動乱の時代の必読書, 対米従属( Slavish
Obedience to the U.S. )批判論者/セヌリ党員の中西良太さんのレビューより
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レビュー対象商品: 「知」の読書術 (知のトレッキング叢書) (単行本(ソフトカバー))
私は、本書を読んで第一部の『「危機の時代」に備えよ』が特に興味深かったです。佐藤さんは、反知性主義と新帝国主義、新自由主義、代議制民主主義の純化としての独裁への批判という立場から論述されています。どれも、ネットから孤立しては機能不全に陥る電子書籍よりも大切な日本及び国際社会の重大問題です。
反知性主義については、「当時から私は、自民党のパワー・エリート達の反知性主義的傾向に繰り返し危機感を表明してきましたが、事態が改善される見通しは一向にありません。それどころか、靖国参拝や慰安婦問題を巡って、反知性主義がさらに顕在化してきています。こうした反知性主義が外交上、極めて深刻な影響を与えていることは明らかです。」(81ページ)
反知性主義と安倍が代表する歴史修正主義の軍国主義的傾向は一致しており、佐藤さんの分析は多くの民主主義的な国民が共有する見識です。この認識に基づいて、推薦図書である『独裁者のためのハンドブック』が紹介されています。各節ごとに、まず佐藤さんはその中心的な問題に就いての議論から始められており、単に本の紹介にはなっていません。しかも、洋書であれ、常に日本の問題として論じられています。
さらに、新帝国主義に就いても興味深いです。佐藤さんは、クリミア半島併合に関するウクライナでの米露の新帝国主義的対立軸を捉え、新冷戦(共産主義と資本主義の新対立?)論に反対し、ロシアの制限主権論がソ連の焼き直しであることを結論づけています。また、TPPも自由貿易の擬制による米国中心のブロック経済形成であり、新帝国主義であることを正しく指摘されています。佐藤さんによる新帝国主義の定義は以下です。
「植民地をもたず、全面戦争を避けようとするのが、新・帝国主義の特徴なのです。しかし、新・帝国主義になっても、外部からの搾取と収奪により生き残りを図るという帝国主義の本質や行動様式は変わりません。」(72ページ)
つまり、今は帝国主義の時代への回帰というより、新・帝国主義という形態への止揚という段階であり、ネオリベラリズムで中間団体の弱体化や大幅なその消滅によりアトム化した個人、グローバル資本主義を統制する為の国権主義/独裁の強化として現状の政治的段階を定義づけることができます。
では、本書の意義と目的は何なのか? それは佐藤さんの次の言から感受できます。
「いまだに近代の枠組の中で生きている以上、私たちはナショナリズムとも帝国主義ともつきあっていかなければなりません。そしてそれらが暴走して、戦争や排外主義に向いそうなときには、全力で食い止めなければならない。では、どうやって国家の暴走を防げばよいのでしょうかーそのためには、権力というものの本質を知ることが必須となります。」(P.77)
ちなみに、佐藤さんによる革命/クーデターの推薦書は、トロツキーによるメディアや官庁など主要機関の奪取だけで政権獲得を可能とする普遍的な戦略を評価したマラパルテの『クーデターの技術』と、レーニンの『何をなすべきか?』です。この二冊を、私は佐藤さんがご紹介されるとは思わなかったので、感激しました。是非、熟読したいです。
本書は、安倍独裁政権と米帝国主義に苦しめられている全日本国民必読の書です。
反知性主義については、「当時から私は、自民党のパワー・エリート達の反知性主義的傾向に繰り返し危機感を表明してきましたが、事態が改善される見通しは一向にありません。それどころか、靖国参拝や慰安婦問題を巡って、反知性主義がさらに顕在化してきています。こうした反知性主義が外交上、極めて深刻な影響を与えていることは明らかです。」(81ページ)
反知性主義と安倍が代表する歴史修正主義の軍国主義的傾向は一致しており、佐藤さんの分析は多くの民主主義的な国民が共有する見識です。この認識に基づいて、推薦図書である『独裁者のためのハンドブック』が紹介されています。各節ごとに、まず佐藤さんはその中心的な問題に就いての議論から始められており、単に本の紹介にはなっていません。しかも、洋書であれ、常に日本の問題として論じられています。
さらに、新帝国主義に就いても興味深いです。佐藤さんは、クリミア半島併合に関するウクライナでの米露の新帝国主義的対立軸を捉え、新冷戦(共産主義と資本主義の新対立?)論に反対し、ロシアの制限主権論がソ連の焼き直しであることを結論づけています。また、TPPも自由貿易の擬制による米国中心のブロック経済形成であり、新帝国主義であることを正しく指摘されています。佐藤さんによる新帝国主義の定義は以下です。
「植民地をもたず、全面戦争を避けようとするのが、新・帝国主義の特徴なのです。しかし、新・帝国主義になっても、外部からの搾取と収奪により生き残りを図るという帝国主義の本質や行動様式は変わりません。」(72ページ)
つまり、今は帝国主義の時代への回帰というより、新・帝国主義という形態への止揚という段階であり、ネオリベラリズムで中間団体の弱体化や大幅なその消滅によりアトム化した個人、グローバル資本主義を統制する為の国権主義/独裁の強化として現状の政治的段階を定義づけることができます。
では、本書の意義と目的は何なのか? それは佐藤さんの次の言から感受できます。
「いまだに近代の枠組の中で生きている以上、私たちはナショナリズムとも帝国主義ともつきあっていかなければなりません。そしてそれらが暴走して、戦争や排外主義に向いそうなときには、全力で食い止めなければならない。では、どうやって国家の暴走を防げばよいのでしょうかーそのためには、権力というものの本質を知ることが必須となります。」(P.77)
ちなみに、佐藤さんによる革命/クーデターの推薦書は、トロツキーによるメディアや官庁など主要機関の奪取だけで政権獲得を可能とする普遍的な戦略を評価したマラパルテの『クーデターの技術』と、レーニンの『何をなすべきか?』です。この二冊を、私は佐藤さんがご紹介されるとは思わなかったので、感激しました。是非、熟読したいです。
本書は、安倍独裁政権と米帝国主義に苦しめられている全日本国民必読の書です。
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