脱原発運動から学ぶ生き方:優しさは、沈黙の領域へのまなざしに宿る, 2014/3/6
Amazon.co.jpで購入(詳細) 対米従属批判論者の中西良太さんのアマゾンレビューより
レビュー対象商品: 100年後の人々へ (集英社新書) (新書)
本書は、単なる脱原発論ではなく、その運動を通して著者が到達した人生論、生命観の集大成である。著者は、まず自身が若年時の60年代に、原子力の平和利用という夢物語に騙された事を反省し、脱原発へ転向したことから論を始めている。ここでは、放射能が一般論とは異なり、自然にそれを除去する能力はなく、放射能が無害化するまでは最低でも10万年から100万年かかり、その期間地下貯蔵であれ、際限なく原発を稼働して放射能物質を蓄積していく事は、未来の世代への100万年、200万年分の放射能処理の負担を強いることでしかないことが強調される。このような原発問題も全体としては、戦後日本の対米従属の構造の一部である。原発特許を有する米国は、特許権で日本を通した原発生産と輸出で儲ける事しか考えていない。そのための日米原子力協定である。
本書の要諦と評言は以下に纏めて紹介する。
1)福島原発事故はチェルノブイリ事故と並ぶレベル7の最悪の事故(前者では四基壊れ、後者では一基のみ)であり、現在も被曝労働者は流出中のレベル3の汚染水の移洗作業にあたっている。
2)本来法律に則って、原発推進の元凶であり、CIAの傀儡である自民党政府が放射線管理区域にしなければならない汚染地帯に、今も何百万人の被災者が棄てられ居住を強いられている。福島の人達を即刻避難させるべきである。事故後3年でも、まだ一部を除いて被災者は汚染地域から避難できていないのである。
3)汚染水は、漸次的に海へと浸透していくのであり、直ちに全量流出という形ではない。
4)汚染水漏れは事故直後から始まっていたのに、自民党政府は参院選挙後の2013年7月22日になって公表した。
5)日本は偏西風(米側のいう神風)のために、放射能物質は太平洋へ流れたから被害が拡大しなかっただけである。
6)自民党対米傀儡政府は、法を遵守するなら放射線管理区域を現在の約1000平方kmではなく、2万平方kmにしなければならない。
7)全ての元凶は自民党と東電を無責任に生き延びさせようとすることにあり、両者に原発事故の全責任を取らせて潰すべきである。CIAの傀儡である自民党政権は違法政権である。
8)電気代、国際競争力、雇用の三点を自民党と御用メディア16社体制は原発プロパガンダに悪用し、住民に原発を受け入れさせてきたが、どれも原発の危険性と天文学的な負担を無視した詭弁である。原子力マフィアだけが儲かればよいという新自由主義的な発想である。
9)電力会社は、原発再稼働で際限なく儲けられる仕組みになっている上に、復興事業でゼネコンも儲けられる。東電は、どんな事故を起こしても潰される事がないという悪しき前例となっているからである。
10)風評被害というメディア・コントロールに関して、まず汚染は事実であり、風評ではないことが指摘される。そして、一般食品が1kgあたり、100ベクレル以下だから無害というのは御用メディアの詭弁である。本当に風評被害をただす手段は正確な情報を公開する事だけである。
11)世界の農産物に、全て放射能汚染値のラベルをつける提言は実用性がある。世界は、農業地帯を含め既にチェルノブイリ事故でも汚染されてしまっており、地球は終わらぬ放射能汚染を引きずり続けているのである。もう汚染されているから原発再稼働でもっと汚染して儲けても同じだという道理はないのである。
12)自民党政府は、年間20ミリシーベルトまでの汚染地域には被災者は帰還してもよいとするが、その状況下では125人に1人がガンを発症する。一年間で1ミリシーベルトの汚染でもガンは発生する。
13)先の広島と長崎への原爆投下では、疫学データを採るために被災者をあえて治療せず、原爆傷害調査委員会(ABCC)はデータ収集の為に被災者を犠牲にした。福島でそれを繰り返さないことが提言される。
14)IAEAは、イランや北朝鮮よりも日本を監視下においており、その役割は、原発推進と核兵器の国連=連合国常任理事国の独占状態の維持である。日本全国の原発関連施設にIAEAの監視カメラがある。
15)日本は広島原爆4千発分のプルトニウムを保有している。
16)プルトニウムを高速原子炉で燃やすと、超ウラン元素というさらに寿命の長い貯蔵困難な放射能物質ができてしまう。従って、日本以外の国はこの方式から撤退している。
17)福島事故で、ドイツ、イタリア、スイスは脱原発へ転向した。
18)東電報告では、福島事故は津波直撃による(地震の影響はゼロ?)そうだが、地震による送電線の破壊が既に報告されており、それが冷却装置を停止させ炉心溶融を招いたことが事故の原因である。
19)人類が原子炉を稼働させたのは1942年12月のマンハッタン計画が始まりであり、1954年にソ連で世界最初の商業用原発が稼働してから、15年に一度の割合で原発事故が起きている。それは、人類対放射能の戦争の開始だった。
20)原子力の燃料であるウランの半減期は45億年、しかもウランを核分裂させると放射能は一億倍になる。この放射能物質の貯蔵、冷却だけで化石燃料も人力も100万年分無駄に費やされる。どこが低コストで、クリーンで、安全なエネルギーなのか?
