=== 環境 ===
== 日本の対外経済関係 ==
日本の対外経済関係がアメリカ合衆国に対して過剰な依存をしているという認識は、日本政府が公開している対外経済統計と国際機関(国連、国際通貨基金、世界銀行など)が公開している世界の経済統計を参照する限りには事実ではなく誤認であると言うこともできる。
2008年の為替レートベースの世界のGDPは60兆6869億USドル<ref>{{Cite
web|last=IMF|title=Data and statistics>World Economic Outlook
Database>By Country Groups (aggregated data) and commodity
prices|url=http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2009/01/weodata/weorept.aspx?pr.x=50&pr.y=11&sy=1980&ey=2008&scsm=1&ssd=1&sort=country&ds=.&br=1&c=001&s=NGDPD&grp=1&a=1
|accessdate=2009-05-21 }}</ref>、アメリカ合衆国のGDPは14兆2646億USドル<ref>{{Cite
web|last=IMF|title=Data and statistics>World Economic Outlook
Database>By Countries (country-level
data)|url=http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2009/01/weodata/weorept.aspx?pr.x=98&pr.y=16&sy=1980&ey=2008&scsm=1&ssd=1&sort=country&ds=.&br=1&c=111&s=NGDP&grp=0&a=
|accessdate=2009-05-21 }}</ref>で世界シェアは23.5%、日本のGDPは4兆9237億USドル<ref>{{Cite
web|last=IMF|title=Data and statistics>World Economic Outlook
Database>By Countries (country-level
data)|url=http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2009/01/weodata/weorept.aspx?pr.x=44&pr.y=13&sy=1980&ey=2008&scsm=1&ssd=1&sort=country&ds=.&br=1&c=158&s=NGDPD&grp=0&a=
|accessdate=2009-05-21 }}</ref>で世界シェアは8.1%、世界のGDPから日本のGDPを除いたGDPに対するアメリカ合衆国のGDPのシェアは25.5%である。
1990~2008年の間に日本の輸出に対するアメリカ合衆国のシェアは31.5%から17.6%に減少、中国のシェアは2.1%から16.0%に増大、輸入に対するアメリカ合衆国のシェアは22.3%から10.2%に減少、中国のシェアは5.1%から18.8%に増大した<ref>{{Cite
web|last=JETRO|title=日本の制度・統計>貿易・投資・国際収支統計>ドル建て貿易概況>日本の貿易相手国TOP10
1990~2008年|url=http://www.jetro.go.jp/jpn/stats/trade/
|accessdate=2009-05-22 }}</ref>。1990~2008年の間に日本の輸出に対する北米のシェアは33.8%から18.9%に減少、アジアのシェアは31.1%から49.3%に増大、輸入に対する北米のシェアは26.1%から11.9%に減少、アジアのシェアは28.7%から40.6%に増大した。
2008年の日本の輸出・輸入に対するアメリカ合衆国のシェアは、2008年の世界のGDPから日本のGDPを除いたアメリカ合衆国のGDPのシェアである25.5%より低いので、あくまでも世界の経済統計おける政府の長期対外債務残高のGDP比上では、日本の対外経済関係はアメリカ合衆国に対して過剰な依存はしていない<ref>植草一秀『日本の再生
機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却』、青志社、PP.79-80、2011年。</ref>。
2013年5月に日本銀行国際局が発表した日本の『2012年末の本邦対外資産負債残高』によれば、2012年度末までの日本の対外資産296.3兆円にのぼり、負債残高は49.5兆円増加である<ref>{{Cite
web|last=日本銀行国際局|title=2012年末の本邦対外資産負債残高|url=http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2013/data/ron130531a.pdf#search='2013年+日本対外債務+国際比較'|accessdate=2014-01-31
}}</ref>。また同報告によれば、日本対外純資産は、対外資産負債残高が発表されている主要国の中では中国の同年度の150.3兆円を超えて世界最高額である<ref>{{Cite
