ピケティの日本経済論所収:21世紀の新・資本論はアベノミクスを肯定せず, 2015/1/23
レビュー対象商品: トマ・ピケティの新・資本論 (単行本)
ピケティは、ユーロ圏の公的債務の共有制だけでなく、グローバルな法人税の累進課税を主張しています。
ピケティ:単独では、投機家や詐欺師にいいようにしてやられてしまうだろう。これでは、ヨーロッパの優れた社会モデルを守るよい方法とはいえない。ユーロ圏の公的債務の共同管理が急務だと言うのはこのためである。その目的は、各国の国債が絶えず市場の力にさらされて利回りがのべつ乱高下するのを防ぐことにある。又、多くの多国籍企業が税逃れをしている法人税に就いても、ヨーロッパ全体での対応が必要だ。この二点を、そしてこの二点のみを、連邦制の下で管理し、監督する事が望まれる。(本書、P.317-8)
本書は、フランス社会党の理論的支柱である社会民主主義者ピケティ氏によるリベラシオン紙上における2004年9月から2014年6月までの論考を集成した大著です。ピケティ論議での典型的な誤りは、ネット書店でもピケティは全て個人単位での課税のみを主張しているかのように流言を流布する人達がいますが、ピケティ本人の諸論考によれば、相続税、資産税は当然個人単位であり、法人税の累進課税(効率的に徴収できる)、欧州共同法人税、共同債も主張していることが、本書からはっきりします。以下がピケティ本人の見解の中で最も肝要な提言です。
ピケティ:各国の税制が辿ってきた長い道のりを振り返ると、ある一つの傾向が浮かび上がる。まず、単純な課税ベース(関税等貿易に対する間接税)から始めるということだ。より複雑で干渉的な税(所得税、法人税など)を導入し、効率的に徴収するためには、国家が行政能力と政治的正統性を確立する必要があり、これは一朝一夕にはいかないものである。企業の利益に対する共通新税を導入しさせすれば国際課税の新たな歴史が始まる、などという幻想を抱いてはいけない。まずは、足下のヨーロッパで法人税の擦り合わせを行わなければならないが、此れでさえ実現は容易ではない。(中略)あまりスマートではないが、より現実的な解決は、おそらく国際貿易への課税である。世界の貿易総額は年10兆ドルを上回っており、0.1%の課税で同じく100億ドルの税収を見込める。しかもこの税なら、すべての国が賛同しなくてもすぐに適用を開始できるというメリットがある。(本書、P.35)
ピケティは、ユーロ圏の公的債務の共有制だけでなく、グローバルな法人税の累進課税を主張しています。
ピケティ:単独では、投機家や詐欺師にいいようにしてやられてしまうだろう。これでは、ヨーロッパの優れた社会モデルを守るよい方法とはいえない。ユーロ圏の公的債務の共同管理が急務だと言うのはこのためである。その目的は、各国の国債が絶えず市場の力にさらされて利回りがのべつ乱高下するのを防ぐことにある。又、多くの多国籍企業が税逃れをしている法人税に就いても、ヨーロッパ全体での対応が必要だ。この二点を、そしてこの二点のみを、連邦制の下で管理し、監督する事が望まれる。(本書、P.317-8)
このように、ピケティはネトウヨ達がネット書店工作でミスリードさせようと思っている様に、個人単位だけの課税をするなど何処でも言っていないし、世界同時課税でなくては不可能などという非難にもとっくに過去の論考で反論しています。
他に極めて重要なのが財務省の詭弁を打ち破ったピケティの以下の分析です。
ピケティ:日本政府はたしかにGDPの200%を上回る債務を抱えてはいるが、同時にGDPのおよそ100%相当の非金融資産(国有地、公共用資産)と、やはりGDP100%相当の金融資産(国営・公営企業の持ち分、郵便貯金など公的金融機関の資産等)を持っている。従って、資産と負債はほぼ釣り合っている。(本書、P.253)
ピケティ氏は、評者が熟読する限り欧州共同債の導入で、共通通貨でも債務がEU内で不均衡であるのを是正するよう提言したり、反ネオリベで、中央銀行による造幣で金融危機を乗り越える手段にも反対せず(ただ彼は米連銀や日銀が実は民間銀行であることを知らない)、労働者の購買力低下期に於ける負担税率(付加価値税等)の引き上げにも反対しています。
