Tuesday, August 5, 2014


フルフォード氏の著作の集大成:アメリカによる日本収奪計画の全貌とは?対米従属 Slavish Obedience to the U.S. 批判論者の中西良太さんのレビューより
2014/8/1
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本書では、主権者国民にとって最も関心度が高く、今も進行中の米国の軍産複合体や多国籍企業による日本収奪計画の全貌がフルフォードさんによって分かりやすく解説されています。詳細についての評論は、熟読後に追って記述していきたいと思います。とにかく、フルフォードさんの著作はいつも購読しており大変面白いです。彼も主権者国民の立場に立つ、素敵な日本の愛国的なインテリです。

本書は、基本的にフルフォード氏の既存の著書の総括としての集大成であり、参考文献の大半も氏の既刊書です。表題の最後の戦いとは、氏の造語であるいわゆる“サバタイ派マフィア”(ネオコン勢力、ドル石油本位制の利権集団、米連銀を牛耳るロックフェラー同族企業及びその財団、ブッシュ一族、オバマ政権など)や(前者と不可分であるが)軍産複合体(マスゴミ空間では、ジャパンハンドラーを代弁者とする)の勢力が、例外的に日本と韓国を除き、全世界で勢力を衰微させている中で、2020年の東京オリンピックまでがいわゆる氏の造語の“闇の支配者”(実際の上記の帝国主義/ネオリベラリズム推進の諸勢力全体)との戦いの正念場であるという意味です。つまり、外国ではなく、日本人の対米独立闘争の為に執筆されたのが本書です。

フルフォード氏は、一日本人としてその勝利を確信されています。まず、本書熟読の為の概観として、フルフォード氏の日本を取り巻く世界情勢分析は、至極現実的です(例えば、中国の米国債売却カードの優位性に抗するための、米国による日中対立、中国と東南アジアの対立の創作の必要性の論証、対立する中国に無人機など既に武器を売却した米国とフランスが、さらにその相手と成る日本にも同様に武器を売却する欺瞞性の論証など秀逸です)。高校生にも十分にわかりやすい内容ですので紹介します。以下の箇所にそれが最も簡明に叙されています。

「殴られても殴られても、DV男であるアメリカについていく安倍政権。なんと哀れなのか……。ネットを見ればそんな安倍政権を礼参する声も多い。これは、『アラブの春』とは違った形で、闇の支配者の傀儡である連中がネットにおいて、あるムードを長い年月をかけて醸成してきたおかげだろう。(中略)世界は今、アメリカに巣食うサバタイ派マフィアの力が弱まると同時に、第三世界の勢力が力をつけてきて、いわゆる“闇の支配者”体制が崩壊してもおかしくない時期にあるのだ。ロシアでは、プーチンがアメリカに毅然としてNOを突きつけ、中国もまた、ロシアと組み、これ以上アメリカ国債を買い支えない方向にシフトしつつある。また、アジアでも、インドではBRICSの協調を強化するモディ政権が生まれた。まさしく今、一部の白人貴族達による支配体制を覆す好機なのである。それなのに、日本は自国の憲法を無視してまでアメリカの意向に従う始末。」(268ページ)

以上が本書の全体を把握する上で重要な思想的概観です。

各章ごとの要諦を抽出すると以下の如くです。

第一章 

1)日本にとって実害のある円安の負の面:円安は、円安それ自体というだけで神学的に生産力が向上し、国際的に優秀な海外製品をそれだけで駆逐できるなどという円安信仰は虚偽である。多国籍企業の日本収奪(土地や企業買収)にとって最も有利な状況を作っている点は報道で自覚の域にもたらされていない。売国と円安の関係が無視できない。

2)ガン利権:実は欧米では存在せず、東アジアのみに特有の商品であるがん保険は、アフラックとメットライフアリコという外資の専売特許となっており、安倍はかんぽ生命と日本生命保険とのがん保険の自主独立の提携に横やりをいれ、かんぽとアフラックの提携実現となった。

3)ジャパンハンドラーの真の狙いは、多国籍企業参入の為の民営化による簡保と郵貯と農林中金とJA共済を中心とした日本人の個人資産にある。民営化は、官僚利権創出だけでなく、同時に多国籍企業に国内事業を開放するための手段である。氏は、郵政民営化は米国の対日年次改革要望書の小泉/竹中従米政権による日本郵政米営化であると正しく指摘している。

