるが、デモや反対運動へ応用できる面があり、草の根運動家達にとっても必読の書です。

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最も偉大な革命の師トロツキーのレーニン伝!2014/10/14
私の最も崇拝する革命家はトロツキーです。なんと彼の著した本書は、レーニンが最晩年に病床でクループスカヤに朗読させてじっくりと傾聴していたというレーニンが認めた唯一の他者による伝記です。かの反共御用学者ロバート・サービスによるレーニン伝は、ボルコゴーノフと記述スタイルの差異がありますが、本質的に同質(反共史観)です。レーニンに関する証言は、やはり彼の実際の革命の真の同志達のものを信じるのが最良です。本書以上のレーニン伝はありません。驚くべき事には、1991年以降暴露されたとされるレーニンの一連の強行手段にレーニンやトロツキー自身が隠す事もなく論じている点は、看過できません。なぜならば、それらが隠蔽された真相だのという形で反共、ソ連全否定に悪用されたのですから。連中のものを読んだあとに本書を熟読するのが良い順序です。容共こそが真の民主主義です。

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ジャンルの本義を教えて下さった偉大なハマーフィルム研究者の名著!2014/10/14
レビュー対象商品: モンスター・ムービー (単行本)
私は、石田さんからジャンル映画に関する精確な概念を学習した。それは、つまり、ジャンルとは分類上の便宜であって、あくまで映画制作の目的自体ではないということである。これは、極めて重要な命題であり、この点に言及できた日本の映画研究者は皆無であった。ホラー映画もホラー自体が目的ではなく、あくまで人間の問題を描く為のものである。ホラー映画やジャンル映画に関する日本の研究本では本書は最良の一冊です。

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ひまわり運動への作者の暖かい現地ルポ2014/10/12
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レビュー対象商品: 革命のつくり方 (単行本)
私は、ひまわり運動は今ではアラブの春と同様にランド研究所とグーグルそして国務省が、王金平と国民党本土派を通して、特定の学生運動団体を支援し、同時期に丁度協議中だったTIFA(台湾と米国の自由貿易協定で、実際はTPPの前倒し的実現であり、このサービス協定よりもその協議はブラックボックスである)への批判を避け、それを安逸に推進させていく為の反中、反ECFAを建前にした壮大な米国と国民党政府が演出した偽革命であったというのが真実であるのは、関係者や内部諜報で既に明白である。ただ、このように表面的なひまわり運動のルポでは、彼らの宣伝的な表層しか記録できていないのが残念である。筆者は、李登輝がネオリベラリズムをいち早く台湾に注入した張本人であることを知らない。またひまわり運動のリーダー層は、海外では現地の台北文化代表処の国民党官僚達への報告と許可取得を経ており、運動の参加者達の名簿も申請の形で既に国民党側の手中にあることも知らない。そして、何よりもECFAとTIFAやTPPとの均衡論によるそれらの肯定は、米国に買収され当時積極的にTPP宣伝を行った自由時報や国民党政府などが伝播した恐るべき詭弁であり、韓米FTAでさえも、それだけで韓国を地獄に変えたのに、その弊害が何十倍にも自乗的、重層的に台湾にのしかかることにも考慮が必要である。これが、ひまわり運動というアラブの春やフィリピン反中運動やベトナム反中運動、傘革命などのようにランド研究所、アメリカ国務省と、その全米民主主義基金 (NED)、そしてその下部組織、全米民主国際研究所(NDI)が背後で画策した帝国主義的に利用されたデモ運動の正体であり、以下のような表層的な分析では、読者を連中の演出したプロパガンダの物語を鵜呑みにするようにミスリードしてしまう。

港さん:世界各地の占拠やデモでも、こういう光景を目にしたことはないので、本当に驚いた。段ボールが大活躍である。(174ページ)

ひまわり運動は、対米隷属の二大政党制を有する日本以上の対米隷属地域である台湾の社会的構造からでてきた壮大なプロパガンダであり、その目的は達する事はなかったし、サービス協定は問題なく成立している。悲劇的なのは、それによって煽動され、無惨に暴行され、逮捕投獄された台湾の無名の学生たちである。あの官製のアイドルたちではない。

しかし親台派として、あからさまに台湾への愛情を本書で吐露されている点は高く評価できます。それが、ひまわり運動への額面通りの愛情こもった素敵な筆者の評価となっているのでしょう。