法人税と資産税の累進課税論や、資本収益率が経済成長率を上回っているという基本的見地も既に過去の論考で散見されます。
さらに、選挙について彼は、調査会社の生データとデータの補正法の公開義務を制度化することで不正な情報操作を打破することを提唱しています。これこそ日本に必須な選挙改革のアイディアです。
又、日本のピケティ本の悪質な便乗者達が称している様な、税率の一元的適用にピケティ本人は諸処の論考で反対しています。以下に所収の最重要論考である論文「日本:民間は金持ちで政府は借金まみれ」を転用します。
本書で私が最重要な論考だと思ったのは、以下の箇所です。
第51節の「日本:民間は金持ちで政府は借金まみれ」で、ピケティは日本の財務省のTPRによる財政危機論を論破して、日本の法人税、資産税の強化を提唱しています。日本政府の資産は、実は政府負債と十分均衡するのです。決して彼は消費税増税を支持していませんので、日本のサルコジというべき弱肉強食の、人質見殺し政権であるネオリベ安倍一派は、読者の無知につけ込んでピケティ本の人気を悪用できません。
ピケティ:ヨーロッパから見ると、日本の現状は摩訶不思議で理解不能である。政府債務残高がGDPの二倍、つまりGDP二年分にも達するというのに、日本では誰も心配していない様に見えるのは、どうしたことか。どんな事情で、あるいはどんな政治的決断に依って、借金がこれほど莫大になったのか。我々は、日本の政府債務をGDP比や絶対額で毎日の様に目にして驚いているのだが、これらは日本人にとって何の意味ももたないのか、それとも数字が発表されるたびに、みんな大急ぎで目を逸らしてしまうのだろうか。政府債務に就いて考える際に一番いいのは、国民経済計算を参照する事である。ほとんどの国がストック面のデータ(国民貸借対照表)を公表している。すなわち、家計、企業、産出と所得というフロー面だけでなく、政府部門が保有する資産(固定資産及び金融資産)と相互及び対外的な負債である。
ただし、この統計は、完璧ではない。例えば、グローバル・ベースで言うと、正味金融資産は世界全体でマイナスになっている。これは論理的にはあり得ないー地球の資産を火星が所有しているなら、話はべつだが。マイナスになるのはまずもって、確実に、金融資産のかなりの部分がタックス・ヘイブン(租税回避地)にあり、それを所有している非居住者がしかるべく申告していないからである。 経済学者のガブリエル・ズックマンがこのほど発表したように、ユーロ圏の金融資産では、公式統計とは逆に大幅なプラスのはずだという。ヨーロッパの金持ちには財産の一部を隠す理由が大いにあり、EUは、それを防ぐ為にすべきことやできる事を怠っている。だが、統計が不完全だからといってがっかりする必要はない。むしろ国民経済計算を徹底的に調べることによって、改善に貢献できる。経済学においては、最低限の所から始めるという原則を受け入れなければならない。それによってこの学問は興味深いものになるし、大きな進歩も可能になる。
調査や分析を怠れば、必ず最富裕層を利する事になる。それも、築き上げた財産よりも、棚ぼた式に手に入れた財産の持ち主を利することになりやすい。人間は、後者の方を何としても守ろうとするものだからである。
日本の話に戻ろう。政府債務を論じる時にまず注目するべきは、個人資産は常に一国の負債(政府部門+民間部門)を大幅に上回ることだ。日本も、ヨーロッパもアメリカも、家計部門の固定資産と金融資産の合計(負債差し引き後)は、おおむねGDPの500から600%になる。富裕国では、大雑把に言って国民一人当たりの所得が3万ユーロだとすれば、平均的な資産は一人当たり18万ユーロになる。つまり年収6年分である。
次に、日本政府はたしかにGDPの200%を上回る債務を抱えてはいるが、同時にGDPのおよそ100%相当の非金融資産(国有地、公共用資産)と、やはりGDP100%相当の金融資産(国営・公営企業の持ち分、郵便貯金など公的金融機関の資産等)を持っている。従って、資産と負債はほぼ釣り合っている。
