人気政治コメンテーターと日本の最も優秀な元諜報員の初の共著!, 2014/11/19
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レビュー対象商品: 新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書) (単行本)
News: 本年11月27日付けで本書は、ネット書店の取り扱う全書籍中、堂々の第一位に輝きました!佐藤さん、池上さんおめでとうございます!
この新書は、体制側の人気政治コメンテーターの池上 彰氏と見事なバランス感覚で体制、反体制側を横断して活躍中の佐藤さんの初の共著ということです。まず私が感激した集団的自衛権騒動に関して冷静な佐藤さんの鋭利な論考を引用します。
佐藤さん:…かつて政府が行ったインド洋での石油供給、イラクへの自衛隊派遣も、日本が個別的自衛権で説明しても、それは国内的説明に過ぎず、国際法的には集団的自衛権の行使と解釈するのが通常でした。今回の閣議決定は、その縛りを従来よりもきつくしてしまったことになります。閣議決定について、公明新聞(2014年7月2日付け)は、安倍総理が山口那津男公明代表に「個別的、集団的かを問わず、自衛の為の武力行使は禁じられていないという考え方や、国連の集団安全保障措置など国際法上合法的な措置に憲法上の制約は及ばないという考え方を採用しない」と明言したと書いています。これは公明党が従来の枠組みを超えて、自衛隊が海外に出動できない様にねじを締めた、という勝利宣言です。この二つのポイントは、外交のプロでないと分からない、しかし肝要の問題なのです。(本書、PP.20-21)
以上の論述は、日本の外務省が以前まで自衛隊の海外出動を対外的には密かに集団的自衛権の行使として説明してきたことを論証しています。また、解釈改憲は立憲主義を破壊したナチの手口ですが、公明党が安倍の以上に引用した確約をとっており、しかも集団的自衛権行使の為の安保法制がなければ、集団的自衛権をそれと明記して行使できず、また逆にその法制自体が集団的自衛権をこれまでよりも行使困難にするという分析がなされており、とても勉強になりました。
さらに目玉は、佐藤さんが提示される尖閣諸島問題の解決法です。棚上げ論という形式に拘泥せずに、外交の舞台では実行支配している側が領土問題を承認するのは稀有であり、世界を見渡してもかの北方領土問題ぐらいであるというプロの常識を示しています。佐藤さんは、中国共産党政府が尖閣諸島を台湾省に位置づけていることを逆手にとり、日本を連邦制にして、沖縄州を設置して高度な地方自治をもたせ、主権問題は中央があくまで処理するが肝心の漁業問題などでローカル政府に外交権を付与して、相互に地方政府が交渉していく体制をとり決定的な対立を回避する体制作りという今の体制側にも受け入れられやすい形で解決法を提示されています。棚上げという文句に拘泥しても、尖閣諸島の解決には直結しません。棚上げの目的を日本に有利に今の政府に受け入れやすい形で具体化するのが、ローカル政府同士相互に交渉していく体制を作ることであり、さらに実務的です。私は佐藤さんに賛成です。
佐藤さん:…私は、尖閣問題を軟着陸させるウルトラCのシナリオはあると思います。日本が連邦制を敷くのです。そして沖縄を、名前は「琉球州」でも「沖縄州」でもいいから、一つの連邦構成主体にする。そこに外交権を一部付与して、交渉権を持たせるのです。(P.191)
では、その根拠はいかなる分析によるのか?佐藤さんは、中国が尖閣を台湾省の一部に位置づけているという弱点を利用することであると主張されています。さすが日本で最優秀の諜報員であった佐藤さんです。
佐藤さん:いずれにしても、中国は、尖閣諸島は台湾省の一部としているのだから、漁船同士が衝突を起こしそうだという問題は、那覇の政府と台北の政府の管掌になる。(PP.191-2)
このように、尖閣諸島問題をローカライズして、緊張や衝突の度合いを極少化していくことは、棚上げ論の形式の承認だけに思考停止するよりも遥かに棚上げ論の主旨を実現できるのです。すなわち、ローカル政府で話し合う仕組みに対立を限定してしまうのです。日本政府は逆に中国政府をこの枠組みに取り込むことは外交上の良策であり、新しい積極的な戦略と言えます。
私は、諜報のプロとしての佐藤さんを崇敬しておりますので、一般的なニュースの話題などのヒュミント(HUMINT; human intelligence;人間やメディアを媒体とした諜報)を通して、具体的に諜報術を伝授してくださっている本書を推薦致します。(ちなみに、SIGINT;signals intelligence;通信、各種信号を媒体とした諜報は、ここでも佐藤さんの対象外です。それは、例えばスノーデンの専門分野です)
以下は、担当編集者さんから読者の皆様へのお言葉です。
「池上彰さんと佐藤優さんは、互いに尊敬しあう関係。この度、文春新書1000点突破の記念企画として初の共著が実現しました。このところの世界情勢の急変は、日々のニュースを追うだけでは理解できません。事件の背後に迫る本物のインテリジェンス、ビジネスにも応用できるプロの情報術を、最強コンビの二人が惜しみなく伝授します!」
