Monday, June 9, 2014


5つ星のうち 5.0 孫崎さんが描く理想の社会人像と見えてきた尖閣問題の解決法2014/4/5
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 去年の暮れから今年の始めにかけて、日本の主権者勢力の論客達の著作が出版社の自主規制によって阻害される困難な事態が続いている中で、現代書館さんが勇気を持って本書を出版されたことに心より感謝いたします。

 孫崎さんの待望の新作である本書においては、正に西京寺が孫崎さん自身の人物像であり、尚かつ孫崎さんご自身も今の日本に理想とされる社会人像をこの小説でご提示されている。例えば、植草さんが本日のブログでも言及されている点だが、真のジャーナリスト、真の知識人とは何かという大切な問いが、今尖閣問題の係争国である台湾でも問われている。本書においても核心的価値をなしているのは、まずこの問いへの小説という形式を媒介しての回答である。つまり、真の知識人、真のジャーナリストとは、既得権層の体制、独自の利権集団である政府と官僚とそれらと癒着した財閥などの権力と戦える人間、実際戦う人間のことであり、迎合者や隷属者ではないということである。対米従属批判とは、つまりその闘争を通した人間と社会の理想像の実現と追求の過程でもあり、本書は其の結晶である。

 次に本書の核心を成すもう一つの問いは、尖閣問題の解決法、現在何を為すべきかへの回答である。まずは、マコーマック氏が指摘されてもいる外務省が破棄した尖閣問題の棚上げ合意(もちろん時限性である)へ回帰し、この問題を両岸問題が解決した後まで凍結し続けることが、日本(我々日本は実効支配を引き続き維持する)、台湾、そして東アジアの戦略的且つ地域的な利益に最大限合致するのである。両岸問題(中国と台湾の統一と独立を巡る主権問題)解決無しには、尖閣問題で今領土変更をもたらすことは中共を利するのみである。我々は、台湾の戦略的な負担を軽減する為にも尖閣問題の棚上げが必要なのである。これは、尖閣戦争よりも日本の国益に最も適う。また、両岸問題解決の後までに、日本は何もしないなどと孫崎さんも考えてはおられない。その間、日本は念願の対米独立を達成し、米帝の東アジアに於ける覇権主義をも許さぬ安全保障を含めた体制作りが不可欠である。このG2の情勢下では、尖閣問題は本書で啓示されるこの棚上げ合意への回帰と、其の枠組み作りによる条件付きの凍結が、日本の東アジア外交政策で全く正しい戦略であることを本書を一気に読み上げて改めて痛感しました。

 追記として、本書における驚愕の事実を二点紹介したい。 

 一つ目は、キッシンジャーが1974年1月31日付けの国務省の記録で、尖閣問題を創作する米国の意図を吐露していたことが判明している。キッシンジャーは中国専門家のハメルに問うた。キッシンジャー:我々は彼らを尖閣に向かわせることはできないか? ハメル:誰を向かわせるのですか? キッシンジャー:中華人民共和国。 つまり、尖閣問題は米帝の創作だったことが論証されたのである。(Office of the Historian及び本書P.146)

 二つ目は、日中漁業協定は棚上げ合意の具体的な実現であった事。特に2000年度新協定六条(b)はまさに棚上げ合意の法制化である。そこには明確に漁業問題に於ける棚上げ合意の論理がある。そこにはこうある。

 新協定六条(b):日本国政府は、日中両国が同協定第六条(b)の水域(尖閣諸島含む)における海洋生物資源確保の維持が過度の開発によって脅かされない事を確保するために協力関係にある事を前提として、中国国民に対して、当該水域において、漁業に関する自国の関係法令を適用しないとの意向を有している。(P.189)

 つまり、日中漁業協定は実質的な棚上げ合意なのであり、その実現なのである。そして、これを一方的に破壊したのが当時の国土交通大臣前原をはじめとする菅、野田前政権なのである。

 本書は全日本国民必読の書です。100人でも1000人でもより多くの西京寺が日本に出てくることを希求します。

対米従属批判論者の中西良太さんのアマゾンレビューより

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