Friday, July 18, 2014


集団的自衛権:自国が攻撃されていないときに他国を攻撃する根拠であり、自衛という詭弁は論外!対米従属 Slavish Obedience to the U.S. 批判論者の中西良太さんのレビューより
 2014/7/18
安倍対米隷属政権は、ついに集団的自衛権を内閣独裁で強行に閣議決定したことは、憲法98条と99条違反であり、違憲政府をこれ以上容認する道理は日本国民にはない。「敵は官邸にあり!」である。日本は革命のときに来ている。

本書は、執筆時にはまだ独裁的な集団的自衛権の閣議決定はなされていない段階であったが、19人の主権者国民勢力の愛国的論客が各自、集団的自衛権の安倍政権による扱いの問題性について検証、批判を行っている。柳澤さんの先のご著書でも、集団的自衛権は立法事実に欠き、既存の自衛隊法、個別的自衛権行使で日本人の海外護送や米艦の保護なども可能であり、集団的自衛権の論議では、そもそもそれが日本が攻撃されていない他国が攻撃された場合という根本的条件が、日本の自衛のためという安易な詭弁のレトリックを成立させないことに気づいている人は少ない。安倍政権は、そもそも論理的に反証となる条件を自身の論拠として提示し、強弁する点が批判される。

私は、ここでは前泊博盛さんの論考を紹介する。『沖縄の異議申し立て』で、氏は、安倍政権自体が違憲政権であることを、憲法第98条「第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と、憲法第99条「第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」に照らして、集団的自衛権を行政法が憲法に優先するという内閣法制懇の北岡伸一の本年4月21日付け東京新聞での答弁から論証している(255ページ)。また、集団的自衛権の海外の既存の事例では、韓国がベトナム戦争で集団的自衛権を米側要請で行使して派兵し、武力行使をし、多数の韓国兵被害者を出した姿は、日本の集団的自衛権行使の未来像である。集団的自衛権が、なぜ対米従属国に米側から要望されているのかの理由となる具体例を我々は既にもっている。氏は、先のイラク戦争で、英国は集団的自衛権を行使し、CIAの偽情報に誘導されて、大量破壊兵器なきイラクを攻撃し、ミスリードされた戦争の片棒を担ぎ、多数の英兵の死者をだした。これが、集団的自衛権を所持しても、あえて行使せず、経済安保、人的安保などの多方面の安保外交によって、戦争を起こした場合のリスクが多大な、集団安全保障体制の東アジア地域でのルールを作り、武力によらぬ抑止の枠組み作りに中国や北朝鮮を加入させていくことが、包囲網よりも現実的な政策であることがここでも指摘されている。(264-265ページ)

最後に前泊さんの次の言葉が最も印象に残った。

「安倍政権が仕掛ける『集団的自衛権』をめぐる究極の選択に惑わされ、『軍事安保』だけに目を奪われていると、経済安保や人間(国民)の安全保障という重要な視点を見失い、面子や威信というナショナリズム特有の愛国心のために国民を犠牲にし、ひいてはこの国の存立すら危うくしかねない。」(264ページ)

本書は、以上のような真に主権者国民の立場に立つ愛国的インテリ層の論客達による安倍政権批判の最良の書です。

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