本書は、佐藤ファン及び池上ファン必読の書です。
この新書は、体制側の人気政治コメンテーターの池上 彰氏と見事なバランス感覚で体制、反体制側を横断して活躍中の佐藤さんの初の共著ということです。まず私が感激した集団的自衛権騒動に関して冷静な佐藤さんの鋭利な論考を引用します。
佐藤さん:…かつて政府が行ったインド洋での石油供給、イラクへの自衛隊派遣も、日本が個別的自衛権で説明しても、それは国内的説明に過ぎず、国際法的には集団的自衛権の行使と解釈するのが通常でした。今回の閣議決定は、その縛りを従来よりもきつくしてしまったことになります。閣議決定について、公明新聞(2014年7月2日付け)は、安倍総理が山口那津男公明代表に「個別的、集団的かを問わず、自衛の為の武力行使は禁じられていないという考え方や、国連の集団安全保障措置など国際法上合法的な措置に憲法上の制約は及ばないという考え方を採用しない」と明言したと書いています。これは公明党が従来の枠組みを超えて、自衛隊が海外に出動できない様にねじを締めた、という勝利宣言です。この二つのポイントは、外交のプロでないと分からない、しかし肝要の問題なのです。(本書、PP.20-21)
以上の論述は、日本の外務省が以前まで自衛隊の海外出動を対外的には密かに集団的自衛権の行使として説明してきたことを論証しています。また、解釈改憲は立憲主義を破壊したナチの手口ですが、公明党が安倍の以上に引用した確約をとっており、しかも集団的自衛権行使の為の安保法制がなければ、集団的自衛権をそれと明記して行使できず、また逆にその法制自体が集団的自衛権をこれまでよりも行使困難にするという分析がなされており、とても勉強になりました。
さらに目玉は、佐藤さんが提示される尖閣諸島問題の解決法です。棚上げ論という形式に拘泥せずに、外交の舞台では実行支配している側が領土問題を承認するのは稀有であり、世界を見渡してもかの北方領土問題ぐらいであるというプロの常識を示しています。佐藤さんは、中国共産党政府が尖閣諸島を台湾省に位置づけていることを逆手にとり、日本を連邦制にして、沖縄州を設置して高度な地方自治をもたせ、主権問題は中央があくまで処理するが肝心の漁業問題などでローカル政府に外交権を付与して、相互に地方政府が交渉していく体制をとり決定的な対立を回避する体制作りという今の体制側にも受け入れられやすい形で解決法を提示されています。棚上げという文句に拘泥しても、尖閣諸島の解決には直結しません。棚上げの目的を日本に有利に今の政府に受け入れやすい形で具体化するのが、ローカル政府同士相互に交渉していく体制を作ることであり、さらに実務的です。私は佐藤さんに賛成です。
佐藤さん:…私は、尖閣問題を軟着陸させるウルトラCのシナリオはあると思います。日本が連邦制を敷くのです。そして沖縄を、名前は「琉球州」でも「沖縄州」でもいいから、一つの連邦構成主体にする。そこに外交権を一部付与して、交渉権を持たせるのです。(P.191)
では、その根拠はいかなる分析によるのか?佐藤さんは、中国が尖閣を台湾省の一部に位置づけているという弱点を利用することであると主張されています。さすが日本で最優秀の諜報員であった佐藤さんです。
佐藤さん:いずれにしても、中国は、尖閣諸島は台湾省の一部としているのだから、漁船同士が衝突を起こしそうだという問題は、那覇の政府と台北の政府の管掌になる。(PP.191-2)
このように、尖閣諸島問題をローカライズして、緊張や衝突の度合いを極少化していくことは、棚上げ論の形式の承認だけに思考停止するよりも遥かに棚上げ論の主旨を実現できるのです。すなわち、ローカル政府で話し合う仕組みに対立を限定してしまうのです。日本政府は逆に中国政府をこの枠組みに取り込むことは外交上の良策であり、新しい積極的な戦略と言えます。
私は、諜報のプロとしての佐藤さんを崇敬しておりますので、一般的なニュースの話題などのヒュミント(HUMINT; human intelligence;人間やメディアを媒体とした諜報)を通して、具体的に諜報術を伝授してくださっている本書を推薦致します。(ちなみに、SIGINT;signals intelligence;通信、各種信号を媒体とした諜報は、ここでも佐藤さんの対象外です。それは、例えばスノーデンの専門分野です)
以下は、担当編集者さんから読者の皆様へのお言葉です。
「池上彰さんと佐藤優さんは、互いに尊敬しあう関係。この度、文春新書1000点突破の記念企画として初の共著が実現しました。このところの世界情勢の急変は、日々のニュースを追うだけでは理解できません。事件の背後に迫る本物のインテリジェンス、ビジネスにも応用できるプロの情報術を、最強コンビの二人が惜しみなく伝授します!」
本書は、佐藤ファン及び池上ファン必読の書です。
中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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