本書はひまわり運動を革命と信じたい人々の必読書です。

出典元:
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俗悪東映営業マンたちは映画創作の魂をテレビに売り渡している!やっぱり宮崎監督版がいいね!2014/10/11
レビュー対象商品: 魔女の宅急便 [Blu-ray] (Blu-ray)
私は、本作は日本でハリポタの様な名作シリーズとして企画されたものであることを知っていますし、それを期待して鑑賞してみましたが、とにかく全編退屈でした。フィクションに耽るどころではない日本の社会的状況からいっても、主題から言っても、物語的に製作する必要はなかったでしょう。特に惨かったのが、キキが婚礼において新郎新婦の頭上に現れる飛行場面で、箒の両側のワイヤーがCGで拙劣に消そうと試みたのに失敗してなんとそのままになっていたのにもがっかりでした。ブルーバック/グリーンバック処理でもあれは私でもしないくらいひどいし、如何に今の日本映画がテレビ局スタッフ(といっても制作作業自体の実態は残業代0の派遣労働者とフリーランス達が主流)に支配されているかが分かります。また、イマジナリーラインの違反という映画に無知なテレビ屋さんに特有の編集も惨い。黒澤明監督や宮崎駿監督の様な真の感動作はもう過去のものとなっています。何も感情を喚起されず、退屈なテレビドラマのレベルでした。映画制作者を自称する人たちは、自分たちだけが撮れれば、このようにテレビ屋どもに屈してもいいのかね?

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 創価学会は平和の砦か?それとも安倍政権の軍国化を助ける似非平和主義なのか?2014/10/10
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私は、佐藤さんが講演会で本書の執筆に関して、韓国や台湾にも展開している創価学会が、軍国主義などではなく、そのような傾向の巧い歯止めになっている(ナショナリズムを暴発させない)という主旨の発言があり、本書に私の創価学会への既存の認識を覆す様な内容を期待して購読した次第です。私は、佐藤さんのおっしゃる様な政治的役割を創価学会、公明党が果たしてくれるならばそれは、大変望ましいし、素晴らしいことだと思います。とにかく、佐藤さんによる創価学会に特化した研究本というのは、政治的立場に関わらず、誰にとっても良い参考に成るのは間違いないです。以下は佐藤さんからのメッセージです。

佐藤さん:創価学会に反感を覚える人、宗教に無関心な人、熱心な創価学会会員、両親が創価学会会員である関係で自分も会員になっているが活動には熱心でない人、恋人が創価学会会員であるために両親から交際を止めろと言われている人などを念頭に置きながら本書を書いた。(中略)私は、偏見を極力排し、創価学会を等身大で理解し、そこから学びたいと思っている。それは、私の理解では、創価学会が生きている、本物の宗教だからである。(204-205ページ)

本書は全ての佐藤ファン必読の書です。

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米国版はテレビドラマとストーリーが異なる!2014/10/9
私は、アメリカンコミックよりも日本の少年ジャンプで育った漫画派なので、絵柄には抵抗が今でもあるが、テレビ版よりも、街頭などの世紀末観はよく表出されていて、瓦礫や死体の山という凄まじいゾンビワールドは、このコミック版でこそ体感できます。それにしても、孤独感がテレビ版以上にでていて、娯楽色というより、シリアスなのがコミック版です。独自のシリーズとして読まれるべきです。

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 えっ?明治天皇もすり替えだったの? 2014/10/8
私は、こんなとんでも本読んだ事なかった。武田信玄やゴルバチョフのすり替え説は、有名だったけど、日本の明治天皇までがすり替えだったという説は初耳でした。私は、こういうXファイル的なとんでも話はエンタメとして消費しています。それなりに面白いです。

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汎アジア主義の時代:アジアの不戦共同体化の為に2014/10/7
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本書は、本年5月31日に那覇に於いて東アジア共同体の琉球・沖縄センター開設記念シンポジウムでの諸氏の講演録です。

第一章「沖縄を平和の要石に」では、歴代首相の中で日本で唯一の勇気ある対米独立派である鳩山さんは、東アジアの平和の為の要石としての沖縄(琉球)を主張されています。沖縄は、今では米帝国主義のアジアに於ける軍事的要石です。曾ての琉球王国は、アジアにおいて諸国の中継点をなし、多角的な独自外交を推進していた平和国家です。その地域的役割は、東アジアの地域的統合に於いて再び止揚され、大アジア主義(汎アジア主義)の世紀の平和的発展の要石として、その中心になることが展望されています。また、鳩山さんは友愛精神が不足しているのは安倍など日本の指導層の側であるとして、日中関係の現状に対して以下の分析を加えています。

鳩山さん:・・・安倍総理の昨今の方向性が、中国は危ないから戦う準備を怠るなと、日本の方から中国に喧嘩を仕掛けている様に思えてなりません。中国としても、日本がこのように厳しい対応をするならこちらも、という思いで、お互いに売られた喧嘩は買おうではないか、という一触即発的な状況になりつつある事は大変心配です。私は武力の行使で真の平和を、すなわち問題の根本的な解決をすることは決してできない、そう確信しております。(9ぺージ)