ところが日本の政府部門の資産ポジションは、此処数年ややマイナスになっている。これはきわめて異常な事だ。しかも政府は、所有しているものを全て売るということはできないのである。比較の為に、フランスとドイツの政府部門を見てみよう。どちらも、グローバル金融資産危機の後でさえ、大幅にプラスになっている。例えば、フランスの場合、政府債務残高はGDPの100%に達しているが、政府の保有資産(非金融資産+金融資産)は同150%である。
この日本特有の状況は、同国(政府部門+民間部門)の保有する対外純資産が巨額に達していることを考えると、一段と衝撃的である。過去20年の間に、日本は国民所得1年分に相当する対外純資産を積み上げてきた。民間部門が金持ちで政府部門は借金まみれという不均衡は、東日本大震災の前から顕著だった。
この不均衡を解消するためには、民間部門(GDPに占める割合は30%程度)に重く課税する以外にない。
(本書、PP.251-254)
ピケティは、ここでは法人税や資産税による民間富裕層からの富の再分配の必要性を説いています。さらに、ピケティは植草さんの政治経済学理論とも多くの接点(社会民主主義、フリードマンのマネタリズム経済学へ理解とそのネオリベラリズムへの反対など)がある事が、本書を熟読して感受できました。
ピケティも植草さんも財務省の詭弁を論破し、日本政府が消費増税に利用する債務危機論が、政府資産と債務の均衡状態を無視した事を指摘し、 調査や分析を怠れば、必ず最富裕層を利する事になることに警鐘を鳴らしています。
つまり、ピケティは財務省とは違い、購買力を無視し一元的に中小企業や低所得層にも課税を強化することに反対しています。財務省版の消費税増税論とピケティの法人税、資産税、所得税の累進課税と弱者の購買力増強支持の課税論とは、全く似て非なる主張です。この両者は、明確に理論的に対立軸にあります。
本書は全日本国民必読の書です。Thank you for your great effort to fight against neoliberalism, Mr. Piketty! Welcome to Japan!
ピケティ:単独では、投機家や詐欺師にいいようにしてやられてしまうだろう。これでは、ヨーロッパの優れた社会モデルを守るよい方法とはいえない。ユーロ圏の公的債務の共同管理が急務だと言うのはこのためである。その目的は、各国の国債が絶えず市場の力にさらされて利回りがのべつ乱高下するのを防ぐことにある。又、多くの多国籍企業が税逃れをしている法人税に就いても、ヨーロッパ全体での対応が必要だ。この二点を、そしてこの二点のみを、連邦制の下で管理し、監督する事が望まれる。(本書、P.317-8)
本書は、フランス社会党の理論的支柱である社会民主主義者ピケティ氏によるリベラシオン紙上における2004年9月から2014年6月までの論考を集成した大著です。ピケティ論議での典型的な誤りは、ネット書店でもピケティは全て個人単位での課税のみを主張しているかのように流言を流布する人達がいますが、ピケティ本人の諸論考によれば、相続税、資産税は当然個人単位であり、法人税の累進課税(効率的に徴収できる)、欧州共同法人税、共同債も主張していることが、本書からはっきりします。以下がピケティ本人の見解の中で最も肝要な提言です。
ピケティ:各国の税制が辿ってきた長い道のりを振り返ると、ある一つの傾向が浮かび上がる。まず、単純な課税ベース(関税等貿易に対する間接税)から始めるということだ。より複雑で干渉的な税(所得税、法人税など)を導入し、効率的に徴収するためには、国家が行政能力と政治的正統性を確立する必要があり、これは一朝一夕にはいかないものである。企業の利益に対する共通新税を導入しさせすれば国際課税の新たな歴史が始まる、などという幻想を抱いてはいけない。まずは、足下のヨーロッパで法人税の擦り合わせを行わなければならないが、此れでさえ実現は容易ではない。(中略)あまりスマートではないが、より現実的な解決は、おそらく国際貿易への課税である。世界の貿易総額は年10兆ドルを上回っており、0.1%の課税で同じく100億ドルの税収を見込める。しかもこの税なら、すべての国が賛同しなくてもすぐに適用を開始できるというメリットがある。(本書、P.35)
