21世紀のソ連ロシア論:偉大なロシア人民とソ連ロシアの世界史的価値の総括, 2015/8/7
レビュー対象商品: 異端の人間学 (幻冬舎新書) (新書)
本書では、私は殊に佐藤さんのスノーデン論と、モサド諜報員達が佐藤さんに語ったというソ連崩壊とネオリベの台頭に関する箇所が重要だと思いました。さらに、ここでは五木寛之氏が敗戦時の満州、北朝鮮でソ連赤軍が大量レイプ事件をここでも起こしていた史実も暴露されています。前線でこうした暴行事件をどの戦線でも起こしていたソ連の囚人部隊とそれを取り締まり処刑の権限も持つスメルシュによる統制もそれと関連します。単に反共史観で赤軍を悪と断罪せず、内訳を分析している点が格別に秀逸です。
スノーデンについて、彼が世界レベルのIT技術を有している一方で、正義感は中学生並みという現象は、米国が厖大なデータを蓄積している一方で、監視社会や諜報をそうしたレベルでしか捉えていない事が、端的に示されています。では、なぜあれだけの盗聴を行い、データ集積が大手サイトからも日々成されているのに、テロ対策もろくにできていないのでしょうか?あれらの厖大な情報は如何に利用されているのか?
佐藤さん:じゃあ。情報を何に使っているかというと、ほとんどビジネスというか、金儲けなんですね。相手の情報を盗んで、ビジネス交渉を有利に進める事ぐらいにしか使われていない。(57ページ)
では、ソ連崩壊とネオリベ台頭の関係は? それは、古くはトロツキーだけでなく、ナオミ クラインも指摘していますが、ソ連は例え、スターリン主義下で堕落した労働者国家になっていても、その存在自体が資本主義社会に社会福祉政策や、比較的平等を目指した所得格差の是正を自覚的に推進させ、資本主義を維持し、社会主義への変革を抑制するという悪くない反作用を引き出していました。だから、ソ連はプロレタリア国家と言えたし、トロツキーも全力でそれを支持したのです。モサドもこの線で、ソ連崩壊とネオリベの蔓延を分析しています。
佐藤さん:2014年5月にイスラエルに行って友人達と議論したんですが、彼らが口々に「国家の仕組みが変わった」と言うんです。どういうことかというと、アメリカの金持ち達というのは、いつの時代でもだいたい人口の5%ぐらいいる。それで、東西冷戦が終わる迄は、その金持ちが、政府を通じて強度な累進課税制による再分配に賛成していたと。いわば、共産主義が、資本主義の暴走の歯止め役になっていたわけです。ところが、共産主義の脅威がなくなったから、世界全体が弱肉強食になってしまった。(58-59ページ)
そして、資産のファンド形式(例:奨学金や研究費供出で自社に有利な人的、技術的な資源を社会的に独占していく)での社会的な還元という我田引水のネオリベ様式に変化してしまいました。1991年以降は全面的なネオリベ時代に突入したのです。
これは、ソ連崩壊=ネオリベ資本主義の全面的な暴走開始というソ連の世界史的な偉大な存在意義を逆に論証しています。ソ連ロシアは、20世紀を通して資本主義の暴走を抑止する役割を、スターリン主義ではなく、それ自体の存在に依って果たしていたのです。
本書は、全佐藤ファン必読の書です。
スノーデンについて、彼が世界レベルのIT技術を有している一方で、正義感は中学生並みという現象は、米国が厖大なデータを蓄積している一方で、監視社会や諜報をそうしたレベルでしか捉えていない事が、端的に示されています。では、なぜあれだけの盗聴を行い、データ集積が大手サイトからも日々成されているのに、テロ対策もろくにできていないのでしょうか?あれらの厖大な情報は如何に利用されているのか?
佐藤さん:じゃあ。情報を何に使っているかというと、ほとんどビジネスというか、金儲けなんですね。相手の情報を盗んで、ビジネス交渉を有利に進める事ぐらいにしか使われていない。(57ページ)
では、ソ連崩壊とネオリベ台頭の関係は? それは、古くはトロツキーだけでなく、ナオミ クラインも指摘していますが、ソ連は例え、スターリン主義下で堕落した労働者国家になっていても、その存在自体が資本主義社会に社会福祉政策や、比較的平等を目指した所得格差の是正を自覚的に推進させ、資本主義を維持し、社会主義への変革を抑制するという悪くない反作用を引き出していました。だから、ソ連はプロレタリア国家と言えたし、トロツキーも全力でそれを支持したのです。モサドもこの線で、ソ連崩壊とネオリベの蔓延を分析しています。
佐藤さん:2014年5月にイスラエルに行って友人達と議論したんですが、彼らが口々に「国家の仕組みが変わった」と言うんです。どういうことかというと、アメリカの金持ち達というのは、いつの時代でもだいたい人口の5%ぐらいいる。それで、東西冷戦が終わる迄は、その金持ちが、政府を通じて強度な累進課税制による再分配に賛成していたと。いわば、共産主義が、資本主義の暴走の歯止め役になっていたわけです。ところが、共産主義の脅威がなくなったから、世界全体が弱肉強食になってしまった。(58-59ページ)
そして、資産のファンド形式(例:奨学金や研究費供出で自社に有利な人的、技術的な資源を社会的に独占していく)での社会的な還元という我田引水のネオリベ様式に変化してしまいました。1991年以降は全面的なネオリベ時代に突入したのです。
これは、ソ連崩壊=ネオリベ資本主義の全面的な暴走開始というソ連の世界史的な偉大な存在意義を逆に論証しています。ソ連ロシアは、20世紀を通して資本主義の暴走を抑止する役割を、スターリン主義ではなく、それ自体の存在に依って果たしていたのです。
本書は、全佐藤ファン必読の書です。
Cited:
中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! 対米従属批判!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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