Wednesday, November 18, 2015

スターリン体制の成立及びソ連崩壊の根源を探求する書:スターリンは不正選挙でレーニン遺書による更迭案の難を逃れた......


スターリン体制の成立及びソ連崩壊の根源を探求する書:スターリンは不正選挙でレーニン遺書による更迭案の難を逃れた......2015/11/17
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本書は、レーニン晩年からスターリン体制への移行期を理解する上で最重要の参考書です。

十月革命ではその武装蜂起を妨害するスト破り的機能を有していたスターリンは、1922年4月に書記長になった。1922年12月23日、レーニンが秘書に遺書を口述した時点で、既に秘書達と、盗聴システムを構築し全ての主要党員の意向を把握するスターリンとは通じていた。全てがレーニンの生前の1922年には、スターリンによるボリシェビキ党員の自身への忠誠を誓う新党員や幹部でリプレイスし、有利な人的環境を形成するべく工作が開始していた。思想的敗北というより、組織的政治上の敗北だった。

トロツキーは、1922年の9月にはレーニンから、そして1923年1月にスターリンからレーニンの後任として人民委員会議長を推挙されていたが、ユダヤ人が元首になるべきではないと断った。しかも、彼は、彼の反スターリン運動の出始めが1923年10月党中央委員会への手紙からであり、全ては遅かった。これらが、彼の歴史的敗北とソ連のその後の悲劇を招いた。

幾つか重要な史実は、スターリンが最初に書記長になった投票は、そもそも投票用紙自体にスターリンを書記長に投票する旨を記入したものが大量に発見された。それはカーメネフの工作だった。最初の時点で既に彼は不正投票の産物だった。

そして、得票調べによる得票操作は、その後も常習的に行われた。例えば、1934年の第17回党大会でもスタ―リンは反対票292票の内、289票を焼却させた。不正選挙に依る地位の維持である。

さらに、忘れてならないのは、クループスカヤも、レーニンの妹も1937年の大粛清の時代までスターリンの権威体制に奉仕する形になった点であり、彼女達がスターリンやカーメネフらの要望で動いた史実も重要である。

ちなみに、思想的にブレジンスキーに抗するためには、民族問題と階級問題の二元論がスターリニスト的過誤である点を認識することが大切である。レーニンもトロツキーも、プロレタリアの国際的団結のために、民族的対立を惹起するを諌んでいる。

トロツキー: 我々の政策は民族問題を含んで全て階級的政策である。民族問題に対する我々の我々の態度、その解決策は我々の階級的立場の構成部分であって、副次的なものでも、対立するものでもない。(138ページ)

階級闘争は、民族主義的でもあり、国際主義的でもある。階級が、その闘争に勝利する為に、先進国と後進国の民族、多数派民族と少数派の差別利害を克服する説得と合意と大国の小国への民族の尊厳(民族主義)によるというように、民族と階級問題は相互補完的な関係にある。ここを二元論的にみては、真の民主主義も、国際主義も、階級闘争もない。この点がスターリンとレーニンの致命的な思想的差異でもある。

本書は、レーニンの遺書の運命を通じてソ連崩壊の史的根源に迫る良書です。

Source:中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! 対米従属批判!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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