ピケティは、ユーロ圏の公的債務の共有制だけでなく、グローバルな法人税の累進課税を主張しています。
ピケティ:単独では、投機家や詐欺師にいいようにしてやられてしまうだろう。これでは、ヨーロッパの優れた社会モデルを守るよい方法とはいえない。ユーロ圏の公的債務の共同管理が急務だと言うのはこのためである。その目的は、各国の国債が絶えず市場の力にさらされて利回りがのべつ乱高下するのを防ぐことにある。又、多くの多国籍企業が税逃れをしている法人税に就いても、ヨーロッパ全体での対応が必要だ。この二点を、そしてこの二点のみを、連邦制の下で管理し、監督する事が望まれる。(本書、P.317-8)
このように、ピケティはネトウヨ達がネット書店工作でミスリードさせようと思っている様に、個人単位だけの課税をするなど何処でも言っていないし、世界同時課税でなくては不可能などという非難にもとっくに過去の論考で反論しています。
他に極めて重要なのが財務省の詭弁を打ち破ったピケティの以下の分析です。
ピケティ:日本政府はたしかにGDPの200%を上回る債務を抱えてはいるが、同時にGDPのおよそ100%相当の非金融資産(国有地、公共用資産)と、やはりGDP100%相当の金融資産(国営・公営企業の持ち分、郵便貯金など公的金融機関の資産等)を持っている。従って、資産と負債はほぼ釣り合っている。(本書、P.253)
ピケティ氏は、評者が熟読する限り欧州共同債の導入で、共通通貨でも債務がEU内で不均衡であるのを是正するよう提言したり、反ネオリベで、中央銀行による造幣で金融危機を乗り越える手段にも反対せず(ただ彼は米連銀や日銀が実は民間銀行であることを知らない)、労働者の購買力低下期に於ける負担税率(付加価値税等)の引き上げにも反対しています。
法人税と資産税の累進課税論や、資本収益率が経済成長率を上回っているという基本的見地も既に過去の論考で散見されます。
さらに、選挙について彼は、調査会社の生データとデータの補正法の公開義務を制度化することで不正な情報操作を打破することを提唱しています。これこそ日本に必須な選挙改革のアイディアです。
又、日本のピケティ本の悪質な便乗者達が称している様な、税率の一元的適用にピケティ本人は諸処の論考で反対しています。以下に所収の最重要論考である論文「日本:民間は金持ちで政府は借金まみれ」を転用します。
本書で私が最重要な論考だと思ったのは、以下の箇所です。
第51節の「日本:民間は金持ちで政府は借金まみれ」で、ピケティは日本の財務省のTPRによる財政危機論を論破して、日本の法人税、資産税の強化を提唱しています。日本政府の資産は、実は政府負債と十分均衡するのです。決して彼は消費税増税を支持していませんので、日本のサルコジというべき弱肉強食の、人質見殺し政権であるネオリベ安倍一派は、読者の無知につけ込んでピケティ本の人気を悪用できません。
ピケティ:ヨーロッパから見ると、日本の現状は摩訶不思議で理解不能である。政府債務残高がGDPの二倍、つまりGDP二年分にも達するというのに、日本では誰も心配していない様に見えるのは、どうしたことか。どんな事情で、あるいはどんな政治的決断に依って、借金がこれほど莫大になったのか。我々は、日本の政府債務をGDP比や絶対額で毎日の様に目にして驚いているのだが、これらは日本人にとって何の意味ももたないのか、それとも数字が発表されるたびに、みんな大急ぎで目を逸らしてしまうのだろうか。政府債務に就いて考える際に一番いいのは、国民経済計算を参照する事である。ほとんどの国がストック面のデータ(国民貸借対照表)を公表している。すなわち、家計、企業、産出と所得というフロー面だけでなく、政府部門が保有する資産(固定資産及び金融資産)と相互及び対外的な負債である。
