Monday, June 9, 2014


脱原発の最良の理論武装の書:日本を属国化している日米原子力協定の破棄を!2014/2/27
Amazon.co.jpで購入(詳細) 対米従属批判論者の中西良太さんのアマゾンレビューより
本書は脱原発に関して総括的な知識を得るのに最適であり、脱原発の理論武装にとって教本と言える程の完成度である。まず日本の原発政策を国際的に規定している根源は、連合国=国連の常任理事国が核兵器=原子力技術独占を世界支配の基本条件にし、各国がそれに追随する中で、国際間の原子力マフィアであるIAEA(国際原子力機関)を運用しその体制を維持している事からくる。特に日本の場合は、米国との日米原子力協定(2018年に期限切れ)が、日本の原発問題における対米従属を規定している要因として本書で分析されている。ここで重要な観点は、原子力の利用技術は核兵器保有に等価であるということである。自民党による原子力の平和利用は、実質的な核兵器保有の別表現である点も本書で論証されている。この協定により日本は実質的な核保有国になっているのである。 さらに米国は1974年から原発撤退を開始しているが、特許のみは有し、日本を利用して原発輸出させ、特許料で儲けようとしているから、日米原子力協定を維持している。日本はここからも対米独立を達成せねばならぬのである。
以下、本書の幾つかの要諦を纏めて紹介する。

1)原子力ムラは原子力マフィアと呼ぶべき犯罪者集団である。原子力広報推進体制とは、超法規的な社会的犯罪体制である。
2)原発燃料であるウランは、化石燃料よりも欠乏した貧弱な資源である。石油、石炭の代価物というのは虚偽である。ウランは未来のエネルギー資源という大嘘。
3)原発は、水力発電や火力発電よりも高コストである。低コストな原発という大嘘。
4)原発は際限のない電気料金の増額をもたらしていく。低価格の電気料金を提供すると言う大嘘。
5)放射能汚染水の貯蔵は、やがて貯蔵タンクのスペースが失われ長期的には継続不可能である。安全な原発という大嘘。
6)原子炉の運転が止まっても。核分裂生成物=200種類以上の放射能物質が炉内に蓄積され続けるし、崩壊熱を冷却し続けなければ炉心が溶解し自動的に放射能物質=死の灰がまき散らされる。原発による発電だけでなく、それを運営するコスト自体が莫大なのである。それは、二種類の炉形のいずれも大量のCO2の排出を伴っている。クリーンな原子力と言う大嘘。
7)放射能汚染の測定で重要なセシウムの値は、冷戦期の米ソ核実験やチェルノブイリ原発事故で大気圏や海に放出されたそれの汚染状態が世界中でいまでも続いており、福島事故はそれを飛躍的に悪化させた事。大気や海洋汚染と言っても最悪なのはこの放射能物質による汚染である。
8)科学的には、原発からの放射性物質放出がゼロの状態などは常時存在しないということ。