21)世界の原発のもたらした放射能物質は広島原発の1000万発を超える。
22)人類は戦後70年かけても放射能の無毒化に失敗している。そもそも放射能物質を処理できないで、蓄積させるだけなのに、際限のない再稼働をするのは愚劣である。ここに資本の論理の犯罪性が最も良く現れている。
23)米帝が作った広島型原爆は、ウラン235で作られ、もう一種類は長崎型で、それはプルトニウムから作られ、どちらの投下も実質的には核実験であったことが分かる。
24)放射能物質を海に棄てるのはロンドン条約違反で、南極にそれを棄てるのは南極条約違反である。
25)日本は浅い地層に放射性物質を棄てるとしているが、100万年に一万回の大地震が起きる日本では地震による貯蔵施設破壊の危険性は明白である。
26)日本の電力供給は水力と火力発電で十分であり、最高額コストは原発である。また石油や石炭が高騰しても、やはり原発のコストの方が巨額である。なぜなら、原発の運営にはそれら化石燃料まで浪費されるからである。
27)著者は、日本の原子核工学科の教授達は米国の原子炉メーカーが安全と言えば、真に受けてそのまま推進してしまう対米従属振りを指摘する。
28)科学も例外ではなく、人間の価値判断は、その時代に何を知るのが大事とされているかの社会的枠組みに大方規定されてしまう。しかし、自覚した個人はそれに盲従する事なく最大限の批判と抵抗を試みるべきである。
29)関西電力の副社長が原子力学界の会長になるという不可解な図式は、学界なるものが総じて原子力の安全性と言う虚構を喧伝するための機関に過ぎない事を意味する。
30)著者は原子力推進のための学問の廃止を提言する。
31)原子力推進は軍事問題であり、安倍政権の憲法改正ともセットである。
32)世界70億人のエネルギーの65%は先進国と新興国に依って独占されている。11億人は絶対的貧困にあり、7億人は飢餓状態である。さらに、福島などでの汚染食品が押し付けられるのも貧困層である。
33)著者は革命以外に、強権はより強大な権力に依ってしか裁かれないとしているが、私見では革命以外に権力犯罪を断罪できる手段はない。権力犯罪はより強大な権力に依ってのみ裁ける。革命こそが日本の救国の手段である。
最後に氏の秀逸で本書の概括的な言葉を引用したい。
「…最も大切なのは、電気が足りるとか足りないとかそういうことではなくて、そもそもほかの誰かを犠牲にしなければ成り立たないようなものをやってはいけない、そのことを私たちはもっと自覚しないといけないのです。」(P.147)
本書は全日本国民必読の書です。
本書の要諦と評言は以下に纏めて紹介する。
1)福島原発事故はチェルノブイリ事故と並ぶレベル7の最悪の事故(前者では四基壊れ、後者では一基のみ)であり、現在も被曝労働者は流出中のレベル3の汚染水の移洗作業にあたっている。
2)本来法律に則って、原発推進の元凶であり、CIAの傀儡である自民党政府が放射線管理区域にしなければならない汚染地帯に、今も何百万人の被災者が棄てられ居住を強いられている。福島の人達を即刻避難させるべきである。事故後3年でも、まだ一部を除いて被災者は汚染地域から避難できていないのである。
3)汚染水は、漸次的に海へと浸透していくのであり、直ちに全量流出という形ではない。
4)汚染水漏れは事故直後から始まっていたのに、自民党政府は参院選挙後の2013年7月22日になって公表した。
5)日本は偏西風(米側のいう神風)のために、放射能物質は太平洋へ流れたから被害が拡大しなかっただけである。
6)自民党対米傀儡政府は、法を遵守するなら放射線管理区域を現在の約1000平方kmではなく、2万平方kmにしなければならない。
7)全ての元凶は自民党と東電を無責任に生き延びさせようとすることにあり、両者に原発事故の全責任を取らせて潰すべきである。CIAの傀儡である自民党政権は違法政権である。
8)電気代、国際競争力、雇用の三点を自民党と御用メディア16社体制は原発プロパガンダに悪用し、住民に原発を受け入れさせてきたが、どれも原発の危険性と天文学的な負担を無視した詭弁である。原子力マフィアだけが儲かればよいという新自由主義的な発想である。
9)電力会社は、原発再稼働で際限なく儲けられる仕組みになっている上に、復興事業でゼネコンも儲けられる。東電は、どんな事故を起こしても潰される事がないという悪しき前例となっているからである。
10)風評被害というメディア・コントロールに関して、まず汚染は事実であり、風評ではないことが指摘される。そして、一般食品が1kgあたり、100ベクレル以下だから無害というのは御用メディアの詭弁である。本当に風評被害をただす手段は正確な情報を公開する事だけである。
