Monday, July 13, 2015

Slavish Obedience to the U.S.


== 対米従属に反対する人々の意見 ==
{{雑多な内容の箇条書き|section=1|date=20142}}
*[[領土問題]]における政権側の[[対米従属]]を批判する見解も多々見られる。例えば、[[日米地位協定]][[尖閣諸島問題]]解決を阻んでいる事を指摘している[[関西学院大学]]法学部教授[[豊下楢彦]]はこう反対意見を述べている<ref name="豊下楢彦">『「尖閣問題」とは何か』、[[岩波書店]]2012年、P.89</ref>
{{quotation|そもそも[[日米地位協定]]では、使用されない施設や地域は返還される事になっている。ましてや「日本固有の領土」と内外に強調している尖閣諸島を構成する主要5諸島のうちの2島嶼([[久場島]][[大正島]])の返還を、日本政府はなぜ求めようとしないのであろうか。返還されない限り、「米軍の許可」なしには、この「固有の領土」に日本人は立ち入れないのである<ref name="豊下楢彦">『「尖閣問題」とは何か』、[[岩波書店]]2012年、P.89</ref>|豊下楢彦}}
*[[経済]]政策における政権側の[[対米従属]]を批判する見解も多々見られる。これは、本来の経済政策が恐慌回避と解雇防止が本意であるのに逸脱しているという指摘が顕著である<ref>Naomi Klein title =The Shock Doctrine: The Rise of Disaster Capitalism, Picador, New York, 2007, P.65.</ref>。例えば、[[ミルトン・フリードマン]]の指導した[[シカゴ学派_(経済学)]]([[:en:Chicago_Boys]])が対米従属政権に1973911日の[[チリ・クーデター]]以降、世界中で実施させてきた[[新自由主義]]([[:en:neoliberalism]])が一部の超富裕層を除いて広範な社会諸階級に深刻な貧困化を生んでいる事を指摘したノーベル賞作家の[[ガルシア・マルケス]]は、こう反対意見を述べている<ref>[[ガルシア・マルケス]] title =後藤政子訳『戒厳令下チリ潜入記-ある映画監督の冒険』, 岩波新書, 日本, 1986, PP.79-80.</ref>
{{quotation|...数年程前からは、マポーチョ川では飢えた人々が市場から投げ込まれる食物のくずを犬や禿鷲と奪い合っている。シカゴ学派に倣って軍事評議会が実行した[[チリの奇跡]]の裏側である。チリはアジェンデ政府までは控えめな国であっただけでなく、保守的なブルジョアジーですら民族の徳として簡素さを誇っていたような国である。軍事評議会は自分たちこそチリをすぐにでも繁栄させることができるのだということを示そうとして、アジェンデが国有化したものを全て民間に返還し、国を民間資本や多国籍企業に売り渡した。その結果はなんであったかと言えば、目のくらむような、だが必要のない贅沢品と、ブームの幻想をふりまいただけのお飾りの公共事業の爆発に過ぎなかった。輸入はわずか五年間のうちに過去二百年の総額を上回ったが、それができたのは国立銀行の国営企業売却金で保証されたドル建ての信用のためであった。残りはアメリカ合衆国と国際信用機関の共犯によるものであった。六ー七年の幻想が一挙に崩壊したのである。チリの対外債務はアジェンデの最後の年には四十億ドルであったものが、今日ではほぼ二百三十億ドルにも達している。この百九十億ドルの浪費の社会的犠牲が如何なるもであったかを知るには、マポーチョ川の大衆市場を歩いてみるだけでよい。つまるところ、軍事政権の奇跡はほんの一握りの金持ちをますます肥やし、その他のチリの国民をますます貧困の奈落に陥れたのであった。|[[ガルシア・マルケス]]『戒厳令下チリ潜入記-ある映画監督の冒険』<ref>[[ガルシア・マルケス]] title =後藤政子訳『戒厳令下チリ潜入記-ある映画監督の冒険』, 岩波新書, 日本, 1986, PP.79-80.</ref>}}
*[[対米従属]]を批判する人が[[日本国憲法]]を擁護し、対米従属だと批判される人が日本国憲法の改定を主張することがおかしいとの批評があるが、その批評は、戦後の米国外交路線の大転換である日本の弱体化と平行した民主化占領政策の1947年からの「[[逆コース]]」の事情を理解しないことから生まれているとする見解<ref>{{Cite web|last=植草一秀の『知られざる真実』|title=安倍首相は経営委員人事権てこにNHK偏向を強制|url=http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/nhk-4ad3.html|accessdate=2013-10-26}}</ref>
*[[押し付け憲法論]][[自主憲法論]]を掲げる人が、[[連合国軍占領下の日本]]で制定された[[日本国憲法]]の維持を主張することを対米従属であるとする評価<ref>ジョン・W・ダワー 『転換期の日本へ―「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か』 (NHK出版、P.2632014年。</ref>
*[[日本国憲法第9]]を維持することを主張する人が、同条も含めて日本国憲法の改変を主張する人々に対してアメリカ合衆国(国防総省・国務省)の言いなりになって日本を侵略戦争をする国に変えようとする対米従属であるとする評価<ref>ジョン・W・ダワー 『転換期の日本へ―「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か』 (NHK出版、P.1432014年。</ref>
*アメリカ合衆国議会・政府が遂行した[[アフガニスタン紛争 (2001-)|アフガニスタン戦争]][[イラク戦争]]に反対する人が、日本政府やイギリス政府やオーストラリア政府がアフガニスタン戦争やイラク戦争に協力することを対米従属だとするという評価<ref>ジョン・W・ダワー 『転換期の日本へ―「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か』 (NHK出版、P.2512014年。</ref>