web|last=日本銀行国際局|title=2012年末の本邦対外資産負債残高|url=http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2013/data/ron130531a.pdf#search='2013年+日本対外債務+国際比較'|accessdate=2014-01-31
}}</ref>。
[[進藤栄一]]は、自著『アジア力の世紀――どう生き抜くのか』において、日本貿易の対米依存度の減少と対アジア貿易依存度の増加傾向を指摘し以下の如く総括している<ref>[[進藤栄一]]『アジア力の世紀――どう生き抜くのか』、[[岩波書店]]、2013年、PP.24-25。</ref>。
{{quotation|いまや、米国覇権体制下での''アメリッポン''の道も、''新脱亜入欧論''の道もありえない。代わりに見えてくるのは、欧米中心世界の終焉である。アジアNIESからBRICSを経て、G20からG0に到る''大アジア力の世紀''の到来である。そして総体としてのアジアの力が生む巨大な市場と豊富な人材が、''一日経済圏''の形をとって私たちの眼前に立ち現れている。それが、日本の貿易における、対米依存度の急激な縮小と、対中国、対アジア貿易依存度の急増に示される。日本の対外輸出における対米輸出比率は、70年代から80年代にかけて40%近く(86年38.5%)にまで達した。その後漸減し始め、2010年には13.3%に縮小し、減少はなおも続いている。逆に対中輸出は、70年代の1%以下から10年の21.2%へと、30年間で20倍以上も増加し、日本の対アジア輸出全体では54.1%にまで達していた。疑いもなく日本経済は、総体としてのアジアへの輸出依存度を高め、興隆するアジア経済との一体化の動きをさらに強めている<ref>[[進藤栄一]]『アジア力の世紀――どう生き抜くのか』、[[岩波書店]]、2013年、PP.24-25。</ref>。|[[進藤栄一]]『アジア力の世紀――どう生き抜くのか』}}
== アメリカ合衆国の債券発行残高と日本の保有率 ==
2008年6月時点のアメリカ合衆国の[[債券]]の発行残高と日本の保有率は次に記載するとおりである<ref>{{Cite
web|last=アメリカ合衆国財務省|title=Treasury International Capital System>Securities
Holdings and Transactions>Cross-Border Portfolio Holdings
of Securities>Historical
data|url=http://www.ustreas.gov/tic/shlhistdat.html |accessdate=2009-05-21
}}</ref>。
日本がアメリカ合衆国の債券を過剰に購入・保有しているという認識は、アメリカ合衆国政府機関が公開している債券保有者統計と国際機関(国連、国際通貨基金、世界銀行など)が公開している世界の経済統計を参照する限りには事実ではなく誤認であると言うこともできる。2008年6月30日現在のアメリカ合衆国の長期+短期の債券発行残高に対する日本の保有率12.5%は、2008年度の世界のGDPからアメリカ合衆国のGDPを除いたGDPに対する日本のGDPのシェアである10.6%と比較すると1.9%大きいが近似値である。2008年6月30日現在のアメリカ合衆国の長期+短期の債券発行残高に対する中国の保有率11.7%は、2008年度の世界のGDPからアメリカ合衆国のGDPを除いたGDPに対する中国のGDP<ref>{{Cite
web|last=IMF|title=Data and statistics>World Economic Outlook
Database>By Countries (country-level
data)|url=http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2009/01/weodata/weorept.aspx?pr.x=54&pr.y=16&sy=1980&ey=2008&scsm=1&ssd=1&sort=country&ds=.&br=1&c=924&s=NGDPD&grp=0&a=
|accessdate=2009-05-21 }}</ref>のシェアである9.5%と比較すると2.2%大きいが近似値である。2008年度の為替レートベースのGDPが世界で2位の日本や3位の中国は、自国の経済力以上にアメリカ合衆国の長期+短期の債券を過剰に保有しているのではなく、自国の経済力のシェアに応じて債権を保有していると見ることもできる。
2013年9月17日に、米国財務省は国際資本統計を発表して日本の米国債保有総額は2000年代以降の最高保有額の1兆1354億ドル(約112兆円)を記録した。それに対して、米国国債保有総額が依然世界首位の中国は1兆2773億ドルであった<ref>{{Cite
web|last=www.nikkei.com|title=日本勢の米国債保有額、過去最高に 7月|url=http://www.nikkei.com/article/DGXNASGN1800I_Y3A910C1000000/|accessdate=2014-02-1}}</ref>。
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