対米従属勢力の亡国安保批判の良書:自衛隊法第95条で日本は反撃可能!米艦防護は、有事において個別的自衛権で可能!, 対米従属( Slavish
Obedience to the U.S. )批判論者の中西良太さんのレビューより
レビュー対象商品: 亡国の安保政策――安倍政権と「積極的平和主義」の罠 (単行本(ソフトカバー))
対米隷属の軍国主義政権である安倍政府は、米艦防護の為の集団的自衛権行使という主張がそもそも破綻していることが本書で論証されている。
柳沢氏は、まず二つの理由を挙げて安倍政権の主張の欺瞞性を反証されている。
1)日本の有事に、至近距離で並行し航行する米艦への攻撃は、自衛艦への攻撃とみなし、自衛隊法第95条で反撃可能であるということ。其処には、「武器等の防護の武器使用」 の条項があるからである。(序文6ページ)
第95条 自衛官は、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備又は液体燃料を職務上警護するに当たり、人又は武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備若しくは液体燃料を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第36条又は第37条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
2) 米艦防護に集団的自衛権は、必要ないことは、既に中曽根政権の政府見解で、日本有事が前提で、個別的自衛権で対処できることが確認されているからである。「我が国を防護するために行動する米艦を防護することは、(日本の)個別的自衛権の範囲内」であるという政府見解が本書でも引用されている。( 序文6ページ)
「日本が武力攻撃を受けた場合 に、日本が救援、来援するアメリカの艦船等に 対して、その日本に対する救援活動が阻害され る場合に、日本側がこれを救い出すということ は、領海においても公海においても、憲法に違 反しない個別的自衛権の範囲内である」(中曽根 康弘首相の発言。第 98 回国会衆議院予算委員会議録 第 5 号 昭和 58 年 2 月 5 日 p.2.)
柳沢さんは、本書で安倍政権が立法事実なき、合法則性なく、説明責任を果たさない状態で強行推進している立法事実なき軍事安保政策で、日本版NSCも、特定秘密保護法も、集団的自衛権もそれらがセットで有事に限らない官邸独裁体制を構築することを正しく指摘されている。ここでは、一連の安倍政権の軍事安保政策が、国会の立法権の機能が、官邸とその官僚機構に剥奪される過程であることが叙述されている。官僚と官邸によるこれまでにない権力の収奪が進行中なのである。
本書では、一般国民には未だ浸透していない武力行使の国際的解釈が提示されており重要である。例えば、後方支援、機雷撤去、基地提供も武力行使の範疇であるという点である。他にも、一回の戦闘に勝利することと、戦争全体に勝利することの差異もあまり国民は分別できていないので、とても勉強になる。
筆者が、本書の核心部分(安倍政権の軍事安保とは何か?)を概括している最重要箇所と、日本国民に知らされていない集団的自衛権の世界史的な具体例の叙述を引用して、要点を抽出する。
柳沢さんは、安倍政権の軍事安保を如何の如く三本の矢として定式化している。
「日本版NSCによる官邸の情報独占、特定秘密保護法による政策プロセスの非公開によって、政権に対して安保政策に関する白紙委任状を与える制度が完成する。そこで目指される政策は、集団的自衛権による『自国防衛の必要を超えた武力行使』である。二つの法律とこの政策は、いわば、『安保版アベノミクス' 三本の矢』と言うべきものだ。」(P.12)
これが、閣議決定で憲法をも歪曲する安倍独裁体制の簡潔な概括である。
それから、集団的自衛権の行使が実際は帝国主義的な軍事侵攻の正当化の論理に悪用されてきた歴史を柳沢さんは読者に提示している。米国だけでなく、ソ連も同様だったのである。
「 集団的自衛権も、現実の世界では、大国が小国に軍事介入することを正当化するための論理として使われてきた。例えば、集団的自衛権を最初に行使したと主張したのは、1956年ハンガリーの民主化運動に軍隊を送って弾圧したソ連であり、ソ連はその後もチェコ' スロバキア、アフガニスタンに、ソ連崩壊後のロシアはタジキスタンに介入している。アメリカも、ベトナムとニカラグアへの介入の根拠に集団的自衛権を主張したほか、湾岸戦争と911後のアフガニスタン攻撃でも、国連決議とあわせて集団的自衛権を主張している。」(P.33)
そして、本書で最も無視できない国際法理が、1986年のニカラグア判決である。国際法理上の武力行使の範疇と、侵略の定義を柳沢さんが紹介している箇所が以下である。
「1986年、国際司法裁判所はニカラグア反政府武装勢力へのアメリカの支援を違法と判断したが、この、いわゆるニカラグア判決でも、『武器供与などの兵站支援は、武力攻撃とは言えないものの、武力による威嚇または武力の行使と見なされる』との考え方が示されている。また、国連総会決議による侵略の定義の中には、侵略行為への基地提供も含まれる。」(P.40)