*日本が統治していた時代に[[朝鮮]][[台湾]]は発展したので、日本が朝鮮と台湾を統治したことは正義である。日本は欧米の[[植民地]]支配から[[アジア]]を開放するために[[大東亜戦争]]を戦い、戦争の結果アジア諸国は独立したので、日本が大東亜戦争を戦ったことは正義である。日本が日本の統治や戦争の関係各国に対して反省・謝罪をして関係修復することは、アメリカ合衆国の[[ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム]]に洗脳されて、日本の統治や大東亜戦争の正義を否定することであるという極右にみられる評価<ref>ジョン・W・ダワー 『転換期の日本へ―「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か』 (NHK出版、PP.255-2562014年。</ref>
*[[極東国際軍事裁判]]は連合国軍占領下の日本で行われ、日本の政府・軍の幹部が戦争犯罪人として有罪判決を受け刑を執行されたこと、日本の議会・政府が[[日本国との平和条約|サンフランシスコ講和条約]]で、極東国際軍事裁判の判決を受け入れ、刑の執行を誓約したことは、日本の正義を否定することであるという評価<ref>ジョン・W・ダワー 『転換期の日本へ―「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か』 (NHK出版、PP.260-2632014年。</ref>
*アメリカ合衆国の占領統治下で、[[大日本帝国憲法]]が破棄され日本国憲法が制定されたことは、日本の主権に対する侵害であり、日本が国民と国会議員の多数意見として、日本国憲法を破棄して自主的に憲法を制定することもなく、日本国憲法を改変もすることなく維持していることは、大部分の日本国民がアメリカ合衆国に洗脳され、属国として支配されている証明であるという評価<ref>ジョン・W・ダワー 『転換期の日本へ―「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か』 (NHK出版、PP.262-2632014年。</ref>
*日本がアメリカ合衆国と軍事同盟([[日米地位協定]][[日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約]][[日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約]])を締結し、アメリカ合衆国軍に基地を提供することは、日本の主権・独立・自立・中立を放棄し、アメリカ合衆国の覇権主義的、帝国主義的外交・軍事政策に組み込まれ、アメリカ合衆国の戦争に協力することであるから、日本はアメリカ合衆国との軍事同盟は解消し、在日米軍基地も完全撤去すべきであるという評価<ref>孫崎享、『戦後史の正体 1945-2012』(「戦後再発見」双書1)、創元社、PP.160-1612012年。</ref>
*日本とアメリカ合衆国との間で貿易や投資の規制を減少させ、貿易や投資を自由化することは、日本の産業・経済や日本国民の労働が産出する付加価値が、アメリカ合衆国に一方的に搾取収奪され、日本の企業がアメリカ合衆国の企業に買収され、アメリカ合衆国の企業に市場を支配され、[[アメリカニゼーション]][[グローバルスタンダード]]と称して強制され、日本国民の生活がアメリカ合衆国に支配され、日本をアメリカ合衆国の経済植民地化することであるから、貿易や投資の自由化は拒絶すべきであるという評価<ref>孫崎享、『戦後史の正体 1945-2012』(「戦後再発見」双書1)、創元社、PP.348- 3492012年。</ref>
*アメリカ合衆国で作られた政治・軍事・経済・産業・科学・技術・芸術・文化が日本に流入することは、世界の諸国の多種多様な文化を破壊し、世界の多様性を破壊して、アメリカ合衆国が世界にアメリカンスタンダードを強制し、世界をアメリカンスタンダードで支配しようとすることであるから、世界の諸国の文化と多様性を守るためには、アメリカンスタンダードを拒絶すべきだ、という評価。
*[[国民新党]]は公式サイトにおいて、“郵政民営化は日本の350兆円の資産強奪が目的であり、米国では日本へ民営化を押し付けておきながら、自国では国営の郵便事業を守り続けている、アメリカで郵便庁に勤務する約86万人は公務員で、大統領委員会は今後も公的機関が郵便事業を行うのが望ましいと結論づけている、「公営は時代遅れ」という言葉が、わが国の虎の子、国民の財産である350兆円を奪うための虚偽宣伝であることは明白”との見解を発表している。2005年の「郵政解散」翌日の[[フィナンシャル・タイムズ]]にも「日本はアメリカに3兆ドルをプレゼント」と題する記事が掲載された。[[旭日旗]]がぼろぼろにされ、中央の穴の中にシルクハットにマント姿でアタッシュケースを持った西洋人が入っていく風刺画が添えられていた。
{{quotation|戦後の政治家の中でも、重光葵や芦田均、鳩山一郎、石橋湛山、田中角栄、小澤一郎、鳩山由紀夫ら、自主独立を貫こうとした政治家の多くはパージされてきました。同様に、外務省や大蔵(財務)省、経産省の中で自主路線を目指した官僚も、アメリカの顔色を窺う首相官邸から放たれた矢によって倒れ、現在では対米追随路線が圧倒的な主流となっています。|[[孫崎享]][[アメリカ]]に潰された政治家たち』<ref>[[孫崎享]][[アメリカ]]に潰された政治家たち」、小学館、2012年、P.16</ref>}}
さらに、海外からも日本の対米従属派がナショナリストを自称し、本来日本の国益を米国に優先する勢力が反日扱いされるサンフランシスコ体制に矛盾が生んだ日本人のアイデンティティを危惧する声もある。例えば2014年刊行の『転換期の日本へ―「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か』において対米従属問題研究の国際的な権威である[[ガバン・マコーマック]]とジョン・W・ダワーがそれを指摘している<ref>ジョン・W・ダワー 『転換期の日本へ―「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か』 (NHK出版、P.2492014年。</ref>

