偉大な師達の最も偉大な台湾映画の傑作, 2014/6/16
レビュー対象商品: 悲情城市 [DVD] (DVD) 対米従属批判論者 中西良太さんのレビューより
本作は、私の師匠達の結集した伝説の台湾映画の名作、代表作であり、日本のインテリ層の中でも最も広範に知れ渡っている唯一の映画である。本作は、本省と外省の両方のスタッフ、キャストが参加しているが、制作会社である中影は、国民党の国策映画の制作会社である。今は倒産後、国民党系の財閥が運営し、レンタル業を主としている。本題に戻ると本作は228事件をポエム的に逃避的に描いている。決して、事件の虐殺の現場をステージングしていない。結局、本省と外省の国策映画的な融和を企図した作品であるが、同様に国の資金でギリシャの歴史劇を撮ったアンゲロプロスの映画とホウ映画は自覚的に類似している。ただ、本作は商業ベースを重視したためにホウの初期の路線と後のアートフィルム路線の分岐点ともなっており、脚本の呉氏が参加したホウ映画こそが、私の好きな彼の作品であり、ポストモダニズム的なポエムになってしまっていない。228の体験者たちからは、酷評され史実の歪曲とされるのは否めない点が多々あるが、台湾人の立場主張は表現できているのだからよい。ロングテイク多しといえども、本作は決して退屈にはならず、台湾北部の独特の田舎のムードが魅力的である。私は、大好きです。
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