ただし、この統計は、完璧ではない。例えば、グローバル・ベースで言うと、正味金融資産は世界全体でマイナスになっている。これは論理的にはあり得ないー地球の資産を火星が所有しているなら、話はべつだが。マイナスになるのはまずもって、確実に、金融資産のかなりの部分がタックス・ヘイブン(租税回避地)にあり、それを所有している非居住者がしかるべく申告していないからである。 経済学者のガブリエル・ズックマンがこのほど発表したように、ユーロ圏の金融資産では、公式統計とは逆に大幅なプラスのはずだという。ヨーロッパの金持ちには財産の一部を隠す理由が大いにあり、EUは、それを防ぐ為にすべきことやできる事を怠っている。だが、統計が不完全だからといってがっかりする必要はない。むしろ国民経済計算を徹底的に調べることによって、改善に貢献できる。経済学においては、最低限の所から始めるという原則を受け入れなければならない。それによってこの学問は興味深いものになるし、大きな進歩も可能になる。
調査や分析を怠れば、必ず最富裕層を利する事になる。それも、築き上げた財産よりも、棚ぼた式に手に入れた財産の持ち主を利することになりやすい。人間は、後者の方を何としても守ろうとするものだからである。
日本の話に戻ろう。政府債務を論じる時にまず注目するべきは、個人資産は常に一国の負債(政府部門+民間部門)を大幅に上回ることだ。日本も、ヨーロッパもアメリカも、家計部門の固定資産と金融資産の合計(負債差し引き後)は、おおむねGDPの500から600%になる。富裕国では、大雑把に言って国民一人当たりの所得が3万ユーロだとすれば、平均的な資産は一人当たり18万ユーロになる。つまり年収6年分である。
次に、日本政府はたしかにGDPの200%を上回る債務を抱えてはいるが、同時にGDPのおよそ100%相当の非金融資産(国有地、公共用資産)と、やはりGDP100%相当の金融資産(国営・公営企業の持ち分、郵便貯金など公的金融機関の資産等)を持っている。従って、資産と負債はほぼ釣り合っている。
ところが日本の政府部門の資産ポジションは、此処数年ややマイナスになっている。これはきわめて異常な事だ。しかも政府は、所有しているものを全て売るということはできないのである。比較の為に、フランスとドイツの政府部門を見てみよう。どちらも、グローバル金融資産危機の後でさえ、大幅にプラスになっている。例えば、フランスの場合、政府債務残高はGDPの100%に達しているが、政府の保有資産(非金融資産+金融資産)は同150%である。
この日本特有の状況は、同国(政府部門+民間部門)の保有する対外純資産が巨額に達していることを考えると、一段と衝撃的である。過去20年の間に、日本は国民所得1年分に相当する対外純資産を積み上げてきた。民間部門が金持ちで政府部門は借金まみれという不均衡は、東日本大震災の前から顕著だった。
この不均衡を解消するためには、民間部門(GDPに占める割合は30%程度)に重く課税する以外にない。
(本書、PP.251-254)
ピケティは、ここでは法人税や資産税による民間富裕層からの富の再分配の必要性を説いています。さらに、ピケティは植草さんの政治経済学理論とも多くの接点(社会民主主義、フリードマンのマネタリズム経済学へ理解とそのネオリベラリズムへの反対など)がある事が、本書を熟読して感受できました。
ピケティも植草さんも財務省の詭弁を論破し、日本政府が消費増税に利用する債務危機論が、政府資産と債務の均衡状態を無視した事を指摘し、 調査や分析を怠れば、必ず最富裕層を利する事になることに警鐘を鳴らしています。
つまり、ピケティは財務省とは違い、購買力を無視し一元的に中小企業や低所得層にも課税を強化することに反対しています。財務省版の消費税増税論とピケティの法人税、資産税、所得税の累進課税と弱者の購買力増強支持の課税論とは、全く似て非なる主張です。この両者は、明確に理論的に対立軸にあります。
本書は全日本国民必読の書です。Thank you for your great effort to fight against neoliberalism, Mr. Piketty! Welcome to Japan!
Cited From:
中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2015, 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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