東アジア共同体が日中台韓北菲などの間で創設され、軍事に限定されない多角的安全保障体制に成り、領土問題では資源の共同開発などで戦争を回避し、沖縄も二重差別の構造から脱却し、日本も対米隷属から脱却して自主防衛、自主独立を達成するというのが一読者である私がこの東アジア共同体に期待している方向性です。ただし明らかなのは、まずこれらの問題が解決されて行く上で東アジア共同体のような平和的連合が同時に形成されていくということです。そのために、何を為すべきかを考察する上で、本書を購読しました。

第二章「東アジア共同体の中で琉球沖縄を考える」では、進藤さんはまず、現在の世界の生産物の三分の二以上がアジアで生産され、アジアが世界最大の市場であり、アジアを介して世界へ流通しているというアジア力の世紀を定義されています。なんとこの章では、かの1947年9月19日に当時の裕仁の御用掛けであった寺崎英成が、シーボルト国務省日本代表に、沖縄の長期軍事占領と恒久的基地化と引き換えに天皇免罪を取引した天皇メッセージが伝えられていたという史実が改めて立証されています。

寺崎英成:天皇が述べるに、米国が、沖縄をはじめ琉球の他の諸島を軍事占領し続けることを希望する。その占領は、米国の利益に成るし、日本を共産主義から守ることにもなる。(中略)天皇がさらに思うに、米国に依る沖縄の軍事占領は、日本に主権を残存させた形で、長期のー25年から50年、ないし、それ以上のー貸与をするという擬制の上になされるべきである。天皇に依れば、この占領方式は、米国が琉球列島に恒久的意図をもたないことを日本国民に納得させる事になるだろうし、他の諸国、特にソ連や中国が同様の権利を要求するのを指し止めることになるだろう。(17-18ページ)

そして、シーボルトは国務長官マーシャル宛の極秘電文で天皇メッセージをこう精確に分析した。

シーボルト:これは疑いもなく、私益からでたものである。(18ページ)

つまり、このような天皇を戦犯として極東裁判で裁き、処刑される運命から免れる為に、裕仁は沖縄の長期軍事占領を米国に交渉手段として差し出していたのであり、憲法が禁じている天皇の国事行為であり、重大な裕仁の憲法違反です。そして、1948年から本土から大林組と間組が沖縄の米軍基地建設へと着手していた事も論証されています。また、裕仁が展開した潜在主権論は、主権放棄の法的な擬制です。そして、日本の再軍拡化の先駆けとなった逆コースは、天皇メッセージの年にそれを契機に始まっています。その流れで、沖縄の基地化がなされているのです。

九条と沖縄基地化は矛盾した政策であり、民主化の産物と逆コースの産物の矛盾であり、両者はワンセットではないことも立証されています。沖縄の基地化は、天皇メッセージを契機とする逆コースと一体なのです。日本は、今日まで逆コースを辿ってきたのです。安倍も今その逆コースを深化させているのです。

また、ここでは地域主義の本義が理解できます。進藤さんの以下のテーゼに簡潔に表出されています。

進藤さん:グローバル化が地域のリスクを作り、そのリスクに対処する為の共通の地域協力の制度化が求められ、進められていく仕組みです。(35ページ)

これこそ東アジア共同体を含めた地域的な制度的統合の本義です。

課題は、本当に地域間格差が巨大でいびつで不均衡なアジア諸国で、均質的なEUのような地域連合が無事に結成可能かということです。これは、情報革命や都市型中流階級文化の浸透、アジア経済の一体化が進む中でも未だ深刻に横たわる障壁です。

第三章「訪米で見えてきた普天間移設の課題」では、稲嶺さんは今年五月の新外交イニシアティブがコーディネートした訪米での成果を紹介しています。稲嶺さんは、47件の日程をこなされたそうですが、国防総省の職員には会えなかったそうです。51ページにあるように、手続き的に進んでいるようでも、沖縄での膠着した状態は全く変わっていないこと、基地建設自体がそもそも沖縄の民意に反する旨を伝えて来られたそうです。結論は以下のお言葉に表されています。

稲嶺さん:ただいずれにしても、辺野古への移設はそのまま続けるべきだ、絶対に必要だ、と言う人はほとんどいません。(52ページ)