4)1964年のオリンピック以降、オリンピック特需が消失してGNP成長率が突如半減し、この為にこれ以降日本は赤字国債を発行し続けている史実は、オリンピック興国論の隠蔽する驚愕の真実である。またIOCは、国際機関ではなく、主催地からの賄賂で成り立つNGOである。そして、大会の運営それ自体は、彼らではなく全て主催地の税金が使われる。CIAは、トルコでデモを組織して、選定条件を悪化させ、エルドアン対米自立政権のトルコを落選させた。

第二章 

1)水道事業は日本は例外的に公営であり、私営を免れているが、今アメリカのベクテルなどの水マフィア(俗称ハゲタカともいう)が、日本の水道事業民営化で参入しようとしている。つまり、日本人の水が海外企業に支配されようとしているし、麻生太郎も外国企業による日本の水道事業民営化に同意している。橋下市長の大阪市がその国内第一号と成る。(1999年ボリビアで世銀から資金調達したボリビアに米の命令で、ベクテルが同国の水道事業を民営化し、専横な運営の結果、貧民層などの広範な抗議で撤退し、公営化に戻った著名な事件参照)

2)農業面での収奪計画の首謀者達を見てみると、ロックフェラー、ロスチャイルド、デュポンの同族企業である水メジャーのウォ-ターバロン、穀物メジャーのカーギル、凶悪な農薬と発がん性遺伝子組み換え食物の種子売買のモンサント、毒ガス使用成分の農薬で、ミツバチの大量死を招いたバイエルなどである。(95ページ)これらは、氏のいわれるサバタイ派マフィアそのものである。市場経済や自由競争や公正さを日本に要求する彼ら自身が、最も不公正な癒着経済と封建的な同族経営なのである。氏は、さらにモンサントの種子の使用とカーギルによる流通という食料の対米隷従システムは、世銀やIMFの構造調整プログラムで途上国が命令されるものであることを指摘している。

3)医療面での癒着経済の構造は、例えばWHOのインフルエンザのパンデミック宣言のように、そこにはウィルス製造機関、そのワクチンメーカー、疫病パンデミックを宣言する国際機関の癒着で互恵的に成り立っている。

4)オバマケアに含まれているという2017年までに米国民に無線通信による非接触型のRFIDというマイクロチップを埋め込み、個人の国家による管理を徹底させる計画が進行中というのは最も畏怖させる内容である。

第三章

1)2011年のエジプトのアラブの春は、米国の軍産複合体のNPOランド研究所のワエル・ゴニムによるシナリオでグーグルと国務省の現地での共謀により、ネットなどで連帯した若者リーダーらを利用して政権転覆を謀ることが2008年に既に計画済みであったことが判明している。あれもCIAによるクーデター作戦の一環であったが、手段がより洗練され、参加者の多数が洗脳されたままの、クリーンなイメージ作戦(若者がソーシャルネットワークを駆使し、ムバラク独裁政権を打倒した)に成功している。また、日中間の対立のシナリオであるConflict With China(2011)を策定しているのもこの機関であり、同様のラインでのネット戦略が発動している。

2)日中対立では、ランド研究所の謀略計画によると、偶発的な事故の多発と、双方の主張のエスカレーションが、その重要な条件となるという。事実、その線で、菅直人政権以降の偶発事件は多発しているし、双方の主張も過激化している。

3)なんと、安倍はそのランド研究所で、2013年9月にネオコン派閥より受賞しているが、以上のような謀略機関の文脈でそれを認識している人は少ない。一般にはいない。安倍は、ジャパンハンドラーへの隷従者で、日本が彼らの手の中に戻ってきたご報告したのである。

4)日中対立に関して、氏は有意義な疑問を提起している。「米国債を支えている日中両国で殺し合い消耗し合い、最後にはサバタイ派マフィアに日中両国とも搾り取られること。あなたは一体どちらを選ぶのか?」(166ページ)正に氏は、先の大戦で、日中両国が争ったあげく、米国の覇権が確立したことの再演以上の規模での悲劇を案じている。