本書では以上のように国民が知らされていない幾多の国際常識が、柳沢さんによって論述されており、大変勉強になった。
本書は全日本国民必読の書です。
柳沢氏は、まず二つの理由を挙げて安倍政権の主張の欺瞞性を反証されている。
1)日本の有事に、至近距離で並行し航行する米艦への攻撃は、自衛艦への攻撃とみなし、自衛隊法第95条で反撃可能であるということ。其処には、「武器等の防護の武器使用」 の条項があるからである。(序文6ページ)
第95条 自衛官は、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備又は液体燃料を職務上警護するに当たり、人又は武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備若しくは液体燃料を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第36条又は第37条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
2) 米艦防護に集団的自衛権は、必要ないことは、既に中曽根政権の政府見解で、日本有事が前提で、個別的自衛権で対処できることが確認されているからである。「我が国を防護するために行動する米艦を防護することは、(日本の)個別的自衛権の範囲内」であるという政府見解が本書でも引用されている。( 序文6ページ)
「日本が武力攻撃を受けた場合 に、日本が救援、来援するアメリカの艦船等に 対して、その日本に対する救援活動が阻害され る場合に、日本側がこれを救い出すということ は、領海においても公海においても、憲法に違 反しない個別的自衛権の範囲内である」(中曽根 康弘首相の発言。第 98 回国会衆議院予算委員会議録 第 5 号 昭和 58 年 2 月 5 日 p.2.)
柳沢さんは、本書で安倍政権が立法事実なき、合法則性なく、説明責任を果たさない状態で強行推進している立法事実なき軍事安保政策で、日本版NSCも、特定秘密保護法も、集団的自衛権もそれらがセットで有事に限らない官邸独裁体制を構築することを正しく指摘されている。ここでは、一連の安倍政権の軍事安保政策が、国会の立法権の機能が、官邸とその官僚機構に剥奪される過程であることが叙述されている。官僚と官邸によるこれまでにない権力の収奪が進行中なのである。
本書では、一般国民には未だ浸透していない武力行使の国際的解釈が提示されており重要である。例えば、後方支援、機雷撤去、基地提供も武力行使の範疇であるという点である。他にも、一回の戦闘に勝利することと、戦争全体に勝利することの差異もあまり国民は分別できていないので、とても勉強になる。
筆者が、本書の核心部分(安倍政権の軍事安保とは何か?)を概括している最重要箇所と、日本国民に知らされていない集団的自衛権の世界史的な具体例の叙述を引用して、要点を抽出する。
柳沢さんは、安倍政権の軍事安保を如何の如く三本の矢として定式化している。
「日本版NSCによる官邸の情報独占、特定秘密保護法による政策プロセスの非公開によって、政権に対して安保政策に関する白紙委任状を与える制度が完成する。そこで目指される政策は、集団的自衛権による『自国防衛の必要を超えた武力行使』である。二つの法律とこの政策は、いわば、『安保版アベノミクス' 三本の矢』と言うべきものだ。」(P.12)
これが、閣議決定で憲法をも歪曲する安倍独裁体制の簡潔な概括である。
それから、集団的自衛権の行使が実際は帝国主義的な軍事侵攻の正当化の論理に悪用されてきた歴史を柳沢さんは読者に提示している。米国だけでなく、ソ連も同様だったのである。
「 集団的自衛権も、現実の世界では、大国が小国に軍事介入することを正当化するための論理として使われてきた。例えば、集団的自衛権を最初に行使したと主張したのは、1956年ハンガリーの民主化運動に軍隊を送って弾圧したソ連であり、ソ連はその後もチェコ' スロバキア、アフガニスタンに、ソ連崩壊後のロシアはタジキスタンに介入している。アメリカも、ベトナムとニカラグアへの介入の根拠に集団的自衛権を主張したほか、湾岸戦争と911後のアフガニスタン攻撃でも、国連決議とあわせて集団的自衛権を主張している。」(P.33)
そして、本書で最も無視できない国際法理が、1986年のニカラグア判決である。国際法理上の武力行使の範疇と、侵略の定義を柳沢さんが紹介している箇所が以下である。
「1986年、国際司法裁判所はニカラグア反政府武装勢力へのアメリカの支援を違法と判断したが、この、いわゆるニカラグア判決でも、『武器供与などの兵站支援は、武力攻撃とは言えないものの、武力による威嚇または武力の行使と見なされる』との考え方が示されている。また、国連総会決議による侵略の定義の中には、侵略行為への基地提供も含まれる。」(P.40)
本書では以上のように国民が知らされていない幾多の国際常識が、柳沢さんによって論述されており、大変勉強になった。
本書は全日本国民必読の書です。
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