第四章「安倍政権下で何が起こっているのか」では、高野さんは集団的自衛権の行使は、あくまで軍事同盟国間だけで有効で、集団安全保障とは別であるという貴重な論点を提供しています。それは、共同体の域内のルール違反に共同対処するという協調的な安全保障だと言います。高野さんは、さらに東アジア共同体の東アジア安全保障共同体の機能について平易に説明しています。

高野さん:有事が起こってから日本が自衛隊を行かせてくれと言っても、アジアに断られるに決まっています。アジア共同警察軍のような枠組みがあれば、それに自衛隊が参加しても日の丸を掲げて日本の国益の為に海外に出て行くわけではないので、「国権の行使としての戦争」には当たらないから「侵略」にはならない。(66ページ)

今年の集団的自衛権批判本では、このような傑出した論点がありませんでした。皆、実は集団的自衛権と集団安全保障体制を混同していますから。この二つは、ご覧の様に似て非なるものです。日本の軍事同盟国は米国だけですから、その傭兵に成る為の集団的自衛権です。

さらに、2010年5月に北京で第三回日中安全保障問題研究会が開催され、中国側が中国国防識別権が日本側と重複しているから不測の事態を想定したルール作りを提案したのに、日本が拒否したことが、中国側の一方的な防衛識別圏設定を招いたことが指摘されています。

第五章「集団的自衛権の狙い 」では、孫崎さんは、先の幾つかの著書で既に披露された論点を総括されています。重複を全て避けると中でもここで秀逸なのは、以下のテーゼです。

孫崎さん:普通政府に対しての反対運動というのは、政府と一線を画しています。(73ページ)

これは、今東アジアで起きているデモ運動の本質(例えば、アラブの春はランド研究所や国務省やグーグルの支援で起こされたし、ひまわり運動も官製デモ運動の側面ももっていた)を見抜く上でも極めて重要です。今では、デモも民衆洗脳や、特定の貿易協定への抗議を避ける為に他の協定への抗議を組織するなど、デモ運動=民主主義的な運動とは限らないからです。体制内の権力闘争に過ぎないならば、官製の側面も有しているはずです。そのような反対運動は、虚偽です。しかも、同時に幾つもの秘められた政治的目的を有しているものです。

本書は全日本国民必読の書です。

出典元:
中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)

真正保守の正しい政治認識:対米隷属深化ではなく、対米従属からの脱却こそが戦後レジームの真の脱却である!日本で最も素敵な雑誌です!これこそ愛国主義の月刊紙!2014/10/6
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私は、今年初めて購読してみて感激しました!独裁者安倍の本の広告入りという点だけは嫌でしたが。以下の言にこの素敵な愛国的な雑誌の魂が宿っています。これこそ真の愛国!これこそ真正保守!これこそ真の右派!これこそ日本の真のナショナリズム!ここに真に正しい歴史観と正論があります。

月刊日本:集団的自衛権行使の容認を巡り、国論が激突している。もし集団的自衛権の行使を容認するとなれば、同盟国アメリカへの攻撃を我が国への攻撃とみなし、日米は共同作戦を展開することになる。対米従属を、さらに強化することになるのだ。わが国は戦後一貫して、アメリカの属国だった。先の日米首脳会談でオバマ大統領のお墨付きをもらい、賛成派だけのお手盛り私的懇談会の提言を受け、安倍首相は一気に閣議決定で集団的自衛権の行使容認を決める腹だ。だが国民の大半は行使容認に反対の意向を表明している。にもかかわらず、なぜ、安倍首相は事を急ぐのか。冷戦が終焉し、勝者アメリカの一極支配体制も崩壊を始めた。戦後の国際政治の構造が大転換期を迎えようとしている。今こそ、我が国が真の独立を果たす千載一偶のチャンスなのだ。対米従属から脱却し、真の独立を志向すべき好機ではないか。安倍首相の目指す戦後レジームからの脱却とは、只単に戦後を否定し、戦前に戻すことであってはならない。真の戦後レジームからの脱却とは、対米従属からの脱却、つまり真の独立を勝ち取ることではないのか。集団的自衛権の行使容認を姑息にも閣議決定で行い、対米従属をさらに強化することに、強い危惧を覚える。独立国家としての矜持を持ち、国民に覚醒を促して、正々堂々と憲法改正を訴えるべきだ。対米自立の道は困難辛苦の道の選択になるだろう。しかし、誇るべき歴史と文化、伝統を有する私たち日本国は、たとえ困難であろうとも、自主独立、自主防衛の道を歩みだすべきではないか。(10-11ページ)

正にこれこそが、最も簡明にテーゼ化された今の真の日本の保守、愛国主義の思想的内容の全体であり、根本思想である。全く正しい!私は、この定式化は植草先生に依るものだと確信しています。植草さんの思想そのものでもあります。これは、完璧な日本の独立思想の最も優美な定式化です。

本誌は日本全国民必読です!  

