Saturday, June 28, 2014


対米自立国キューバと対米従属国日本:アレイダさんに学ぶキューバ革命の諸成果2014/6/28 対米従属批判論者の中西良太さんのレビューより
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対米従属批判の立場からキューバを再考すると、冷戦思考とは異なった実り多い結論が導きだせる。例えば、ゲバラは、1954年のCIAクーデターで、グアテマラのアルベンス民族主義政権が崩壊させられた事件をきっかけにアメリカ大陸統一の反帝国主義闘争に献身することになったコンテクストも日本の対米独立闘争と共通するものがある。ここでは、幾つかの講演から有益と思われる諸命題を概括し、箇条書きにして紹介する。

1)人が重要な人であるかの唯一の基準は、その人が個人的に富むためではなく、社会的に役立つか否かによる。

2)キューバの革命の実践は、コピペ式の革命ではなく、その理論が適用されるところで創造されるべきで、単に模倣されるべきではない。

3)その土地の人を真に理解するとは、共に働き、喜びや辛さを共有することである。

4)生産力の発展と意識の発展は不可分であり、それは社会問題についての学習と革命的行動により発展する。これは、新しい人間の創造でもある。

5)チェは、1959年の訪日レポートで、日本が対米従属であり、封建制力が資本主義的生産を独占する形で残存し続け、今も日本の支配階級として曾ての農民階級だった人々を搾取し続けている事を正しく指摘している。彼は、日本の対米従属についてこう結論を下している。「計画経済でないため、一定の製品が国内外の市場でいっぱいになってしまい、一方では実際に市場で競争するために行われる値下げ分を、労働者に負担させるのが慣習となっている。全体の国益を犠牲にして自らの利益を追求するライバル企業間の無慈悲な戦いというマイナス面もある。最後の問題は、国の主権が危機にあり、その主権が何にも勝る再考の財産であると表明することが最も重要なときにさえ、巨大な業界ですら外国の気ままな欲望に翻弄されざるを得なくなっている、ということである。」(P.23)まさに、対米従属批判そのものであり、正鵠を射ている。多国籍企業が主体というのが今の隷属政権の認識であり、国家という主体で敵は明らかに動いていない。

6)民衆参加型の民主政治は、地方行政として実現している国もある。例えば、エクアドルのコタカチ郡である。

7)米国によるキューバ経済封鎖は、トリセリ法(92年)とヘルムズ・バートン法(96年)により強化傾向にあるが、世界的に反対の声も拡大している。主として輸入に依存する食料や医薬品を狙い撃ちにした経済封鎖は、キューバとの貿易を他国に禁じ、違反国の商品を米国市場で販売禁止に追い込めるものであり、キューバに対する不当な不平等経済政策であり、国際貿易の理念を蹂躙するものである。まさに、米帝国主義の弱い者いじめの典型である。

8)人間の痛みを金儲けにしてはならないという理念が、キューバの公衆衛生、医療、教育の無償化を成功させた。そして、それを支えるキューバの天然資源の国有化も正しかった。海外への医師派遣事業や海外医師の育成制度などの充実も結果が伴っている。労働者国家としてキューバは模範的で、羨望の的である。中国やソ連とは異なり、本物の社会主義がここにある。

9)キューバは、ネオリベラリズム以外の社会の選択肢を今も示しているし、人民がよりよい生活を営むためには、まず自分の国の富の所有者でなくてはならない。

10)1976年のマイアミの反キューバ・テロリストたち(ポサダ・カリーレス)は、73名も航空機爆破で殺戮し、CIAは1980年にキューバに天狗熱を散布し158人も殺害している。これら、テロ集団はマイアミに潜伏し、米に養成され、今も裁判にかけられていない。米帝自身が、テロリストなのである。

11)「人が従うようにさせるには、自らその手本にならなくてはなりません。(中略)人が死んだとき―(中略)その人が私たちと生き続けていくために、その人が行ったことを私たちもやるべきです。」(PP.79-80)この言葉に感激した。

12)チェは、革命論を修正しており、ソ連とは対局のものになっている。 革命は単に外部からの解放論ではなく、被圧迫人民が自主独立の闘争ができるように助力することである。 例えば、「インディヘーナを解放してやるのではない。インディヘーナがみずからを自らの手で解放するために立ち上がるのを助けるのだ。それが革命なのだ。」(P.141)

13)キューバで納税義務があるのは、自営業者だけである。素晴らしい!

14)日本は、キューバからニッケルを購入しようとして、米国の圧力に屈して挫折し、経済封鎖の片棒を担いでいる。

15)アレイダさんは、日本の国内状況を変えたいならば、自分の国の人たちが生きている状況から離れてはいけないとアドバイスしている。

16)ゲバラ親子は、日本の軍国主義の犯罪を正しく批判し、一方でいかなる理由でも米国による原爆投下は許されない犯罪であるとも指弾している。

17)強い者が下から、弱い者を支えられるのが良い社会構造である。ゲバラは、官僚体制のような形式的な機構が前衛と人民を隔て革命を挫折させることを看取していた。彼は、スターリン主義ではなかった。

18)ラウルとフィデルとゲバラの不仲説は、CIAによる虚偽ねつ造であり、フィデル独裁説も CIAによる反キューバ宣伝工作である。

最後に最も感銘を受けた言葉を引用する。

「どうせ飢え死にするなら、社会を変えてから死にたい。」(本書、191)

本書は、全日本国民必読の書です。

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