ネップ(レーニン時代のソ連経済の実態と理念)と中国社会主義市場経済の差異を解明した労作!, 2015/10/1
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レビュー対象商品: 社会主義と市場経済―ネップ論 (トロツキー・ライブラリー) (単行本)
まず、本書はトロツキーによりロシア革命と他の社会主義革命の差異として定義されているのは、市場経済を利用するか否かではありません。
ロシア革命は、まず労働者階級とその党による農民獲得の闘争であり、政権獲得は内戦の前ですが、他の国は内戦後になり、その分労働者階級は、権力獲得時には旧支配階級の抵抗は軽減するという点で指摘しています。
本題は、1917年から1922年迄のソ連経済の実態です。一般的な存立条件は三つあります。1、生産力の発展度と工業と農業の相関関係の発達状態; 2、執政党及び階級の文化的水準と組織的水準;3、国内外におけるブルジョアジーの最終的敗北の有無と外国の干渉と技術的インテリのサボタージュの有無です。
どれをとってもロシア革命は成功後も以上の条件が困難のままでした。
どれをかけても一国社会主義不可能論の論拠になります。国有化と労働者階級に依る企業の組織化は同時に達成されて初めて効果を発揮しますが、ソ連はこの点で1917年から1918年の国有化で達成不十分でした。
そして、トロツキーは、第三インターナショナル成立を一国社会主義を前提にしているという詭弁に抗して、無秩序に対して理性の支配を強制的に打ち立てる革命の展望と一般的発展の傾向とテンポの視座からも日和見主義の脱却として認識しています。
重要なのは、戦時共産主義は社会主義ではなく、総力戦体制下の徴発経済政策です。トロツキーもそれが社会主義でもないことを指摘しています。
此処では彼の技術論が秀逸です。
トロツキー:規格化は技術の社会主義である。規格化なしには、技術は最高の開花には到らない。(p.29)
抽象的、官僚的な先験的計画や形式的な社会主義的目的も有用ではなく、ソ連は長期間資本主義的な方法で、鉄道網などの生産機関、企業の経営のために、市場の方法を利用して、社会主義の軌道へと変更できる物質的条件自体を作り出すべき事を説いています。
しかし、国家資本主義とソ連社会主義の差異は、労働者階級の側が課税と信用の機構を掌握しており、経済的支配の体制を構築しているか否かにあります。
また、外資解放で、私営企業が大多数を占める中国の社会主義市場経済とは異なり、正反対のソ連の新経済政策の内訳は、全工業企業を国有化し、その若干企業を資本家に賃貸しています。4万から5万の労働者を雇う2千の小企業が私的に賃貸で運営されており、それに対し、設備も優秀な4千の企業が100万の労働者を雇用する形で、市場で競争し、信用と課税の機構を維持し、資本家の政治的な蓄積を社会的に抑制しています。しかも、対外貿易は国家が独占しています。
土地も全て国有化であり、鉄道網も国有化され、商業では30%のみ流通は私的資本が行っていて、労働者達が市場経営の技術を獲得していく過程で、市場の方法を利用しつつ、その発展に応じて協同組合式の、農民も取り入れた中央集権的な計画経済へ系統的且つ包括的な再変更を繰り返し、構造的に移行していく事が展望され、その過程で国家統制と市場の自動統制との均衡が説かれていました。
これが、真に資本主義を復活させたのではなく、譲歩ではあれ、効果的に統制していたレーニン時代のソ連経済の大枠です。
資本の攻勢は、最も反動的なブルジョア分子への権力の集中と独占の拡大と格差の増大に体現されていますが、それとも当時のソ連は真逆でした。しかも、経済調整のために資本主義の方法を利用し、やがて再構成し、社会主義へ移行する過程自体は不可避であると定義されています。問題は、その程度の差異なのです。当時のソ連は生産力自体の低下が深刻な中で、まずはそれを一定水準に向上させつつ、社会主義を目指す過程としてネップ時代=レーニン時代があったのです。その新しい生産様式を生む生産力は、抽象ではなく、ますは、資本の方法であり、その利用の中で、新しい計画経済の方法をその基礎的条件とともに生み出していこうという発送であり、計画経済自体が高度に発達した資本の方法が転化する高次の生産様式として認識されていたものです。市場と計画の結合から、市場の廃止と計画への完全移行。ただの、総力戦体制にみる官僚独裁経済ではありません。経済を直接管理するのは労働国防会議でした。
労働者階級の待機主義、平和主義を革命へ、上昇する生産力を社会主義の軌道へ転化転移させるのが、真の社会主義者の任務であるというのは至言です。経済発展の傾向を見極め、その傾向を促進させる任務もあります。
次の助言は、広範な仕事でも応用できます。
トロツキー:実践的な課題の解決に応じて、それを統計的及び経済的に点検する必要がある。(p.99)
最後に、共同の生産手段を持って組織的に労働し、多くの個人的労働力を意識して一つの社会的労働力として支出する自由な社会的人間の協力体は、まさに未だ実現せぬ社会主義社会の本質です。
本書は、ソ連経済及び新経済政策に代表されるレーニン時代の経済状態を理解する上で必須です。