出典元:
中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)

ドナルド・プレザンスのルーミスのべスト!2014/10/5
本作は、第一作よりも断然面白い。なんといってもルーミスが大活躍するからだ。彼が、マイケルの姉と判明したローリー・ストロードを助けにパトカーを引き返させるために警察に銃口を向けるシーンが彼の魅力を最大限に引き出している。撮影の舞台であるロスのハロウィーンの雰囲気がよく出ている。このブルーレイでは、本作の監督のコメンタリーが初収録されているのがありがたい。

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中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)

儲け主義の悪魔へのいけにえ!オリジナルを冒涜した駄作:プロットがでたらめ!駄目だこりゃ~2014/10/5
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本作の売りは、オリジナルのキャストが顔出ししていることであり、ブロックバスターなのだが、とにかく第一作の直接の続編と言うが何にも繋がっていない。また、プロットが支離滅裂で、ストーリーにもなっていない。もういい。フーパー監督作の二本で十分である。製作規模が巨大でも、ストーリー構成がまずいと機能しないという良い事例ではある。本物のファンならば駄作を駄作と批判するべきである。

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中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)

Saturday, October 4, 2014


インディー映画の最高傑作誕生の裏側に迫る2014/10/4
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私は、本作を鑑賞してますますかの古典が好きになりました。ロメロ監督の様なインディー映画制作の精神、スタンスは今のネオリベラリズムに苦しめられている日本でこそ必要なのです。短編コマーシャルの制作体制を、劇映画制作の体制へと転化させ、尚かつ日々のコマーシャル制作を怠らずに、週末を利用して地元の俳優や制作者達と映画の作り方も知らずに手探りで不朽の名作を作り上げたそのチームワークの楽しさが素敵です。どこかの今時の個人主義の坊ちゃん達の受け狙いの映画ごっこに付き合わされるのとは違い、其処から来る魅力ですね。ピッツバーグ初の長編映画という看板が見えたり、あの劇中のテレビ画面がアップされるので、劇中のプラカードに書いてある言葉が読み取れ新発見も多かったです。

中西良太 / Ryota Nakanishi "憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (地球国地球省地球県地球市地球町地球村です)

福祉国家ドイツのような高コストでも高付加価値創造を目指す経営戦略と真逆なコスト削減しか能のない安倍的経営の悲惨,2014/10/3
日本の論壇では、官僚経験者の方が書かれた政治本が一番内容がある。
大卒後に経産省に入省された古賀さんは、まず序章で有識者会議を隠れ蓑にして、自分の考えを強引に押し通している安倍政権を支えているスタッフの主軸が原発推進派の経産省官僚達であると指摘する。(6ページ、11ページ参照)また、予算バラマキに拘泥する財務省や湾岸戦争以来の念願の集団的自衛権行使に漕ぎ着けた外務省官僚が独裁者安倍の脇を固めている。そこで古賀さんは、彼らは米国の代弁者であると正しく指摘している。(13ページ)中でも中心プレイヤーは、菅官房長官で、領収書の要らない官房機密費がマスゴミ工作や地方議員買収に流用されている。

古賀さんは、安倍が米国に次ぐ世界の列強国(帝国主義国)日本へと変えようとしている本質をこう表現している。
古賀さん:……列強国になるとは「戦争ができる国」になることではない。「戦争と縁の切れない国」、「戦争なしには生きられない国」になってしまうことだ。(9-10ページ)

本書で古賀さんが分析しているのは一言で言うと、安倍が目指している列強になるための13本の矢である。

中でも不気味なのは、先の武器輸出三原則廃止で、国内の軍需産業が各国で武器輸出攻勢を強めていることである。また、主権者国民が無視できないのは、多くの国民が本来のリベラル派が守旧/反動派で、安倍のような大日本帝国復元を対米隷属に依って達しようとする反動派が革新派だとメディアに洗脳されていることである。

本書の中心思想は、古賀さんの以下のお言葉に最もよく簡明に概括されている。

古賀さん:今の日本には、軍事力を強化している余裕などない。むしろ、いかにして、そうした国民生活の向上につながらない出費を抑えて、社会保障や子育て支援など国民生活のための予算を確保するのかという議論が必要になっているのが、今の日本の財政の状況だ。それを可能にするには、既得権と戦い、真の弱者に陽を当てる、国民のための成長戦略を実行しなければならない。つまり、戦う相手は中国でも中東のどこかの国でもない。国内に巣食う、既得権者達との戦いこそ、今すぐに取りかかるべき課題だ。(35ページ)

