孫崎さんによる『戦前史の正体』、『戦中史の正体』を期待!, 2014/10/26
レビュー対象商品: いま語らねばならない戦前史の真相 (単行本(ソフトカバー))
今は、戦前を懐古主義的に見る自称右翼が多く、ここアマゾン日本版でもそのような歴史修正主義的な本がランキングの一位、二位を争っているのは末世的であり、かの佐藤優さんもネット書店のランキングは、日本のインテリ層における書籍の人気ランキングを意味しないと語っていた。その通りだと思う。
孫崎さんは、2012年に革命的な不朽の名著『戦後史の正体』で、日本論壇全体を対米独立闘争へと導いてくださった偉大な啓蒙者です。
私は、対談採録では論文による深淵さや体系的構築が困難な形式なので、氏による『戦前史の正体』、『戦中史の正体』などの大著を期待しています。
本書に関していいますと、戦前史における日米関係は、米国側の思惑が成就していく形で戦後へ連続的に発展していくのが分かります。それは、主に琉球と日本と米国の関係に於いてその発展の本質が明確に現れています。その鍵は、やはりペリーの黒船の来航と、ペリー書簡です。このペリー提督の手紙は、沖縄タイムスが1977年に出版した『仲原善忠全集第一巻』に完全収録されています。ペリーの一連の琉球占領とその拠点化に依るアジア進出という帝国主義的な謀略が、戦後に遂に実現するというのが戦前と戦後史を跨がる日米関係の全体的な流れを体現する史的発展です。なんと今の日本論壇で安倍一派が運用している真空論議と言われる論法は、ペリーが戦前史に於いて創造したものなのです。ペリーは、二度米国政府に琉球占領を打診し、1853年12月24日香港と1854年1月15日では、差異があり、前者では既に琉球を占領しているかの如く書き、米国政府の承認後本当に占領する企みだったが、次の手紙では、日本が米国に従属しない場合に抗議として占領するが、又もし今占領しなければロシア、フランス、英国のいずれかが占領してしまうという冷戦期にも応用された有名な真空論議が披露されています。ペリーから自民党政権への負の遺産の継承は見事になされていたのです。暗黒の戦前史(1853年から1945年の敗戦までをここでは指す)からさらなる漆黒の戦後史への発展過程で、米国は琉球支配という100年来の念願を達成したのです。ちなみに、ペリーは開国を迫り江戸に来航する前に琉球で、測量をしており、そのペリーによる琉球調査の資料はその後の沖縄戦で軍事的に利用されました。以上の諸事実が、日本の戦前から戦後史への転化過程の政治的本質を見事に象徴しています。日本への蹂躙は戦後だけではなかったのです。
結局、戦前史においても、戦後史に於いても米帝国主義は沖縄/琉球を東アジア支配の拠点とし、日本を米国に従属させる意図、謀略を繰り返してきたことが読み取れます。そこで自主防衛の対米独立、沖縄解放以外に日本の暗黒の戦後史の脱却、いや戦前史の脱却をも達成する発展の方向性は皆無である事が結論づけられます。
それから、本書で孫崎さんは謀略説の問題点に就いて重要な命題をここで改めて提示されています。特定の謀略事件で体制側の流布する謀略説と反体制派の伝播する謀略説は混在し、諜報戦、情報戦を構成しており、メディアリテラシーが不可欠です。
孫崎さん:謀略説の問題は、変なものを混ぜる事です。実際に謀略があるから、それを解明されない為に、東日本大震災に関連した様な変な謀略説を流すのです。陰謀論的なものを言う時には、エビデンス(証拠/根拠)で語る事が重要です。自分の頭で想像したストーリーは、単なる妄想でしかありません。私が真珠湾攻撃について言っている事は、いくつかの歴史的事実、ドキュメントがあり、それに従って推定できることです。(本書、152ページ)
権力者共同謀議論(conspiracy theory)は、孫崎さんのおっしゃるように体制側メディアも意図的に垂れ流し、真の謀略説と混在させ、真相を隠蔽するという現実への批判的分析も秀逸です。ちなみに、孫崎さんは真珠湾攻撃は1941年の8月の対日石油禁輸で米国が、当時英国と内通し欧州への戦争介入、武器供給を開始していた中、日本を開戦へと意図的に誘導したという謀略説を唱えられておりますし、その説に私も同意します。
本書は、全日本国民必読の書であります。ありがとう、孫崎さん、一水会 ^_^