ロシア革命は、まず労働者階級とその党による農民獲得の闘争であり、政権獲得は内戦の前ですが、他の国は内戦後になり、その分労働者階級は、権力獲得時には旧支配階級の抵抗は軽減するという点で指摘しています。
本題は、1917年から1922年迄のソ連経済の実態です。一般的な存立条件は三つあります。1、生産力の発展度と工業と農業の相関関係の発達状態; 2、執政党及び階級の文化的水準と組織的水準;3、国内外におけるブルジョアジーの最終的敗北の有無と外国の干渉と技術的インテリのサボタージュの有無です。
どれをとってもロシア革命は成功後も以上の条件が困難のままでした。
どれをかけても一国社会主義不可能論の論拠になります。国有化と労働者階級に依る企業の組織化は同時に達成されて初めて効果を発揮しますが、ソ連はこの点で1917年から1918年の国有化で達成不十分でした。
そして、トロツキーは、第三インターナショナル成立を一国社会主義を前提にしているという詭弁に抗して、無秩序に対して理性の支配を強制的に打ち立てる革命の展望と一般的発展の傾向とテンポの視座からも日和見主義の脱却として認識しています。
重要なのは、戦時共産主義は社会主義ではなく、総力戦体制下の徴発経済政策です。トロツキーもそれが社会主義でもないことを指摘しています。
此処では彼の技術論が秀逸です。
トロツキー:規格化は技術の社会主義である。規格化なしには、技術は最高の開花には到らない。(p.29)
抽象的、官僚的な先験的計画や形式的な社会主義的目的も有用ではなく、ソ連は長期間資本主義的な方法で、鉄道網などの生産機関、企業の経営のために、市場の方法を利用して、社会主義の軌道へと変更できる物質的条件自体を作り出すべき事を説いています。
しかし、国家資本主義とソ連社会主義の差異は、労働者階級の側が課税と信用の機構を掌握しており、経済的支配の体制を構築しているか否かにあります。
また、外資解放で、私営企業が大多数を占める中国の社会主義市場経済とは異なり、正反対のソ連の新経済政策の内訳は、全工業企業を国有化し、その若干企業を資本家に賃貸しています。4万から5万の労働者を雇う2千の小企業が私的に賃貸で運営されており、それに対し、設備も優秀な4千の企業が100万の労働者を雇用する形で、市場で競争し、信用と課税の機構を維持し、資本家の政治的な蓄積を社会的に抑制しています。しかも、対外貿易は国家が独占しています。
土地も全て国有化であり、鉄道網も国有化され、商業では30%のみ流通は私的資本が行っていて、労働者達が市場経営の技術を獲得していく過程で、市場の方法を利用しつつ、その発展に応じて協同組合式の、農民も取り入れた中央集権的な計画経済へ系統的且つ包括的な再変更を繰り返し、構造的に移行していく事が展望され、その過程で国家統制と市場の自動統制との均衡が説かれていました。
これが、真に資本主義を復活させたのではなく、譲歩ではあれ、効果的に統制していたレーニン時代のソ連経済の大枠です。
資本の攻勢は、最も反動的なブルジョア分子への権力の集中と独占の拡大と格差の増大に体現されていますが、それとも当時のソ連は真逆でした。しかも、経済調整のために資本主義の方法を利用し、やがて再構成し、社会主義へ移行する過程自体は不可避であると定義されています。問題は、その程度の差異なのです。当時のソ連は生産力自体の低下が深刻な中で、まずはそれを一定水準に向上させつつ、社会主義を目指す過程としてネップ時代=レーニン時代があったのです。その新しい生産様式を生む生産力は、抽象ではなく、ますは、資本の方法であり、その利用の中で、新しい計画経済の方法をその基礎的条件とともに生み出していこうという発送であり、計画経済自体が高度に発達した資本の方法が転化する高次の生産様式として認識されていたものです。市場と計画の結合から、市場の廃止と計画への完全移行。ただの、総力戦体制にみる官僚独裁経済ではありません。経済を直接管理するのは労働国防会議でした。
労働者階級の待機主義、平和主義を革命へ、上昇する生産力を社会主義の軌道へ転化転移させるのが、真の社会主義者の任務であるというのは至言です。経済発展の傾向を見極め、その傾向を促進させる任務もあります。
次の助言は、広範な仕事でも応用できます。
トロツキー:実践的な課題の解決に応じて、それを統計的及び経済的に点検する必要がある。(p.99)
最後に、共同の生産手段を持って組織的に労働し、多くの個人的労働力を意識して一つの社会的労働力として支出する自由な社会的人間の協力体は、まさに未だ実現せぬ社会主義社会の本質です。
本書は、ソ連経済及び新経済政策に代表されるレーニン時代の経済状態を理解する上で必須です。
Cited:
中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! 対米従属批判!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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