第一章 「軍事立国」への暴走

いきなり、国民が知らないこれまでの常識が明らかになる。何と、今年の4月以前のこれまで日本では、閣議や閣議懇談会の議事録作成に関する明文規定がなく、閣議等の議事録作成がなかったというのは異常な秘密主義であり、明らかな官僚独裁の表徴であり、ヤバすぎです。ちなみに、日本政府の会議は全部で172もある。

この章でも古賀さんの分析は秀逸極まりない。安倍の軍事力強化は、自衛というよりも自国の価値観や利益を積極的に拡大していく為の軍事力である。(65ページ)

第二章 戦争をするための「13本の矢」

まずは、特定秘密保護法で四大臣だけで秘密裏に武力行使できる日本版NSCが語られる。米国に依る情報の真贋に関する国民的な審議もなしに、秘密裏に戦争参加が推進されてしまう。これは、愛国ではない。
この章では、特定秘密法に関して2014年6月成立の情報監視審査会が、その特定秘密指定解除の勧告が強制力ではないと精確に批判されている。なお、特定秘密保護法は、情報公開法と公文書管理法とセットで論議するべきことを著者は説く。

さらに、武器輸出三原則廃止に関連して、古賀さんは、対米従属国カタールを介して、米国が反アサド勢力であるアルカイダ系のスンニ派武装勢力、かのイスラム国に米国の武器が流入していることを鋭利に分析されている。しかも、それが今度はイラクで、その対米従属政権であるマリキ政権を崩壊させたが、米国はどちらの側にも武器も軍事訓練も供与してきたのである。(79-80ページ)しかも、そうしておいて先日は、イスラム国を理由に頓挫したシリア空爆を行っている始末である。帝国主義のプラグマティズム丸出しである。しかも、安倍はそんなカタールに、今度はミサイル部品を輸出する事を閣議で決めた。安倍は既に死の商人と化している。政府が企業のセールスマンだという誤謬は、地方政府の首長にも蔓延している。

古賀さんは、米国が日本を下請けとして原発と同様に、武器面でも共同開発国日本を介して、アジアや中東に武器輸出をする利権の構図を把握されており、2013年の5月の強欲経団連は防衛計画の大綱に向けた提言で、日本の軍需産業の振興策を説いている。武器輸出三原則廃止が、日本の軍事国家化をもたらす危険性に関して、古賀さんは誰よりも明晰で思慮深い。軍需産業拡大が、日本社会をどう変形させてしまうのか?

古賀さん:日本では、ゼネコンが強いために公共事業を削減できず、農協が強い為に農業補助金を削除できない。これと同様に軍事産業が大きな力を持てば、日本は軍事費を削減できなくなる。(83ページ)

こうして戦争がなければ経済が成り立たなくなる米国のような国家へと産業構造が変化してしまう。

安倍に依る種々の問題法制に関して、審議時間を短縮する魔法の三セットがるという。一つは、束ね法といい共通政策の為に複数法改正を一括法にしてしまう。もう一つは、安全保障大臣の設置だと言う。なぜなら、国会の各委員会の法案審議では、その法律の担当大臣が出席するのが慣行だからであり、そこで、大臣を一人に集約してしまえば便利である。三つ目は、特別委員会を設けて、関連法案審議を行う各省庁の委員会を排し、円滑に審議を行う手法である。どれも、民主主義の否定であり、簡素化という美名に惑わされてはならない。

中道右派を標榜する日本版CIA創設を説く日和見的な陰謀論者がいるが、日本版CIA創設の論議を展開しているのは、自民党である。この事へ古賀さんが注意を喚起してくれている。

ここでは、安倍政権が画策している看過できない謀略に、年間8千億円を超えるODAの軍事転用がある。安倍は、日本の武器輸出を増進させるためのODA援助を行うという最悪の虚偽に満ちた国際支援を行おうとしている。
また、若年世代として看過できないのが、大切な憲法9条と16条を改悪して成立する徴兵制であり、それは上告不能の軍法会議設置や憲法改悪で義務化される常備軍設置に付随し、徴兵制拒否は刑事罰を招来する。安倍と天皇制軍国主義一派は、少子化を福祉政策で乗り越えようとせず、人権制限の法的強制でカバーしようとしている。

13本の矢の最後になるのが、世界を仕切る為の核兵器所有であり、安倍はこれを目指している。日本は、覇権国、列強国、つまり帝国主義国になる選択をするべきではない。帝国主義廃絶と不可分の核廃絶こそ日本が世界の真の盟主になれる道である。