*2010年に対米自立闘争の戦略的理論書『日本の[[独立]]([[飛鳥新社]]2010)を上梓した日本の政治経済学者の[[植草一秀]]は、日本は戦勝国アメリカにとり[[戦利品]]であるという観点から、占領軍の日本撤退を定めた[[ポツダム宣言]]12条に言及し戦後の継続駐留との矛盾を指摘しこう見解を述べている。
{{quotation|これらの条文に従って解釈すると、本来日本の「独立」とは、「日本から占領軍が撤退すること」をもって達成されるということになります。ところが現実はこれとは異なるものでした。米ソの冷戦が激化するなかで、米国が日本の「[[独立]]」を許さなかったのです<ref>植草一秀『[[アベノリスク|アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪]][[講談社]]P. 261</ref>|[[植草一秀]][[アベノリスク|アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪]]}}
*アメリカの国際政治学者[[チャルマーズ・ジョンソン]]は、2004年の論文『武力は過ちを犯す』で米軍の東アジアにおける基地帝国主義政策を批判して、こう提言している<ref>チャルマーズ・ジョンソン『帝国アメリカと日本 武力依存の構図』、[[集英社]]PP.157-8</ref>
{{quotation|アメリカは、東アジアの国々との協定を変更し、アメリカ軍を無制限に駐留させることなく、国家対国家の対等な同盟関係に転換していく必要がある。米軍を前進配備することは、それ自体紛争を誘発しかねず、東アジアの大きな不安定要因になっているからだ。また米軍施設が東アジアの国々の中にアメリカの飛び領地のように存在する事は、道義上の問題を引き起こしており、のちのちの信頼関係と協力関係を築いていくための基盤にひびを入れている。(中略)この現状に東アジアの衛星諸国は早晩反旗を翻すだろう。十年程前に、東ヨーロッパのソ連衛星国が示してみせたように。そうなってはもう手遅れだ。西太平洋地域に於けるアメリカ軍の存在によって得て来た何もかもが失われてしまっているだろう<ref>チャルマーズ・ジョンソン『帝国アメリカと日本 武力依存の構図』、[[集英社]]PP.157-8</ref>|[[チャルマーズ・ジョンソン]]『武力は過ちを犯す』}}

*米国主導のTPPが日本のみならず、アジア全域を帝国主義的に米国の多国籍企業の支配下へ置き、アジア諸国の広範囲の対米従属化を危惧する批判の声もある。例えば、日本の農業経済学者[[鈴木宣弘]]は、2013年の著書『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』で、以下のように分析し見解を述べている<ref>[[鈴木宣弘]]『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』、文藝春秋、2013年、P.198</ref>

{{quotation|......アメリカは、アジアがアメリカ抜きでまとまることは絶対許さないと言い続けてきた。TPPを推進する人々が言う。『TPPがアジア・太平洋のルールになるから入らないと日本は''ガラパゴス''になる』とか、『アジアの成長を取り込むにはTPP』と言った見方は当面嘘である。あるアメリカ大使館員の方は筆者に話した。『TPPは中国包囲網だ。日本は中国が怖いのだから、入らなけりゃだめでしょ。』と。中国もインドネシアもインドも韓国も、TPPにはNOといっている。当面はTPPでアジアが分断されて、アメリカの利益には都合が良い。そして、これだけ経済規模の大きい日本がTPPに参加すれば、周辺の国々もゆくゆくは入らざるを得ないようなことになれば、アメリカ抜きのアジア圏でなく、アメリカの巨大企業の利益を最大化できるアジア太平洋圏を形成できる。|[[鈴木宣弘]]『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』<ref>[[鈴木宣弘]]『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』、文藝春秋、2013年、P.198</ref>}}

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