Saturday, January 21, 2017

【書評】ブラック企業オリエンタルランド: ディズニーランド裏舞台―夢の王国で働く人の物語 青木 卓著

ディズニーランド裏舞台―夢の王国で働く人の物語
ディズニーランド裏舞台―夢の王国で働く人の物語
青木 卓著
エディション: 単行本

5つ星のうち 5.0 浦安漁民たちの生き埋めにされた漁業の上に立つ夢の王国とオリエンタルランドの裏舞台:日本唯一のディズニーランド問題の批判書!2016/6/9
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コメント:業務委託の労働者とは、まず偽装請負と同じ扱いではない。この二つが混淆しているケースがここにはある。
そして、どちらも違法形態であり、それぞれの仕方で処理できる。労働者性の証明こそが争点である。残業代請求もできる。
ユニオンは、労基署での処理の仕方があまりに粗雑である。

重要ポイント:

1.著者の青木氏は、キャスト(正社員を除く、バイト、契約社員、業務委託)として潜入調査をし、オリエンタルランドの労働者たちの実態と心理を活写している。

2.ディズニーは米国の会社であり、TDL/TDS運営会社は三井不動産と京成電鉄を親会社とする浦安の子会社で不動産会社のオリエンタルランドである。1970年代まで浦安は漁民たちの漁の場であったが、オリエンタルランドによる東京湾の埋め立て地の大企業への転売とランド建設で漁業は死滅した。夢の国は、浦安漁民たちの生き埋めにされた漁業の上に建っている。これを忘却してはならない。

3.キャストたちは、一流大学出というよりも、高卒でフリーターが当時から主流であり、若いうちだからと、ディズニーで働けるという夢、ブランドという点だけで、低賃金、不安定労働を受け入れているブラック企業としては理想的な労働者の心理を育んでいる。この替えの効く疎外されたマニュアル労働から正社員として就職し脱する独立した精神を経営陣は快く思っていない。

4、ブラックバイトの諸条件を有している。たとえば、1ヶ月前に出したシフト希望の後、そのシフトが強要され、身代わりなしに休みを許されないという点、制服の一部である靴や黒いハンドバッグの自腹購入をさせられる点、シフトを現場の社員の裁量でもいじれるため、わざと多く休みにして退職条件を満たさせたり、賃金が減るように仕向ける暴力も行われているなど。

事実関係:

1、正社員の企業内組合はキャストたちには存在しない。キャストたちは、スケジューラーというシフトを組む正社員かワーキングリードという現場の正社員たち(正社員は非正規の管理職)しか、苦情を言う相手がいない。

2、シフトは、基本希望休暇はない。身代わりを立てて入ってもらうという身代わり制がキャストの労働者たちへの強制と成っている。著者の青木氏の頃よりもこの傾向は、顕著である。スケジューラーの1か月前に立てるシフトは、絶対的で後から病欠もできない奴隷制である。ここが、従業員を圧迫しているのである。

3、著者青木氏は、ワードローブ部にバイトではなく、業務委託として人材派遣会社に雇われた。しかし、バイトと請負労働者、業務委託の別は現実にはなく、労働者として使役されている。バイトとして、請負だといい派遣するが指示は相手企業の指示を受けているので、偽装派遣である。しかも、労働者ではなく、個人事業主となっているが、バイトと同様に13万から15万円の給料でしかも、保険も一切ない。これは、現在もフォトワークスなどの業務委託形態と同様で、業務委託の労働者という違法形態である。業務委託=個人事業主は、月に最低50万円は必須である。現在でも契約社員やバイトの水準と変わらない額の業務委託は、違法であり、ブラック企業の確実な表徴である。2か月目でないと社会保険加入はない。また翌月25日払は子会社も全て同じ。月給目安は禁句であるが、今も13万円ほどである。

4、出演者も日本人はすべてバイト=パート=非正規であり、アメリカから一年契約でくるプロのダンサー達は、白人でショーの主役を演じるし、豪華マンション暮らしをあてがわれる。ここにも幻想がある。

5、千葉県政は、70年代東京湾を埋め立て、大企業に切り売りし、重化学工業の廃液も浦安の漁業、漁民、漁業町としての生命を永久に絶った。ディズニーランドの建設と重化学工業の発展は不可分のコンテクストにある。

コメント:

本書は、日本で図書館からも除籍されるほどの唯一のオリエンタルランドへの批判書である。

中でも、靴の購入強要とシフト強要と着替え時間の未払い賃金は、違法である。

青木氏は、極めて芸術的な表現でオリエンタルランドのブラック企業の世界を概括している。

青木氏:(セキュリティーゲートをくぐり、バックステージに入る時)緑の木々は、コンクリートの灰色の壁ではない。ディズニーランドは、夢と魔法の王国、幸せを見つけさせてくれる世界であり、弾圧や無法がはびこる暗黒界ではない。だがしかし、夢の世界を覆う緑の囲いが、時に私を閉じ込める越え難い壁と見えた。(125ページ)

ここに、自覚したキャストたちの心象が表現されている。

例えば、オリエンタルランドでは、キャストたちを事務所へ呼び戻すのを回収という。まるで、ゴミの回収と同じである。人を回収という点で人間性の疎外が深刻であることは読み取れる。

さらに、当時は着替えやワードローブの建物から現場の移動も拘束時間、勤務時間として着替え手当があったようであるが、今の彼らにはそれはない。ランド内から着替え終了と、ランド外への退社時間も勤務時間であるが、含まれていない。前後30分が無料奉仕になっている。この間は、わざとリードの監視をつけない。これは、労基法逃れである。

アトラクションやレストランは、解消と言われる労働時間の解消で返される事が多く、額は相場の13万円ほどである。皆実家暮らしの高卒フリーターが大多数である。

本書で最も有益な著者の言葉が以下である。

青木氏:一人一人が、現実の中から自分だけの夢や幸せを見つけられたなら、もはやディズニーランドは必要ない。一体いつまで若い人たちはディズニーランドに夢を見ようとするのだろう。いつになったら目を覚ますのだろう。

(本書、239ページ)

本書は、日本全国で唯一の責任あるオリエンタルランドのキャストたちへの人生の参考書です。最も理想的なブラック企業から本当のハピネスを取り戻すべきである。労働者達よ、目を覚ませ!

Source:中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!Workers of the world unite! Keep going, comrades! 親米親中親露!米中露至上主義!民主主義に禁句はないし、国境も文化の垣根もない!民主主義を世界へ!在日外国人への差別を止めよう!反陰謀論悪徳業者!) 

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