第三章 本当の「積極的平和主義」とは

まずイラク戦争の原因は、イラク人技術者がドイツに流した嘘であり、イラクに生物化学兵器工場があるというものだった。なんと、CIAはドイツBNDから虚報であることを知らされた上で、虚偽に依って米国を戦争へ導いたことを忘れては行けない。 CIAは、戦争の為の情報を集めている組織である。それを小泉は官邸に怪しげな軍事情報を売りに来た輩の情報を真に受け無批判に米国に追随したのは事実であり、対米従属が過去のものなどにはなっていない。何と、古賀さんによれば小泉は拘束された日本人人質の居場所に関する情報を怪しげな情報源から無批判に購入し、米軍に危険な人質救出作戦を懇願する発言をした。(140ページ)しかも、それはガセネタだった。

ここでは、アフリカで米軍の代理で行動する為の集団的自衛権行使が、日本が戦後70年をかけて築いた日本の平和ブランドを破壊し尽くす危険性に就いて、古賀さんの秀逸なお言葉が印象に残った。

古賀さん:日本が米国と一緒に海外へ出ていって人を殺すような事をすれば、戦後70年間で築きあげてきた国際的信頼、「日本の平和ブランド」を、一瞬で失うことになる。当然、日本にも米国と同じ色が着き、その戦いの正義がどちらにあるかに関わらず、日本は必ず多くの敵を作ってしまう。(162ページ)

第四章 アベノミクスの限界

貿易収支が黒字か赤字かと成長は直接関係ないという論を古賀さんは、15年以上も日本より高い成長率を遂げ、日本よりも長期貿易経常赤字に苦しむ米英を事例にして展開している。まず、日本国民の一般的な誤認は円安で、国内生産力がただそれだけで抽象的に増大するという観念論である。現在は、海外市場で販売するものは現地生産体制が主流であり、国内の円安は影響がない。また、2013年度も日本はアベノミクスで貿易赤字が円安でも輸出不振の為に拡大している。円安による生産力増大などは、関税撤廃に依る生産力増大の幻想と同様である。

公共事業バラマキが最も深刻な建設業は、増収でも減益という供給能力の限界に来ている事が分かる。さらに、鹿島建設のような大手ゼネコンは同じ金額で多く工事を発注しようとして、結果として建設されるものが少なくなる。古賀さんは、実質経済成長率は、使ったお金ではなく、できたもので計ると正しく指摘している。(167ページ)

此処で最も秀逸で傑出した分析が、以下のテーゼある。

古賀さん:最も深刻なのは、民間の設備投資が建設コスト高騰のあおりで抑制され、将来の成長の根を摘んでしまっていることだ。(167ページ)

つまり、公共事業のバブルを崩し、建設コストを下げれば、民間投資は増大するというのが正解なのである。これと真逆のことをしていて民間投資を抑制しているのに、成長戦略だと喧伝する安倍の政策は狂気の沙汰である。

それに付け加えて深刻なのが、法人税減税であるが、元々日本の7割の企業は赤字で法人税は未納になっていた事実は多くの国民は知らない。12年度でも全国270万社の内、200万社も法人税を納税していない。しかも赤字でも最長9年間も減税の優遇措置が計られるので法人税が幾つでも関係なかったという分析も正鵠を射ている。また、法人税減税も賃金削減と同様に資本家利潤をその分増大させる。さらに、企業への粗特更新が族議員と官僚の天下り利権の維持強化に利用されている構図も無視できない。そして、厚生年金と国民年金の積立金を運用する独立行政法人GPIFは、国債だけでなく、一般株式への投資率を1%増やすという。今の日本株式市場は官製相場なのである。

他には、農協のゾーニング規制撤廃の形骸化、転作補助金に依る減反政策強化による低付加価値の飼料用米の増加や配偶者控除の廃止などもネオリベラルな政策であるアベノミクスの問題点である。

第五章 間違いだらけの雇用政策
まず古賀さんのテーゼが洞察力に富んでいる。日本の労働観は、国際的にいびつであり、自己実現の場を職場だという洗脳がその日本型雇用システムの黎明期である日露戦争の時代からなされてきた。この異常事態が日本では疑われもしない常態になってしまっている。労働は元来奴隷労働であり、苦役だったのである。それは、資本主義の資本創出の運動の契機、環に過ぎないという位置づけなのである。

古賀さん:特に、自己実現の場が職場にしかないという国は、先進諸国にはないといってよいだろう。(194ページ)

今では、資本の運動から自由になれる社会活動の場こそが、自己実現の場であるとして日本のインテリ達は推奨している。そして、やはりネオリベラリズムでアトム化した個人が中間団体の不在の為に企業と国家の間で埋没している構図は日本の闇である。これが今の日本である。