5)氏は、これまでも東日本大震災が人災であると正しく指摘されているし、本書でも気づいたが、当の警備会社が一般に秘密のベールに包まれている。国際原子力機構が、日本の原発をカメラで24時間監視しているのは事実であるが、当の警備会社は不明のままである。そこで、氏はモサドの系譜にあるイスラエルの警備会社マグナBSPが請け負っていると指摘する。そして、それが日本政府にとっての原発破壊の脅迫装置として機能することを分析している。

6)北のキム政権は、今も国際社会との融和を目指しているが、あまりに西側プロパガンダに利用され、悪の、恐怖の隣人として朝鮮半島統一を阻む当該勢力から喧伝されている。それとのキム政権との闘争の一環として中国へ地下資源利権を売却し、西側と通じて北の国際融和を妨害していた張成沢が処刑されたと指摘されている。また、北朝鮮は東アジアのかき回し役を米国から与えられており、いまや軍需産業にも進出しているグーグルの会長が訪朝中に、訪朝団は30億ドルもミサイル発射の張に謝礼として渡したという。
北への敵視政策は、東アジア諸国の失策である。

7)タイのクーデターの分析も鋭利である。インラック政権は対米隷属であったし、氏によると同政権は家族ぐるみでCIAとのアヘン利権の利害共有者だった。2006年のクーデターも、2014年のクーデターも、王朝派が米の走狗であるシナワトラ政権を利用して、チャクリー王朝の金を強奪しようとしたのを察した軍によるものだった。

8)ベトナムの反中暴動も、米国の操作する反共団体Viet Tanによって実施された作戦だったし、フィリピンの反中暴動も同様だった。また、2000年から2005年までの東欧の色の革命や、アラブの春も対米自立政権転覆に民衆を組織化する組織CANVASを主とした米国務省による民衆蜂起の輸出だった。

第四章

1)シリア内戦でも米軍介入のためのアサド政権の化学兵器使用というでっち上げ工作のために、米国が支援したアル・ヌスラ戦線がサリン部隊を保持していたことが米軍の内部告発で判明した。そこでは、反政府組織を組織して対米自立政権を転覆させる方法と、でっち上げ工作で、侵略の口実を作り、米軍介入で政権転覆させる二つの工作手段が採られた。

2)米国の民間の軍事会社ISISが、ロシアのガスパイプラインを掌握してロシア弱体化を画策して、イラク北部からヨルダンにまたがる地域にカリフ制イスラム国を樹立したというのには驚いた。彼らは、自分たちで武器を売りつけた相手に対して、さらに侵略の口実(実際は自分たちの放った役者たちであるのに、当該国の危険テロ組織の除去などと言う名目)をでっち上げて、侵攻し、資源を略奪するという帝国主義の暴力的でどこまでも破綻した論理を高度に体現している。ちなみに、サウジの総合諜報局長官バンダール王子が操る役者アルカイダは今も昔もCIAの傭兵であり、シリア内戦でもアルカイダは米国の支援で活動している。

3)これまで、西側諸国が実体経済に基づく堅実な独自の金融システムを営むイスラム圏に侵攻してきた理由は、総資産100兆円を超えるイスラムマネーの収奪のためという分析も秀逸である。

第五章

1)第五の権力であるネットの権益を掌握するのは、実際はネットに接続した個人ではなく、グーグルなどのネットを牛耳る集団である。そして、グーグルはCIAと共謀して、ネットユーザーのビッグデータから個人の未来をも予測し、監視するシステムを構築するレコーディッドフューチャー社を設立した。

2)スノーデンにしても、アサンジにしても体制側のメディアに報じられ、英雄扱いにもなっているのは、闇の支配者側の内部抗争で、敵対勢力追い落としのためのポジショントーク的なニュアンスが強いという分析は、他の同様のメディアが演出する反体制のアイドルたちにも共通している特徴を捉えている。

3)ちなみに、米英のシェールガス革命は、推定抽出量が大幅に下回ることが判明し、見事に頓挫している。

本書は、米帝国主義による現下進行中の実在する日本収奪計画を追求しており、全日本国民必読の書です。

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