9)海に排出した放射能物質=汚染水は、やがて雨として降り注ぎ土壌汚染や内部被曝をもたらす。海は、正しい放射能物質の廃棄先などではない。
10)広島原発の500倍もの放射能物質が、福島事故で大気へと放出された。つまり、福島の放射能汚染は広島原爆の500倍だったのである。
11)日本政府は、自主避難者には何も賠償せず見殺しにした。
12)汚染水を排水する際の濃度規制を、政府は六ヶ所村や南相馬市では自ら無視してそれに違反した作業をさせている。
13)2012年度の除染予算のうち4割しか実際使われていないのに、2013年度は同額が計上され、残りの6割が着服されていること。
14)我々が払う電気料に含まれる電源開発促進税=原発推進税が、当面東電が原発にかかる費用を賄うのであり、負担は全て国民に来ている。
15)電気料金の値下げは、原発のコストが低いからではなく、純粋な経営問題である。
16)原子力規制委員会は原子力ムラ=原子力マフィアのメンバーにより構成され、福島事故の検証がされない上での新基準策定は、再稼働の為に他ならない。
17)人類が経験した四大原発事故とは、1957年の英国ウインズケール、1979年の米国スリーマイル島、1986年のソ連のチェルノブイリ、2011年の福島事故である。いずれも未だ収束しない世界的規模の放射能汚染をもたらしている。
18)原発をつくる事で利益を得てきた者達(電力会社、ゼネコン、自民党、官僚)が、さらに除染事業、復興事業でも独占的に利益を享受する構図(献金と復興予算の交換)ができている事。また、実質的な事業の実施体系は無責任な下請け、孫請け関係によって構成される。
19)年間一ミリシーベルトの被曝でも有害であり、一般生活者と原子力取扱者の被曝基準が同一という非人道性。
20)被曝被害者達には、コミュニティごとの移住プランによる支援が必要である。日本属国党である自民党は、除染ビジネスに国費を投じて自らのロビー勢力を潤すよりも、国民生活第一の政治を行うべきであるが、連中のような亡国党には無理である。
21)チェルノブイリの廃炉作業も未だ継続され、合計80万人、毎日数千人も未だ被曝労働に従事している。一つの原発の廃炉だけで数百年もかかるとしても、だからといって再稼働では危険もコストも人的資源の浪費も天文学的なものとなる。しかも、放射能物質は除染されるのではなく、移洗されるだけで、その移動にすぎない。生成後は、もう数百万年は残存し続ける。
22)廃炉の汚染物質に関しては、廃炉の法規はあっても、廃棄場所なるものは未だ確立されていない。
23)核燃料サイクルという推進派の構想は破綻しており、実現すらしていない。一度原子炉で燃やしたウランからプルトニウムを抽出し、高速増殖炉という原子炉で電源資源として再利用し続け、果ては核兵器をつくるという構想である。しかし、再処理工場は未だないから、放射能物質は蓄積され続ける。
24)放射能物質の地下深層処分は、100万年も汚染物質が移動しないというのは空想的であり、既に不適切とされている。
25)著者からは、福島第二原発の敷地に廃棄場を建設するべきと提言される。汚染物の所有者は東電であり、汚染物質は汚染地域から出してはならないからである。
26)日本国内の放射能物質は広島原爆の120万発分である。
27)放射線からエネルギーを受けると、1000分の2度体温が上昇するだけで遺伝情報が破壊され、100%死に到る。放射能とは、放射性物質である。
28)医者はなにかとレントゲンを撮りたがるが、病院のレントゲン被曝もDNAを損傷する事に変わりないので、極力避けるべきという提言。
29)広島原爆投下後の68年間でも、被爆者の白血病、ガン、心臓疾患など、新たな病気は増え続けていること。
30)福島では放射能汚染による甲状腺がんの発症と危険性が子供75人に確認されている。被曝被害は、隠蔽されていただけである。
31)属国政府である日本政府は、国民にではなく、福島事故後米国、在日米軍にSPEEDI情報を伝え、在日米軍は放射能物質が飛来した時に80Kmも逃走した。
32)原発停止の現在でも電力は足りているし、1930年から2011年までの発電設備容量と最大需要電力量の推移をみても、原発の比重は極めて少なく、原発なしでも、最大多数の電力は火力、水力と自家発電で十分賄ってきたことが分かる。
33)火力発電の化石燃料とは違い、ウランはウラン濃縮をしなくてはならず、原発広報推進体制の運営や宣伝広報や、過疎地からの送電費用、原発に伴う揚水発電=原発の電気の捨て場の費用などが電気代を増額していくのであり、電気料の引き上げは火力発電のせいではない。またこのような総括的な費用を計算した上での電気料の設定方式を、総括原価方式という。氏はここに電気会社の放漫経営の原因を指摘する。
34)電気事業法による総括原価方式は、電力会社が100%必ず利益を回収でき、原発を増設したり、宣伝する程儲かる構図である。そして、これが日本の電気代を世界最高額にしている。
35)使用済み核燃料の100万年の保管と冷却には、化石燃料が使われ、CO2も大量に排出されるから、原発はクリーンなエネルギーを提供しない浪費である。
36)現在は廃炉の時代であり、世界の原発583基中、149基は停止し、廃炉が決定している。
37)米国は属国である日本に核兵器製造3技術のウラン濃縮、原子炉、再処理のうち、再処理をさせるのは反対した。又、米国自体は1974年から原発撤退を開始しているが、特許のみは有し、濃縮ウランや原子炉を日本に輸出させて儲けることを画策している。そのための日米原子力協定である。
38)濃縮ウランを悪用した兵器にはイラク戦争で用いた劣化ウラン弾もある。これも、使用者自体をも被曝にさらす兵器である。しかも日本はウラン濃縮を米国に依頼しており、劣化ウラン弾も日本のウランで製造されたのである。
39)日本政府は汚染物質をウラン採掘場所に戻そうとしているが、そこは他国で、しかも先住民の居住区がほとんどである。しかも採掘や廃棄で二重に被曝労働を強いられるのは現地労働者たちである。自分は金儲けだけして、危険は全て他人に押し付けるという恥知らずな資本家の論理が政府官僚の間でもまかり通っている。
40)福島事故では放射能で45人も死亡している。しかも多くは、病人などの自力で逃げる事ができなかった人達である。これも、隠蔽されていた情報である。
41)2012年改訂の原子力基本法は、安全保障の言辞を付加し、軍事利用への道を開き、在日米軍同様、原発を憲法の制約外に置き、特定秘密保護法でその情報を秘匿する条件を準備した。
42)氏は未来のエネルギー政策の中心に太陽エネルギーを置き、一人当たりの省エネを促す体制作りを提言している。

脱原発は国民の7割も反対している。又以上に紹介した本書の一部の論考からも、脱原発は人類の不可避の選択肢であることは明白である。
我々は、原子力マフィアを始めとする米帝国主義とその傀儡による卑劣なあらゆる嫌がらせ、犯罪行為にも屈せずに戦い続ける限り負けではありません。本書でも氏は、東京都知事選や山口県知事選の敗北に遭遇しても諦めない限り負けではないことを述べています。同感です。

本書は全日本国民必読の書です。

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