古賀さんの指摘するように、日本の様に働く事は何でも無分別によいということではなく、働く事はコストという先進諸国の考え方は労働者自身を守ることに繋がる。

古賀さんの日本社会の分析は、そのまま日本の労働者達の社会的常態の分析でもある。

古賀さん:欧米と日本の最大の違いは何かと問われれば、私は社会の公的な活動における個人の役割の大きさだと答えている。(中略)日本社会は、公的な活動はすべて「官」がやり、「官」に対する「民」は企業しかない状態だ。つまり、「個人」が役所と企業の間に埋没している。ここが他の先進諸国との違いで、非常に歪んだ社会である。(中略)働く時間を少なくして、企業に埋没していた「個人」がいろいろな社会活動をするようになれば、個人が支える様々な活動が活発になり、役所ばかりが幅をきかせるのではなく、民間の様々な団体などが役所との関係で、時には緊張感をもち、時には協力し合って、公的な活動で中心的な役割を果たす事ができる。(197ページ)

日本の資本家達がしているのは、もっぱら労働者間の競争を激化させ、中国や東南アジアの労働賃金水準に立脚する企業との国際競争で、一方的な賃金引き下げを行い、それが中国の賃金と日本の賃金が同一水準にまで零落しない限り歯止めがかからないことを古賀さんが分析されている。非正規の増加の原因はここにもあり、非正規化はネオリベラリズムの現象である。なお、毎月勤労統計を見れば、トリクルダウンや賃上げが偽りで、全体として賃金は減少傾向のままであるという真実を誰でも明確に理解できる。

ここで、看過できないのは、日本の外国人労働者達の多くが現地ブローカーによる人身売買的な手段で日本で労働させられているということ。これを国務省が外国人技能実習制度などを槍玉に挙げて批判してくれている。

日本企業は、労働者の生活水準を引き下げて互いに競争させるコストカット一点張りで、創造性のない単なるコスト競争しかしていない。日本は、過去20年以上もそのようなコスト競争を継続しているのである。古賀さんの分析はここでも群を抜いている。

古賀さん:グーグルやアマゾンやアップルのようにまったく新たなビジネスモデルを考える能力がない経営者ばかりだから、結局、今あるまったく独創性のないビジネスで競争するため、途上国にすぐに追いつかれ、労働者にコストカットのために生活を切り下げる事だけを押し付けてきた。(202ページ)

解決策の中心思想となるのは、古賀さんの以下の命題です。

古賀さん:労働のコストは高いのだから無駄な仕事はさせてはいけない、という意識が企業に高まれば、いかにして高いコストでもペイする事業にしていくかを考える様になる。(201ページ)

格差拡大の大きな矛盾を今年もたらしたものは、大増税だけでなく、今年の4月から公務員給与が正社員に合わせて7.8%も引き上げられたことであり、倒産企業の給与率や、非正規を抜きにして、大手大企業の正社員の月給に合わせて増額したのであり、巨大な官民格差を放置しての増額は不当である。

職業訓練や、職業紹介事業の大規模な民営化で無用なハローワークなどを解体していくのは民営化の正しい方向である事も理解できる。

余談だが、中小企業の世襲は、交際費の損金算入が認められるなど一般に知られていない優遇処置が施されている。資本の側への過保護が実は依然として続いているのであり、労働への生活条件の切り下げ競争だけが激化している。

第六章 日本再興への提言

ここでは古賀さんのアベノミクス批判も込めた経営論が最も印象に残った。

古賀さん:ドイツでは、為替の影響をあまり受けないような、付加価値の高い商品やサービスの創出に注力している。同じ自動車でも、ベンツやBMWは日本車よりもかなり高い値段で売れる。最初から安い値段でシェアを取ろうという発想ではなく、他者より高く売れる付加価値の高い高級車を売る。同じ労働時間で大きく儲ける発想だ。そこで生まれたブランドを使って、今度は小型車でも高い値段で車を売る。日本もそういう段階を目指すべきなのに、いまだに円安に頼って価格競争をしようという発想から抜けていない。アベノミクスによる円安でこんなに日本中がフィーバーしているのは、日本の企業が如何に価格競争だけをしてきたかの証左であろう。(235ページ)

このような単なる価格競争一点張りで、労働者の生活条件を切り下げ、労働者に競争を強いているだけのガラパゴス的な日本型経営は、あらゆる日本の産業に於いて労働者階級に深刻な弊害をもたらしている元凶である。

本書は、全日本国民必読の書です。

中西良太 / Ryota Nakanishi "憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (地球国地球省地球県地球市地球町地球村です)