11)世界の農産物に、全て放射能汚染値のラベルをつける提言は実用性がある。世界は、農業地帯を含め既にチェルノブイリ事故でも汚染されてしまっており、地球は終わらぬ放射能汚染を引きずり続けているのである。もう汚染されているから原発再稼働でもっと汚染して儲けても同じだという道理はないのである。
12)自民党政府は、年間20ミリシーベルトまでの汚染地域には被災者は帰還してもよいとするが、その状況下では125人に1人がガンを発症する。一年間で1ミリシーベルトの汚染でもガンは発生する。
13)先の広島と長崎への原爆投下では、疫学データを採るために被災者をあえて治療せず、原爆傷害調査委員会(ABCC)はデータ収集の為に被災者を犠牲にした。福島でそれを繰り返さないことが提言される。
14)IAEAは、イランや北朝鮮よりも日本を監視下においており、その役割は、原発推進と核兵器の国連=連合国常任理事国の独占状態の維持である。日本全国の原発関連施設にIAEAの監視カメラがある。
15)日本は広島原爆4千発分のプルトニウムを保有している。
16)プルトニウムを高速原子炉で燃やすと、超ウラン元素というさらに寿命の長い貯蔵困難な放射能物質ができてしまう。従って、日本以外の国はこの方式から撤退している。
17)福島事故で、ドイツ、イタリア、スイスは脱原発へ転向した。
18)東電報告では、福島事故は津波直撃による(地震の影響はゼロ?)そうだが、地震による送電線の破壊が既に報告されており、それが冷却装置を停止させ炉心溶融を招いたことが事故の原因である。
19)人類が原子炉を稼働させたのは1942年12月のマンハッタン計画が始まりであり、1954年にソ連で世界最初の商業用原発が稼働してから、15年に一度の割合で原発事故が起きている。それは、人類対放射能の戦争の開始だった。
20)原子力の燃料であるウランの半減期は45億年、しかもウランを核分裂させると放射能は一億倍になる。この放射能物質の貯蔵、冷却だけで化石燃料も人力も100万年分無駄に費やされる。どこが低コストで、クリーンで、安全なエネルギーなのか?
21)世界の原発のもたらした放射能物質は広島原発の1000万発を超える。
22)人類は戦後70年かけても放射能の無毒化に失敗している。そもそも放射能物質を処理できないで、蓄積させるだけなのに、際限のない再稼働をするのは愚劣である。ここに資本の論理の犯罪性が最も良く現れている。
23)米帝が作った広島型原爆は、ウラン235で作られ、もう一種類は長崎型で、それはプルトニウムから作られ、どちらの投下も実質的には核実験であったことが分かる。
24)放射能物質を海に棄てるのはロンドン条約違反で、南極にそれを棄てるのは南極条約違反である。
25)日本は浅い地層に放射性物質を棄てるとしているが、100万年に一万回の大地震が起きる日本では地震による貯蔵施設破壊の危険性は明白である。
26)日本の電力供給は水力と火力発電で十分であり、最高額コストは原発である。また石油や石炭が高騰しても、やはり原発のコストの方が巨額である。なぜなら、原発の運営にはそれら化石燃料まで浪費されるからである。
27)著者は、日本の原子核工学科の教授達は米国の原子炉メーカーが安全と言えば、真に受けてそのまま推進してしまう対米従属振りを指摘する。
28)科学も例外ではなく、人間の価値判断は、その時代に何を知るのが大事とされているかの社会的枠組みに大方規定されてしまう。しかし、自覚した個人はそれに盲従する事なく最大限の批判と抵抗を試みるべきである。
29)関西電力の副社長が原子力学界の会長になるという不可解な図式は、学界なるものが総じて原子力の安全性と言う虚構を喧伝するための機関に過ぎない事を意味する。
30)著者は原子力推進のための学問の廃止を提言する。
31)原子力推進は軍事問題であり、安倍政権の憲法改正ともセットである。
32)世界70億人のエネルギーの65%は先進国と新興国に依って独占されている。11億人は絶対的貧困にあり、7億人は飢餓状態である。さらに、福島などでの汚染食品が押し付けられるのも貧困層である。
33)著者は革命以外に、強権はより強大な権力に依ってしか裁かれないとしているが、私見では革命以外に権力犯罪を断罪できる手段はない。権力犯罪はより強大な権力に依ってのみ裁ける。革命こそが日本の救国の手段である。
最後に氏の秀逸で本書の概括的な言葉を引用したい。
「…最も大切なのは、電気が足りるとか足りないとかそういうことではなくて、そもそもほかの誰かを犠牲にしなければ成り立たないようなものをやってはいけない、そのことを私たちはもっと自覚しないといけないのです。」(P.147)
本書は全日本国民必読の書です。
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