孫崎さんは、2012年に革命的な不朽の名著『戦後史の正体』で、日本論壇全体を対米独立闘争へと導いてくださった偉大な啓蒙者です。
私は、対談採録では論文による深淵さや体系的構築が困難な形式なので、氏による『戦前史の正体』、『戦中史の正体』などの大著を期待しています。
本書に関していいますと、戦前史における日米関係は、米国側の思惑が成就していく形で戦後へ連続的に発展していくのが分かります。それは、主に琉球と日本と米国の関係に於いてその発展の本質が明確に現れています。その鍵は、やはりペリーの黒船の来航と、ペリー書簡です。このペリー提督の手紙は、沖縄タイムスが1977年に出版した『仲原善忠全集第一巻』に完全収録されています。ペリーの一連の琉球占領とその拠点化に依るアジア進出という帝国主義的な謀略が、戦後に遂に実現するというのが戦前と戦後史を跨がる日米関係の全体的な流れを体現する史的発展です。なんと今の日本論壇で安倍一派が運用している真空論議と言われる論法は、ペリーが戦前史に於いて創造したものなのです。ペリーは、二度米国政府に琉球占領を打診し、1853年12月24日香港と1854年1月15日では、差異があり、前者では既に琉球を占領しているかの如く書き、米国政府の承認後本当に占領する企みだったが、次の手紙では、日本が米国に従属しない場合に抗議として占領するが、又もし今占領しなければロシア、フランス、英国のいずれかが占領してしまうという冷戦期にも応用された有名な真空論議が披露されています。ペリーから自民党政権への負の遺産の継承は見事になされていたのです。暗黒の戦前史(1853年から1945年の敗戦までをここでは指す)からさらなる漆黒の戦後史への発展過程で、米国は琉球支配という100年来の念願を達成したのです。ちなみに、ペリーは開国を迫り江戸に来航する前に琉球で、測量をしており、そのペリーによる琉球調査の資料はその後の沖縄戦で軍事的に利用されました。以上の諸事実が、日本の戦前から戦後史への転化過程の政治的本質を見事に象徴しています。日本への蹂躙は戦後だけではなかったのです。
結局、戦前史においても、戦後史に於いても米帝国主義は沖縄/琉球を東アジア支配の拠点とし、日本を米国に従属させる意図、謀略を繰り返してきたことが読み取れます。そこで自主防衛の対米独立、沖縄解放以外に日本の暗黒の戦後史の脱却、いや戦前史の脱却をも達成する発展の方向性は皆無である事が結論づけられます。
それから、本書で孫崎さんは謀略説の問題点に就いて重要な命題をここで改めて提示されています。特定の謀略事件で体制側の流布する謀略説と反体制派の伝播する謀略説は混在し、諜報戦、情報戦を構成しており、メディアリテラシーが不可欠です。
孫崎さん:謀略説の問題は、変なものを混ぜる事です。実際に謀略があるから、それを解明されない為に、東日本大震災に関連した様な変な謀略説を流すのです。陰謀論的なものを言う時には、エビデンス(証拠/根拠)で語る事が重要です。自分の頭で想像したストーリーは、単なる妄想でしかありません。私が真珠湾攻撃について言っている事は、いくつかの歴史的事実、ドキュメントがあり、それに従って推定できることです。(本書、152ページ)
権力者共同謀議論(conspiracy theory)は、孫崎さんのおっしゃるように体制側メディアも意図的に垂れ流し、真の謀略説と混在させ、真相を隠蔽するという現実への批判的分析も秀逸です。ちなみに、孫崎さんは真珠湾攻撃は1941年の8月の対日石油禁輸で米国が、当時英国と内通し欧州への戦争介入、武器供給を開始していた中、日本を開戦へと意図的に誘導したという謀略説を唱えられておりますし、その説に私も同意します。
本書は、全日本国民必読の書であります。ありがとう、孫崎さん、一水会 ^_^
中西良太 / Ryota Nakanishi "Amazon Top #500 Reviewer 2014, 2013です。 憲法、消費税、TPP、基地問題、原発、労働問題、マスゴミと前近代的司法が日本の最重要問題です!"さんが書き込んだレビュー (万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!)
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